サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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22 巻, 1 号
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  • 工藤 翔二
    2002 年 22 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 光岡 知足
    2002 年 22 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    皮膚, 上気道, 口腔, 咽頭, 胃, 腸管, 膣, 尿道などには, それぞれ部位によって特徴的な常在細菌がすみつき, 常在菌叢を構成している. 常在菌叢と宿主との問, および, 常在菌叢を構成する菌種問には平衡関係が成立しているが, 何らかの原因でこの平衡関係が破れると, 潜在的に病原性をもっている菌が敗血症, 肺炎, 肺膿瘍, 肺壊疽, 腹膜炎, 胆嚢炎, 胆管炎, 肝膿瘍, 下痢, 腸炎, 口内炎, 扁桃炎, 脳膿瘍, 髄膜炎, 腎孟炎, 膀胱炎, 膣炎, 産褥熱, 心内膜炎, 中耳炎, 結膜炎, 軟部組織膿瘍など, いわゆる“日和見感染”を惹き起こす. 平衡関係の乱れは, 抗生物質やステロイドホルモンの投与, 外科手術, ストレス, 糖尿病, 過労・老齢などが原因となる. また, 腸内菌叢は, 多岐にわたる代謝を行う酵素をもち, その結果, 宿主の栄養, 薬効, 生理機能, 老化, 発癌, 免疫, 感染などに大きな影響を及ぼしている.
  • 中沼 安二, 大場 一生, 原田 憲
    2002 年 22 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    PBC肝に高率にみられる類上皮肉芽腫の病理学的, 免疫病理学的意義を検討し, さらに菌体成分が肉芽腫形成のトリガーになっている可能性を検証した. PBC症例の40.8%に類上皮肉芽腫が見られ, 胆管炎, 門脈域の炎症が高度になるにつれ類上皮肉芽腫の出現頻度も増加した. また, 類上皮肉芽腫の周囲にオステオポンチン陽性の単核細胞や樹枝状細胞様の形態を示すS-100陽性細胞が散見され, 類上皮細胞にはHLA-DRおよびCD1dの発現を認め, 肉芽腫部で活発な抗原提示が行われていると考えられた. 類上皮肉芽腫部から選択的にDNAを抽出し, PCR法にて細菌16S rRNA遺伝子を増幅, 続いてサブクローニング施行後, 塩基配列から菌種の分子生物学的同定を行った. また, Propionibacterium acnes (P. acnes) に特異的なプライマーを用いてPCRを行い, P. acnes遺伝子を選択的に検出した. その結果, 類上皮肉芽腫内に種々の腸内細菌遺伝子, 特にP. acnes, Bacillus, Pseudomonasなどの腸内細菌遺伝子が高率に検出された. 特にP. acnesは, PBCの類上皮肉芽腫から高頻度に検出された. P. acnes遺伝子を選択的に検出したところ, PBCの肉芽腫からは全例に検出され, 対照群に比し有意に高率であった. 以上より, PBCの障害胆管周囲で高率に類上皮肉芽腫が形成され, 同部では活発な抗原提示が行われていると考えられた. また, PBCの肉芽腫部ではP. acnesを代表とした腸内細菌由来の菌体成分が集積しており, 肉芽腫反応の原因 (抗原) になっているものと考えられ, PBCの障害胆管での免疫応答に関与している可能性が示唆された.
  • 十河 容子, 田邨 カンナ, 遠藤 順治, 角 勇樹, 大谷 義夫, 海野 剛, 稲瀬 直彦, 三宅 修司, 今野 和典, 田中 健彦, 吉 ...
    2002 年 22 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシス (サ症) は, 若年者に多い疾患とされており, 65歳以上の高齢者の割合は比較的稀とされていた. しかし, 人口の高齢化に伴い, 高齢者においても増加傾向にある. 高齢サ症患者の臨床像を明らかにするために, 65歳以上の高齢者とそれ以下の非高齢者の問で, 画像所見を中心に臨床像を比較検討した. 対象は56例のサ症患者 (組織診断群41例, 臨床診断群15例) で, 高齢者15例, 非高齢者41例 (中年者17例, 若年者24例) であった. 高齢者は女性の割合が高く, 眼症状や呼吸器症状の自覚症状を有する例が多かった. 胸部平面エックス線写真では, 高齢者, 非高齢者ともにBHLを有するStage I, IIが多く認められた. HRCTにおいて, 高齢者では粒状影46.7%, 気管支血管束の肥厚40.0%に比べ, スリガラス影は20.0%, 浸潤影33.3%と主要な所見ではないものの, スリガラス影を生じた若年者は認められず, 高齢者で有意に高頻度に認められ, また浸潤影も若年者8.3%と高齢者に多い傾向がみられた. リンパ節腫脹の程度には差を認めなかった. 縦隔肺門リンパ節腫脹を認めたびまん性肺疾患症例や, 多臓器疾患症例では, 高齢者においても, サルコイドーシスも鑑別のひとつに挙げるべきであると思われた.
  • 立花 暉夫, 林 清二, 坂谷 光則, 片岡 幹男, 中田 安成, 石崎 武
    2002 年 22 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    1. 肝機能正常でも高頻度にみられる肝サ病変の検討のため, 腹腔鏡肝生検を実施し, その際7例に腹腔鏡で脾表面に肝表面と同様の粟粒大サ結節を認め, 全例脾機能元進を示さなかった. この7例の予後を追求しサの予後は良好であった.
    2. 腹部CT上脾に多発性SOLを認めたサ12例について, 臨床像, 腹腔鏡所見, 画像所見, 臨床経過を検討した. その結果, 40才以上女性, 胸部X線像肺野病変あり, 肝, 眼, 皮膚病変あり, 血清ACE高値が高頻度であった. 脾病変発見時期は約半数がサ症経過中であった. 腹腔鏡所見では多発性小白斑と共に比較的大きな半球状腫瘤様病変も認めた. 腹部超音波所見で脾の多発性低エコー域, 腹部CT, MRIでは多発性SOLを認めた. ス治療後, 腹部CT上のSOL消失例がみられたが, 治療継続経過中SOL再出現例や悪性リンパ腫疑いで摘脾後の経過中肺野病変出現例もあり, 慎重な経過追求が必要である.
  • 井上 幸治, 井上 義一, 新井 徹, 柏 庸三, 山本 暁, 田中 高生, 岡田 全司, 坂谷 光則
    2002 年 22 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の男性. 呼吸器症状を認めなかったが検診の胸部単純X線で両側肺門リンパ節腫大と両側上肺野優位の網状粒状影を指摘され, 当院紹介入院となった. 経気管支肺生検と皮下結節生検で類上皮細胞肉芽腫が証明されサルコイドーシスが疑われたが, 慢性ベリリウム症の発症原因になりうる3%未満の低含量ベリリウム合金の使用歴があった. 患者の末梢血と気管支肺胞洗浄液を用いて硫酸ベリリウムによるリンパ球刺激試験を行ったが, 結果は陰性であった. 以上より, この症例を低含量ベリリウム合金の使用者に認められたサルコイドーシスの一例と診断した. 低含量ベリリウム合金は規制対象外であり容易に使用可能である現状を考慮すると, 臨床医がサルコイドーシスと診断する際, 十分にベリリウムの暴露歴 (特ベリリウム合金の使用歴) を聴取し, 少しでも暴露が疑われるならば, ベリリウムリンパ球刺激試験により慢性ベリリウム症の可能性を除外する必要がある.
  • 田井 綾子, 鈴木 健司, 山口 正雄, 中込 一之, 小宮 明子, 黨 康夫, 飯倉 元保, 田中 良一, 土肥 眞, 三崎 義堅, 川島 ...
    2002 年 22 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性. 平成12年7月より四肢関節痛出現. 11月霧視が出現し近医を受診したところ, 硝子体雪玉状混濁, 網膜血管周囲炎, 黄斑浮腫が認められ, ぶどう膜炎と診断された. 眼所見からサルコイドーシス (サ症) が疑われたが膠原病の鑑別が必要と考えられ当院紹介され12月入院. 入院時, 両側手指・肩・膝・足関節炎を認めたが, 骨X線で骨びらんを認めず. CRP 8.9mg/dl, ESR 89mm/hrと強い炎症所見を認めた. ツ反陰性, γ-globulin 33.6%, lysozyme 11.6μg/mlと上昇. ACE 13.3IU/lと正常. リウマトイド因子陰性. 胸部X線, CTでは肺門肺野に異常を認めなかったが, BALFで総細胞数2.2×107, リンパ球34.4%, CD4/8比8.79と上昇. 右膝関節に67Ga uptakeを認めた. 慢性関節リウマチや血清反応陰性脊椎関節症は考え難く, サ症と診断した. 眼所見に対しPSL 30mg投与を開始し, 眼所見は軽減, 関節痛も速やかに消失, 血液炎症所見も陰性化し, ステロイド剤が著効を示した. サ症に強い炎症所見と関節炎を伴うことは比較的まれであるが, その場合膠原病との鑑別が重要と考えられた.
  • 大石 知瑞子, 千葉 厚郎, 作田 学
    2002 年 22 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性. 1998年右反回神経麻痺とぶどう膜炎が出現, サルコイドーシスと臨床診断した. 2000年7月ぶどう膜炎が再燃し, 11月味覚異常と右眼及び右口角違和感を自覚し, 12月右顔面神経麻痺を認め精査入院となった. 入院時, 眼科的には両側虹彩炎と眼底の血管炎, 神経学的には瞳孔の左右差あり, 対光反射は左で鈍, 右末梢性顔面神経麻痺と舌右半側で味覚低下, 右側でChaddock反射を認めた. 検査所見でACEは23.4U/lと正常範囲内であり, 髄液所見で細胞数及び蛋白の軽度上昇を認めた. 胸部エックス線写真, CTで両側肺門リンパ節の腫大を, ガリウムシンチグラムで上縦隔に強い集積像を認めた. 頭部MRI上, FLAIR画像では中脳水道周辺に高信号域がみられ, ガドリニウム造影で同部に増強効果を認めた. 経過とあわせて神経サルコイドーシスと診断した. プレドニゾロンを開始して症状は改善し, また頭部MRIでも中脳水道周辺のガドリニウム増強効果は消失した.
  • 山口 哲生, 山田 嘉仁, 河野 千代子, 星 作男, 天野 裕子, 渡辺 弘子, 渡辺 剛士, 三富 夏彦, 原 誠, 武村 民子
    2002 年 22 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    上咽頭を検索することで組織学的に確定診断のえられたサルコイドーシスの2例を呈示した. 症例1は68歳女性で, 胸部エックス線像上の肺野病変と眼病変, 血小板減少症を伴っていた. TBLBの承諾がえられず, 上咽頭を検索したところ腫瘤形成があり, 同部位の生検でサ症の組織診断がえられた. 軽度の喘息症状があり, ベクロメサゾン (BDP) の吸入を行っていたが, 10ケ月後の上咽頭の再検では腫瘤の著明な縮小が認められた. 症例2は23歳の男性でBHLを呈し, TBLB検査結果は陰性であった. 上咽頭の検索で粘膜に一部粗造な部分があり, この部位の生検でサ症の組織診断がえられた. 無治療で経過観察し, 10ケ月後に再検したところ上咽頭粘膜はほとんど正常に復していた.
    2症例ともほとんど無症状で, 上咽頭の病変では自覚症状は呈していない. 上咽頭検索は外来でも行える非侵襲的検査であり, 組織学的確定診断のえられていないサ症疑い例には今後積極的に施行してもよい方法と考えられる.
  • 高橋 葉子, 四十坊 典晴, 北田 順也, 鈴木 一彦, 鈴木 明宏, 寺本 信, 山田 玄, 阿部 庄作
    2002 年 22 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性. 高カルシウム血症と腎機能障害を主訴として入院となった. 患者は血中および尿中カルシウムと活性化ビタミンDの上昇を伴っており, レントゲン写真とCT所見で両側肺門リンパ節の腫大と腎結石を認めた. 肺と縦隔リンパ節生検で乾酪壊死を伴わない肉芽腫を認め, 腎生検では硬化性糸球体腎炎の所見と尿細管へのカルシウム結晶の沈着を認めた. 血清カルシウム値と腎機能並びに活性化ビタミンDは副腎皮質ホルモンによる治療の結果低下し改善した. 腎病変を伴ったサ症について文献的考察を加えて報告する.
  • 松井 祥子, 山下 直宏, 朴木 久恵, 宮林 弘太郎, 菓子井 達彦, 多喜 博文, 丸山 宗治, 小林 正, 松井 一裕, 武村 民子
    2002 年 22 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性. 2000年10月に眼サルコイドーシスと診断され, 点眼治療を受けた. その2カ月後, 特に誘因なく増強する呼吸困難にて, 近医入院. 低酸素血症と, 胸部X線上, びまん性スリガラス様陰影を認め, 当院へ転院となった. 経気管支肺生検の病理組織所見にて, 類上皮細胞肉芽腫が認められたが, その組織所見の特徴および, 入院後無治療で急速に改善した臨床経過から, 過敏性肺臓炎と診断した. 6カ月後, 発熱を自覚し再入院. 胸部X線上, 右下肺に新たな結節影を認めたため, 胸腔鏡下肺生検を施行し, 肺サルコイドーシスの診断を得た. 本症例は, 興味ある臨床経過をたどり, また, その病初期に過敏性肺臓炎に類似した病理組織像を呈したことから, 肺の肉芽腫性疾患の鑑別診断を行っていく上で, 貴重な症例と考えられた.
  • 赤川 志のぶ, 倉島 篤行, 町田 和子, 四元 秀毅
    2002 年 22 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシス (サ症) と結核との関連をみるために, 15の国立療養所に依頼し, '89年から'98年の10年間に入院した菌陽性結核, サ症, 両者合併例およびその臨床像についてアンケート調査を行った。各々の総数は11,171例, 224例, 6例であった。合併例は女4例, 男2例, 年齢は56-75歳, サ症先行は4例で, うち2例はステロイドが投与されていた。サ症病期はI期3例, II期2例, III期1例で, 結核は肺結核3例, リンパ節結核2例, 粟粒結核1例であった。サ症有病率が人口10万対5.1なのに比べ, サ症合併は菌陽性結核10万対53.7と有意に高い頻度で認められ, サ症と結核との間になんらかの関連性が示唆された。
  • 森松 嘉孝, 宇津 秀晃, 本田 和, 古賀 丈晴, 木下 正治, 力丸 徹, 相澤 久道
    2002 年 22 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 2002/10/12
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    症例は77歳男性. 皮膚生検にて皮膚サルコイドーシスと判明. 同時に肝機能障害, 脾腫を指摘され, 肝生検の結果, サルコイドーシスによる肝病変と診断. その後, 門脈圧亢進症状が出現し, プレドニン投与を続けていたが, 投与開始23ヶ月後より呼吸困難出現し, 急性呼吸促迫症候群となり挿管. 喀痰のニューモシスチス・カリニPCRが陽性であり, 末梢血中のリンパ球数及びIgGの低下を認め, ステロイドによると思われる免疫抑制状態が判明した. ステロイドパルス併用ST合剤投与を行い, 血液ガスデータ及び胸部画像所見は改善, 抜管した. 難治性肝病変を呈するサルコイドーシスにステロイド治療を行う場合, その合併症, 特に感染症には十分注意する必要がある.
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