外科と代謝・栄養
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54 巻 , 2 号
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特集「L-カルニチン欠乏症とL-カルニチン投与の有用性」
  • 位田 忍
    2020 年 54 巻 2 号 p. 49-52
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
  • 曹 英樹
    2020 年 54 巻 2 号 p. 53-56
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     小児におけるL‐カルニチン欠乏症はカルニチン回路異常をはじめとする代謝異常によるもの, 薬剤性のもの, 特殊ミルク・経腸栄養・静脈栄養による摂取不足によるものがある. 特に重症心身障害児では長期の経腸栄養による摂取不足に加え, L‐カルニチン欠乏症を起こしやすい薬剤を投与することがおおく, 注意が必要である. 代謝性のL‐カルニチン欠乏症にはL‐カルニチン投与が必須であるが, その他の病態でもL‐カルニチン欠乏による症状を予防するためにL‐カルニチン製剤の投与を考慮する.
  • 伊藤 哲哉, 中島 葉子
    2020 年 54 巻 2 号 p. 57-61
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     薬剤性L‐カルニチン欠乏症は医原性に生じる二次性L‐カルニチン欠乏症の一種である. 原因となる薬剤としては, 抗てんかん薬, 抗菌薬, 抗がん剤, 局所麻酔剤, イオンチャンネル阻害剤, AIDS治療剤, 安息香酸ナトリウムなどの報告があるが, 長期投与を必要とする抗てんかん薬や, カルニチン欠乏のリスクが高い乳幼児期に投与される薬剤には特に注意が必要である. バルプロ酸ナトリウムの副作用として肝障害や高アンモニア血症が知られているが, これらはカルニチン欠乏やカルニチン代謝の異常が大きく関与すると考えられており, L‐カルニチン投与を行うこともある. また, ピボキシル基含有抗菌薬では腸管からの吸収後に生じるピバリン酸がL‐カルニチンと結合して尿中へ排泄されるためL‐カルニチン欠乏を生じる. 副作用として, L‐カルニチン欠乏からくる低血糖, 意識障害, 痙攣などの重篤な症状が報告されているが, これらの副作用は長期投与ばかりでなく短期間の服用でも認める例があるため, 抗菌薬投与の必要性やその選択について十分吟味したうえで適正に使用することが重要である.
  • 木村 祐太, 菅野 義彦
    2020 年 54 巻 2 号 p. 62-65
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     一般的に, L‐カルニチン欠乏は食事摂取量およびL‐カルニチン産生能の低下した高齢者に生じやすいといわれているが, 若年層においても偏食などで欠乏をきたしうる. 病態別では, 先天性代謝異常症や完全静脈栄養 (total parenteral nutrition : TPN) の患者を始めとして, 非常に多岐に渡る病態で生じうるが, 中でも血液透析患者の約90%はL‐カルニチン欠乏をきたしていると報告されている. 日本小児科学会「カルニチン欠乏症の診断・治療指針2018要旨」では, 血中の遊離カルニチン濃度が20μmol/L未満の場合をL‐カルニチン欠乏症と定義している. L‐カルニチンは脂肪酸のミトコンドリア内への輸送, アシル化合物など過剰な脂肪酸のミトコンドリア外への輸送, 赤血球膜などの細胞膜の安定化などの作用をもち, その補充により透析患者におけるESA抵抗性の改善, 疲労感および筋肉症状の軽減, 左室駆出率 (ejection fraction : EF) の上昇を認めたと報告されている. L‐カルニチン投与の有効性に対する関心は高まっているが, 補充を開始した後の評価方法に関しては現在明確な指標は示されておらず, 患者の状況を総合的に考慮して欠乏状態に応じた継続的な補充が必要とされている.
  • 大網 毅彦, 大島 拓
    2020 年 54 巻 2 号 p. 66-70
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     L‐カルニチンはミトコンドリアでの脂質代謝によるエネルギー産生に欠かせない生体内物質である. 重症患者では代謝の亢進に伴うL‐カルニチンの相対的な不足だけでなく, 人工栄養による摂取不足や血液浄化に伴う喪失により絶対量が低下することがL‐カルニチン欠乏症の原因となる. 自施設のデータでは集中治療室に入室する時点で23.4%の患者がL‐カルニチン欠乏を呈し, 特に血液浄化を施行されている患者ではカルニチン代謝異常を合併する頻度が高かった. 重症患者ではL‐カルニチン不足によるミトコンドリア機能障害から筋力低下や不整脈, 免疫抑制などが起こり, さらに感染性合併症の増加および集中治療室滞在期間の延長につながる可能性がある. L‐カルニチンが欠乏する維持透析患者や長期の人工栄養を受ける患者ではL‐カルニチン投与が推奨されているが, 現時点で重症患者に対する補充療法の妥当性を強く支持する臨床試験の結果は得られていない. 一方, 事後解析では代謝動態から層別化してL‐カルニチン投与が有益となりうる患者群が検出されており, 今後特定の患者群に注目したL‐カルニチン補充療法の有効性を見極めていく必要がある.
  • 荻野 晃
    2020 年 54 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     L‐カルニチンは長鎖脂肪酸のエネルギー産生, 生理機能の保持に重要な役割を果たしており, 生命活動に必要な栄養素である. また, 必要量の75%を食事に依存する条件的必須栄養素である. L‐カルニチン欠乏症を発症する病態は多岐にわたるが, 静脈・経腸栄養施行患者においてもL‐カルニチン欠乏症が報告されており, L‐カルニチン補充の必要性が指摘されている. 本邦では静脈・経腸栄養施行時におけるL‐カルニチン欠乏症はあまり問題とされていないが, 欧米の栄養学会ではL‐カルニチンの補充が推奨されている.
     L‐カルニチン欠乏症の治療には補充療法としてレボカルニチン製剤を投与する. また, L‐カルニチン添加の経腸栄養剤がL‐カルニチン欠乏症の予防に有効である. 最近, 医薬品L‐カルニチン添加経腸栄養剤としてエネーボ®配合経腸用液, イノラス®配合経腸用液が発売され, 経腸栄養施行患者のL‐カルニチン欠乏症の予防に期待される. 一方, 静脈栄養剤ではいまだ静脈栄養用L‐カルニチン製剤は存在しておらず, 今後の開発が望まれる.
  • 渡邉 誠司
    2020 年 54 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     L‐カルニチンは, 長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に運び込むために必要な物質である. 体内での生合成はその25%程度しかない準必須の栄養素であり, 欠乏時, おもな貯蔵な場所である筋肉から動員される. 神経・筋疾患は, 一次性, 二次性の筋萎縮, 筋変性に伴い, その貯蔵場所を失い, 摂食・嚥下障害から, L‐カルニチンそのものの摂取が減少する. そして, 脂肪酸の主な利用場所である骨格筋, 心筋の症状が加わる. また, ミトコンドリア病, 全身性炎症などミトコンドリアの機能不全も, その神経・筋における欠乏症状に追い打ちをかける. 本稿では, カルニチンのホメオスタシスを保つ摂取量, 合成, 排泄に加え, 神経保護作用など神経・筋疾患に特有のこれらの病態について概説する.
  • 王堂 哲
    2020 年 54 巻 2 号 p. 81-84
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     L‐カルニチンはエネルギー源としての長鎖脂肪酸をミトコンドリアマトリクス内に運搬するために必須の成分である. L‐カルニチンの経口摂取によって身体的運動能力に期待される影響については①継続摂取効果 : 筋中への貯留を高めることによるβ‐酸化の亢進, ②単回摂取効果 : 肝での脂肪のエネルギー化促進, ③運動後の筋肉痛緩和効果 : 局所的な毛細血管での虚血状態が低減され, 結果として筋トレ後に発生する活性酸素に起因した細胞損傷が抑制される作用, などの側面に大別することができる. また心筋はエネルギー源としての脂質への依存性が高く, 遊離脂肪酸によるミトコンドリア膜透過性遷移誘導に起因する機能不全リスクに晒されやすい. ここで十分量のL‐カルニチンが共存することによりミトコンドリア膜が保護され, アポトーシス抑制を通じたアスリートの安全性向上への寄与も示唆されている. 近年L‐カルニチンのスポーツへの利用では特定の運動における持久力など単純なパフォーマンスの増進というよりも, むしろより一般的な体調マネジメント, 総体的なトレーニング効率の向上といった側面に主眼がおかれつつあるといえる.
  • ―とくにエネルギー代謝・骨格筋保護に対する効果について―
    櫻井 洋一
    2020 年 54 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     L‐カルニチン (L‐carnitine;以下LCARと略) はエネルギー代謝に深く関わる重要な栄養素であり, 日本人の食事摂取基準では必須栄養素として列挙されてはいないがLCAR欠乏症となると重篤な臨床症状を呈し, 極度のQOLの低下をきたす. LCARは生体内にて生合成されるが, LCARプールの大部分は食事由来であるため経口摂取不可能な患者では容易にLCAR欠乏症となる. 経口摂取が不可能な患者で長期的に栄養管理が必要な場合にはLCAR含有栄養剤を使用する必要がある. 高齢者において栄養不良やサルコペニアとなると生体内LCARプールが不足しやすくカルニチン欠乏に陥ることからカルニチン欠乏症予防や骨格筋に対する筋肉痛などのストレス軽減の観点からも栄養管理に用いるTPN製剤・医薬品扱いの経腸栄養剤にもカルニチンを含有した製品を積極的に使用することが望ましい. またLCAR不足のない健常者に対してもLCAR投与することにより脂肪酸化を促進しエネルギー代謝を改善することからアスレティックパーフォーマンス向上効果や骨格筋保護効果を認めることからその有用性が期待される.
症例報告
  • 廣瀬 亘, 村上 和重, 臼田 昌広, 鈴木 温, 成田 知宏, 手島 仁, 原 康之, 神谷 蔵人, 藤尾 淳, 宮田 剛
    2020 年 54 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/15
    ジャーナル フリー
     空腸皮膚瘻は,高刺激性の排液コントロールと栄養状態の管理において難渋することがある.今回,難治性空腸皮膚瘻に局所陰圧閉鎖療法と経瘻孔栄養を併用し,待機的に根治術を行った1例を経験したので報告する.症例は80歳の女性で,腹痛を主訴に当院搬送された.S状結腸憩室穿孔と診断し,緊急開腹Hartmann手術を施行した.初回手術後16日目に創部から消化液の流出を認めたが,全身状態不良であり,保存的加療の方針とした.局所陰圧閉鎖療法を行い,高刺激性の排液を誘導した.透視検査で瘻孔部はトライツ靭帯から肛門側40cmの近位空腸と判明した.瘻孔部肛門側の腸管に経腸栄養チューブを留置し,経腸栄養を開始したところ,Alb値やT‐Cho値の改善を認めた.初回術後149日目に待機的に瘻孔部の小腸部分切除術を行った.難治性空腸皮膚瘻に対する局所陰圧閉鎖療法と経瘻孔栄養の併用は有用と考えられた.
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