外科と代謝・栄養
Online ISSN : 2187-5154
Print ISSN : 0389-5564
ISSN-L : 0389-5564
54 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集「周術期・侵襲下におけるエビデンスと問題点」
  • 村越 智, 深柄 和彦
    2020 年 54 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/15
    ジャーナル フリー
     重症患者に対するグルタミンの静脈投与は動物実験や臨床試験にて有効性が認識されガイドラインでも推奨されてきた.しかし近年の大規模臨床試験やメタ解析の結果,その有効性に疑問をもたれ各種ガイドラインでの使用推奨度も下げられているのが現状である.これら大規模臨床試験やメタ解析は信頼度の高いエビデンスとして認識されるが,栄養療法に関する臨床試験は研究デザインが難しいのも事実である.グルタミンの静脈投与の有効性に異を唱えた大規模臨床試験を吟味すると対象患者の均一性や投与量が適切に設定されていないとの指摘もあることから,これらの臨床試験の結果から重症患者への投与は“非”であるとするのは早計であろう.今後は“是”とする臨床研究も参照し,グルタミンの静脈投与により病態の改善が見込める重症患者の特徴や投与量を明確化したうえで臨床試験をさらに展開し,その有効性についての検討を推進する必要がある.
  • 鍋谷 圭宏, 坂本 昭雄
    2020 年 54 巻 1 号 p. 6-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/15
    ジャーナル フリー
     免疫栄養 (immunonutrition) とは, グルタミン, アルギニン, ω‐3系脂肪酸, 核酸など生体の免疫能を調節する作用をもつ栄養素 (immunonutrients) を薬理量投与することで, 外科周術期や救急領域など侵襲期の重症患者の防御能・免疫能を調節して治療成績向上を期待する栄養療法である. 実際には, 複数のimmunonutrirntsを含む免疫調整経腸栄養剤 (immune‐modulating diet : IMD) を投与することが多いが, 約20年前に主に欧米で消化器外科周術期に感染性合併症発生率の有意な低下を認める報告が続いたものの, その推奨度は徐々に下がっている印象がある. 特にわが国の消化器外科手術は欧米と内容が異なり, 近年は低侵襲手術やさまざまな術後早期回復プログラムの普及により術後合併症発生率も低下して, IMD投与による短期予後向上は証明が困難である. 救急領域でも推奨度は高くなく, 臨床研究で使われたIMDの終売もあってわが国ではほぼ用いられなくなった. 今後, 周術期の抗炎症作用に注目し, 癌患者の長期予後向上や体重減少抑制をエンドポイントとした周術期immunonutritionの有効性の検証が待たれる.
  • 海塚 安郎
    2020 年 54 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/15
    ジャーナル フリー
     重症患者栄養療法のトレンドは, 代謝ストレスへの過剰反応および, 酸化的細胞傷害の減弱, 免疫応答を生体に適合した方向に調節することを目指し, 重症患者管理法の一翼を担っている. その中で静脈栄養は, 最近の報告では, 急性期の経腸/静脈栄養間の比較での優劣は認められず, 処方設計どおりに, 栄養素を個別に厳密に投与でき, 消化器合併症が少ない利点がある. いずれの投与ルートでも急性期至適投与エネルギー設定法は確立していない. 静脈栄養適応例の急性期早期ではunder feedingそれ以下のtrophic feedingのエネルギー量で開始し漸増するが, 7‐10日は消費エネルギーの範囲内にとどめる. また急性期, 経腸栄養開始後の不足分をPNで補うこと (SPN) はしない. しかし急性期後の投与エネルギー/栄養素は, 個々の症例の個別性 (栄養リスク, 侵襲の持続など) および累積栄養負債を勘案し, 強制栄養の期間中では, 特に栄養療法のギアチェンジを考慮する. 安全性と効果に留意し継続して処方内容を検討する必要がある. 最新の各国の重症患者栄養ガイドライン間の静脈栄養に関する記載内容に差異はほぼないが, 根拠となるエビデンスの質は低い. 栄養素の免疫効果を期待したimmunonutrientの輸液製剤 (グルタミン, ω3系脂肪酸) は, 現在臨床におけるエビデンスでは, 有効性を示していない.
  • 土師 誠二
    2020 年 54 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/15
    ジャーナル フリー
  • 新原 正大, 比企 直樹
    2020 年 54 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/15
    ジャーナル フリー
原著(臨床研究)
  • 原 敬介, 山田 岳史, 廣瀬 樹, 小泉 岐博, 進士 誠一, 太田 竜, 横山 康行, 高橋 吾郎, 堀田 正啓, 武田 幸樹, 上田 ...
    2020 年 54 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/15
    ジャーナル フリー
     5‐Fluorouracil (5‐FU) の代謝には骨格筋量と概日リズムが関与していると報告されている. そのため, 化学療法施行中の運動量や睡眠時間の低下が有害事象の発生に影響を与える可能性があると考えられるが, 両者の関係性は明らかではない. 本研究では5‐FUを含む大腸癌化学療法施行患者の好中球減少発生に運動量と睡眠量が与える影響を検証した.患者に活動量計を装着させ, 化学療法施行中の歩行数, 睡眠時間を計測し, 好中球減少発生頻度を比較した. 対象症例数は59例, 正常群は45例, 減少群は14例であった. 好中球減少群の浅睡眠時間は有意に長かったが, 総睡眠時間, 総歩行数に差はなかった. 機械学習では重要度の上位すべてを睡眠時間に関連する項目が占めていたが, 歩行数に関連した項目の重要度は低かった. 睡眠時間とその質が5‐FUの代謝と好中球減少に影響を与える可能性が示唆された.
  • 内田 恒之, 関根 隆一, 松尾 憲一, 木川 岳, 梅本 岳宏, 喜島 一博, 原田 芳邦, 若林 哲司, 高橋 裕季, 塩澤 敏光, 小 ...
    2020 年 54 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/15
    ジャーナル フリー
     背景: サルコペニアは胃癌をはじめ各種悪性腫瘍の短期・長期成績に関与するが, 骨格筋の質を表す脂肪化と術後感染性合併症 (IC) の関連性は明らかでない.
     目的: 腹腔鏡下胃切除 (LG) を施行した胃癌症例における骨格筋脂肪化と術後ICとの関連を明らかにする.
     方法: 2009年から2018年までのLG施行早期胃癌173例を対象とした. 周術期諸因子と術後ICの関連を後方視的に検討した. 骨格筋脂肪化は術前CT画像によるIntramuscular adipose tissue content (IMAC) で評価した.
     結果: 術後ICは20例 (11.6%) に認めた. 多変量解析による術後ICの独立危険因子は男性 (P=0.003) , Prognostic nutritional index低値 (P=0.008) , IMAC高値 (P=0.020) であった. IMAC高値群は低値群に比較し高齢 (P=0.001) で高Body mass inedx (P=0.027) であり糖尿病並存例 (P=0.021) が多かった.
     結語: 骨格筋脂肪化はLG後の術後IC発生の危険因子であった. 適切な術前栄養・運動療法の介入が術後IC制御に寄与する可能性がある.
あとがき・編集委員会名簿
feedback
Top