外科と代謝・栄養
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特集 「外科代謝栄養治療におけるAI搭載モバイルアプリの現状と課題」
  • 田中 晴祥, 神田 光郎
    2025 年59 巻5 号 p. 111-114
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー

     消化器癌患者における代謝栄養治療は, 術後合併症の予防, QOLの維持, 治療成績の向上において重要な役割を果たす. 近年, 人工知能 (AI) 技術の進展とともに, 個別化された栄養介入の支援ツールとしてAI搭載モバイルアプリの活用が注目されている. これらのアプリは, 栄養評価, 食事記録, 治療サポートなど多岐にわたる機能を備え, 実際臨床研究により, 栄養状態の改善, QOLの向上, 回復期間の短縮といった効果が報告されている. 一方, 臨床応用には, AIの説明可能性, ユーザーインターフェースの利便性, 継続利用の設計, 専門職との連携, 法制度や保険制度との整合性, 個人情報保護, 倫理的配慮など, 多くの課題が存在する. 将来的には, 患者の多様なデータを統合解析し, AIがリアルタイムに意思決定を支援するシステムの実現が期待されており, 国際的にもガイドライン整備が進行中である. 本稿では, これらの現状と課題を包括的に検討し, 持続可能な医療支援システムとしてのAIアプリの可能性を展望した.

  • 眞栁 修平
    2025 年59 巻5 号 p. 115-117
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー

     食道表在癌の診断において, AI技術を利用した消化管内視鏡検査では高い診断精度が報告され, すでに実用化されている. 現在, 軟口蓋の画像を利用した新たなAI診断システムが構築され, 食道癌ハイリスク群の分類成功率は86%と良好な成績が報告された. スマートフォンなどを用いて口の中を撮影し, 飲酒歴などの臨床データと組み合わせることで, 簡便に食道癌のリスク分類が可能となるモバイルアプリの開発が進んでいる. また, 食道癌の周術期に重要であるリハビリテーションにおいては, 手術前のプレハビリテーションの普及に伴い, モバイルアプリやウェアラブルデバイスが患者のモチベーションを向上させ, その効果を上げるツールとして期待されている. 実際, 本邦からの研究では, ウェアラブルデバイスを利用したリハビリテーションが手術後の合併症を減少させ, 入院期間を短縮する結果が報告されている. さらに, 海外においてヘルスケアモバイルアプリを用いた栄養・運動管理の研究が行われている. 今後, より実用的で社会実装可能な食道癌診療AIモバイルアプリの開発が期待される.

  • 本多 通孝, 堀 創史, 柿沼 寛人
    2025 年59 巻5 号 p. 118-121
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー

     近年, 医療界においても人工知能 (artificial intelligence; AI) 技術を搭載したモバイルアプリケーション (以下, モバイルアプリ) の活用が期待されている. 胃癌診療においては, 内視鏡診断にAIが実装化されつつある. また個別のバイオマーカーの分析によって将来的に予後予測および治療選択へのモデル開発にAIが活用されるであろう. モバイルアプリの観点からは, 術後の栄養管理, 薬物療法のスケジュールや症状の共有などの社会実装が試みられている段階である. 今後, 日常生活の情報を記録・分析し, 医療者と共有することで, 治療の安全性や患者の利便性向上につながることが期待されている. 一方で現段階では医療現場の運用にはそれなりに高いハードルがある. 本稿ではモバイルデバイスの開発研究の経験から, 今後の課題について議論する.

  • 前田 広道, 公家 菜摘, 瀬尾 智
    2025 年59 巻5 号 p. 122-126
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー

     食事療法・栄養療法は大腸がん治療だけでなく, がん予防の重要な要素である. しかし, その重要性を認識していても具体的な行動に移すことは容易ではなく, AI搭載モバイルアプリによる支援に期待が寄せられている. 大腸は水分吸収や, 便を一時的に貯留しておく役割があり, 栄養の管理と同時に, 頻便や下痢, 便失禁を予防するための食事の工夫も必要で, 易消化性で消化管の蠕動運動を過剰に亢進させないようなレシピの提供が必要となる. さまざまなアプリが利用可能となってきているなか, それらの有効性を検討していくことが重要となる.

  • 村川 正明
    2025 年59 巻5 号 p. 127-130
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー

     肝胆膵外科領域では膵性糖尿病や膵外分泌不全, 胆汁酸代謝異常に起因する栄養障害が術前後を通じて高頻度にみられ, 周術期の血糖・栄養管理は予後改善に不可欠である. 近年, AI搭載モバイルアプリとmHealth技術の進歩により, 個別化されたセルフマネジメント支援が可能となった. 血糖管理においてはCGMとAI解析を組み合わせることで, 低血糖予測やインスリン調整支援が実用化されつつあり, 術後の不安定な血糖変動への介入に有用である. また, 栄養管理においても食事画像解析や行動変容支援機能を備えたアプリが開発され, 膵癌患者に対するRCTで栄養状態やQOL改善効果が報告されている. 今後は高齢者やデジタル弱者への適応, 症例別栄養介入モデルの構築, 多施設共同試験による科学的検証, 電子カルテ連携や制度整備を進めることで, AI活用による周術期管理の新たな展開が期待される.

臨床経験
  • 島岡 高宏, 佐々木 一樹, 小林 省吾, 長谷川 慎一郎, 山田 大作, 富丸 慶人, 秋田 裕史, 野田 剛広, 髙橋 秀典, 土岐 祐 ...
    2025 年59 巻5 号 p. 131-136
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー

     背景: ロボット支援下膵頭十二指腸切除術 (robot assisted pancreaticoduodenectomy: RPD) は従来の開腹PD (open PD: OPD) に比較しより微細な操作, 創長の短縮を可能とした. 他腹部疾患におけるロボット支援下手術における短期手術成績や術後栄養状態に与える優位性が膵切除において検討された報告は少なく, 今回当院の症例を用いて検討することとした.
     方法: 2017年1月から2023年12月の期間中に当院で施行されたPD施行例をRPD群, OPD群の2群にわけ, 短期手術成績と術後栄養指標を後方視的に比較検討した.
     結果: 対象となるRPDは23例, OPDは34例であった. 手術時間においてRPD群はOPD群に比べて延長し (以下中央値: RPD群556分, OPD群472分), 術中出血量は減少していた (RPD群111 mL, OPD群861 mL). 術後合併症はRPD群で合併症は少なかった[RPD群1例 (4.3%), OPD群12例 (35.3%)]. 術後7日目のPNIはRPD群35.3, OPD群32.5, 術後14日目のPNIはRPD群37.9, OPD群35.1でRPD群は術後のPNIが早期に回復していた.
     結語: RPDは術後合併症の発生率低下に寄与し, 栄養状態改善にもつながる可能性がある.

  • 髙山 慶太, 田附 裕子, 木村 武司, 石見 壮史, 出口 幸一, 中畠 賢吾, 野村 元成, 渡邊 美穂, 上野 豪久, 奥山 宏臣
    2025 年59 巻5 号 p. 137-142
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー

     症例は1歳男児. 在胎24週3日, 体重662 gで出生し, 生後3カ月 (修正27週) 時に腸回転異常による中腸軸捻転に対して, 小腸大量切除ならびに人工肛門造設術を施行され, 残存小腸長は20 cmとなった. 肝機能障害や黄疸, 腎機能障害が遷延し, 体重増加不良とともに全身四肢の多発骨折が出現したため, 長期的な栄養管理目的に当院転院となった. 入院時 (1歳3カ月: 修正7カ月), 体重は3.5 kgで, X線にて四肢の多発骨折を認めた. 血液生化学検査結果では, 低栄養, 低カルシウム血症, 腎機能障害を認め, 血中副甲状腺ホルモン: 1174.2 pg/mLであった. 短腸症による吸収不良に関連した腎機能障害による二次性副甲状腺機能亢進症と診断した. 入院後, 二次性副甲状腺機能亢進症に対して, カルシウム・リン投与量を調整し, 中心静脈栄養の投与量の増量を行った. 入院後3カ月で体重は5.71 kgまで増加し, 電解質異常も改善した. 現在, 在宅管理継続中である.

あとがき・編集委員名簿
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