外科と代謝・栄養
Online ISSN : 2187-5154
Print ISSN : 0389-5564
ISSN-L : 0389-5564
53 巻, 6 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
特集「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
  • 深柄 和彦
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 271-273
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
  • 守屋 智之
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 275-280
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
  • 三島 優奈, 堤 理恵, 阪上 浩
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 281-286
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
  • 渡邉 栄三
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 287-292
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
     Autophagyは, 細胞の自己成分をlysosomeに運び込み分解する機構であり, 必ずしも細胞死を意味するわけではない. 飢餓応答としての栄養供給という働き以外にも, 不要なオルガネラの分解, 病原微生物の排除, 腫瘍抑制などの役割も確認されており, むしろ生命維持に必須のシステムである. そして敗血症病態下での重要臓器 (肝, 腎, 脾臓の免疫担当細胞など) においては, 発症早期には一過性にautophagyは亢進するものの, その後停滞傾向に向かうことが判明してきており, 臓器保護的な役割を担っている. 一方, 敗血症時の骨格筋では, autophagy過活性が筋萎縮を惹起することも報告され, 臓器やその構成細胞によっては諸刃の剣である. 敗血症とautophagyの関与の解明と, autophagyの生体でのモニタリング手法の確立が, 敗血症時のautophagy動態の制御を企図した栄養管理実現へのポイントである.
  • 小川 了, 竹山 廣光
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 293-300
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
     n‐3系脂肪酸は魚油, ボラージ油 (ルリジサ種子油) に豊富に含まれている脂肪酸で, n‐6系脂肪酸とともに必須脂肪酸である. このうちEPA, DHAには抗炎症作用や抗癌作用があることが多くの研究で明らかとなってきている. 作用機序に関してはいまだ十分に解明されていないが, 近年, n‐3系脂肪酸から細胞間生合成経路によって産生されるレゾルビンなどの代謝産物が同定され, 脂質メディエーターとして働き, 炎症の消退に関与していることがわかってきている.
     また, EPAの癌に対する作用については, 細胞レベルの実験では膵癌, 乳癌, 結腸癌, 肝細胞癌, 肺癌, 食道癌などにおいて種々の癌によって報告されている. EPAはNF‐κBの活性化を抑制し, 炎症性サイトカインの産生を制御することから, 癌制御目的や抗炎症目的にEPAを投与もしくはEPA含有する免疫栄養療法が注目され, 前向き試験が行われてきた. しかし, 現時点は臨床において炎症や癌の制御に対するはっきりとした有効性は認めていない.
  • 古形 修平, 米倉 竹夫, 木村 浩基, 前川 昌平, 森下 祐次, 佐々木 隆士
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 301-314
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
     L‐シトルリン (L‐Citrulline : L‐Cit) は, 尿素回路・アミノ酸代謝・一酸化窒素 (Nitric oxide : NO) の合成などに関与する, codonで指定されていない遊離アミノ酸の1つである. 生体内における主な合成の場は腸管上皮細胞であり, その腸管上皮細胞の機能と密接にかかわってくる. 一方で, 腸管不全 (Intestinal Failure : IF) は, 種々の要因によって栄養および水分の吸収障害が生じ, 自己腸管による栄養療法のみでは健常状態の維持が困難な病態である. 有効な機能を有する腸管の絶対量が減少すると, L‐Citの血漿濃度が低下することから, 腸管の残存機能と血漿L‐Cit濃度は相関関係にあることが判明した. L‐Citの補充に関するさまざまな基礎研究および臨床試験の結果から, IFにおけるL‐Cit補充の有効性が考えられるが, L‐Citの生体内での動態は未解明な点も多く, 今後も引き続き検証が必要である.
  • −激論の顛末と真相−
    寺島 秀夫
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 315-326
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
     重症病態下における厳密な血糖管理 (tight glycemic control : TGC) の最適解は, いまだ不明である. 2001年, LeuvenⅠstudyは, 強化インスリン療法 (intensive insulin therapy : IIT) の画期的な治療成績を提示したが, その後, 数々の追試においてIITの有効性が実証されることは一度もなかった. その要因は, IITの理論上の誤りではなく, LeuvenⅠstudyに内在した栄養管理の特異性 (overfeeding) とともに, プロトコル型血糖管理方法に起因する血糖値制御の不確実性であったと結論される. IITの是非を巡る論争は, 最終的にearly full feedingの有害性を剔抉するにいたり, 栄養療法ガイドライン変革の遠因ともなった. 栄養投与量の適正化がなされ, コンピュータ制御血糖管理が容易に実行可能となった現在, 最適なTGCの解明に向けて新たな幕開けを迎えた.
  • 小野 聡, 青笹 季文, 辻本 広紀
    2019 年 53 巻 6 号 p. 327-335
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
     外科侵襲後の生体反応を炎症反応の視点から評価しその軽減を図る試みはこれまで数多く行われてきた. 一方, 外科侵襲後の生体では, 著明な炎症反応が惹起されるとともに炎症を抑えるために抗炎症反応が引き起こされ, この抗炎症反応に起因する多くの因子は免疫抑制に関与していることがわかってきた. しかし, 周術期の免疫機能を客観的に評価し得る簡便で有用な指標が存在しないため, 外科侵襲後の免疫不全の病態把握やその対策を評価するうえで大きな障害になっている. われわれは単球の抗原提示機能やCD4陽性T細胞数やそのPD‐1発現率から免疫機能を客観的に評価している.
     また近年, 進行癌症例を対象として術前に放射線治療や化学療法を行ってから手術をする症例が増加し, このような術前治療症例では術後合併症が高率に発生していることが指摘されている. 当然ながらそのような症例では術前から免疫機能が低下していることが推測されるため, 術前治療症例は手術前から免疫機能を回復させるような栄養管理を行い術後合併症を軽減させることが重要である. そのためには経腸栄養などで積極的に腸を使い, 腸管免疫のみならず肺や肝臓での免疫機能を低下させない工夫が必要であろう.
  • 福島 亮治
    原稿種別: 特集
    専門分野: 「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
    2019 年 53 巻 6 号 p. 337-341
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
症例報告
  • 河合 雅彦, 小森 充嗣, 前田 健一, 服部 公博, 三井 範基, 林 弘賢, 杉本 琢哉, 仁田 豊生, 田中 千弘, 長尾 成敏
    2019 年 53 巻 6 号 p. 343-348
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー
     症例は70歳代男性. 6年前に膵頭部癌にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行. 術後補助化学療法としてS‐1を1年間内服加療. 4年後に右肺に腫瘍が出現し, 原発性あるいは転移性肺癌の疑いにて胸腔鏡下右肺部分切除術を施行され, 膵癌肺転移と診断された. S‐1内服を再開するも服薬コンプライアンスは不良. 翌年右気胸にて再度胸腔鏡下右肺部分切除術が施行された. 6年後の4月にCA19‐9の急上昇がみられ, 胸腹部単純および造影CT検査で異常は認められなかったが上昇は続き, 膵癌再発が強く疑われ, 同年7月塩酸ゲムシタビン単剤で化学療法が開始された. 化学療法施行時に口渇の訴えあり, 精査したところ血糖値510mg/dl, HbA1cが14.3%と著明高値であった. 強化インスリン療法にて血糖コントロール後, CA19‐9は速やかに正常化した. CA19‐9上昇の一因として高血糖が知られ, 膵切除による二次性糖尿病の発生も起こりうるが, 術後6年を経過し最近は血糖値・HbA1cともに未測定だった. 膵頭十二指腸切除術後の血糖管理の継続性が再認識された.
用語解説
あとがき・編集委員会名簿
feedback
Top