土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
141 巻
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  • 吉田 修一郞
    2019 年 141 巻 p. 1-2
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
  • Ca NGUYEN THI, Shoichiro HAMAMOTO, Taku NISHIMURA
    2019 年 141 巻 p. 3-18
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    メコンデルタには硫酸酸性土壌や塩類土壌が広く分布する.土壌の化学性の改良の際には,物理性の劣化を最小限にすることも重要である.また,メコンデルタの土壌団粒については,よくわかっていない.そこで本研究では, 塩性 Na 土(SS,pH= 5.5),硫酸酸性土 (ASS,pH= 2.7) と沖積土(AS,pH= 4.6)に卵殻(CaCO3 の代替)ならびに鶏ふん堆肥(以下鶏ふん)を施用した後,土壌 pH と団粒安定性の変化を調べた.培養は,土壌と鶏ふん,卵殻を混合した後,室温 25 ◦C の下,圃場容水量で適宜換気,CO2測定をしながら 45 日間実施した.団粒安定性評価は予め行った団粒安定性試験を参考に培養後の土壌から 2 ∼ 5 mm サイズの風乾試料を調製し,これを急速に漬水した後の平均重量直径で行った.CO2 発生量から,鶏ふん施用 SS,AS では,鶏ふんの分解が示唆されたが,ASS ではほとんど分解しなかった.鶏ふん · 卵殻混合物施用の場合,ASS では,初期に卵殻の炭酸 Ca の反応,その後は鶏ふん等有機物の分解が,SS と AS ではいずれも鶏ふん等有機物の分解が CO2 発生の主因であると考えられた.鶏ふんは,施用量に応じて SS と AS の pH を改善したが ASS では pH 改善効果がなかった.鶏ふん · 卵殻混合物を施用すると ASS において卵殻のみの場合よりも有意に pH が上昇し,有機物の分解も pH 改善に寄与していることが示唆された.鶏ふんならびに鶏ふん · 卵殻混合物の施用後,団粒安定性が向上した.特に pH が非常に低い ASS において,卵殻の炭酸 Ca による pH 上昇が鶏ふん等有機物分解による,団粒安定性向上促進に寄与したと考えられる.
  • 大西 健夫, 田代 悠人, 楊 宗興, 白岩 孝行
    2019 年 141 巻 p. 19-29
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    必須元素の鉄は地球全重量の 30 % 程度とありふれた物質でありながら,海洋ではサブ nmolレベルでしか存在せず,大気および河川を介して陸域から供給されている.そのため,陸域の鉄動態、殊に土壌中での挙動を理解することは極めて重要な研究課題である.土壌における溶存鉄生成メカニズムおよび 凍結融解が溶存鉄生成に及ぼす影響に関する既往知見より,(1) SOM(Soil Organic Matter)と土粒子を 構成する鉄とが連成的に挙動すること,(2) 特に凍土の凍結融解下では,融解層厚が溶存鉄生成量に影 響を及ぼしうることがわかる.また,アムール川流域においては,1990 年代後半における溶存鉄濃度の異常な上昇が観測され,凍土融解がその要因の一つである可能性がある.現場観測と長期の凍土融解層 厚の変動解析はその可能性を支持している.既往の研究を踏まえて、鉄と錯形成する有機物の類型化,凍結融解時の鉄,溶存有機物の挙動把握が重要であることを示した.
  • 石黒 宗秀
    2019 年 141 巻 p. 31
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
  • 水野 直治
    2019 年 141 巻 p. 33-39
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    これまで土壌の生産力制限因子を追求してきてつぎのことが明らかになってきた.1)ニッケル過剰ではニッケルに対して鉄が 10 倍以下になるとニッケルの過剰が現れ,コムギの銅欠乏では銅が鉄の 0.8% 以下になると欠乏が発現する.2) 有害または有効の成分は土壌に存在する全元素含有率でなく,溶け出すイオン濃度で決まる.害作用はその平均元素濃度の 5 ∼10 倍以上で発現し,欠乏は反対に平均値の 1/5 ∼ 1/10 以下で発生する.3) 土壌成分の溶解度は全含有率の大小の他に,土壌の pH と酸化還元電位,粘土鉱物の種類および有機物含有率で変化する. 4) アルミニウムイオンは作物の抑制にも土壌病害菌の抑制にも働く.
  • 金田 吉弘
    2019 年 141 巻 p. 41-48
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    近年,我が国の水稲栽培においては,大区画圃場整備や機械の大型化が進んでいる.また,主食用米の他,多収を目指す飼料用米など多様な水稲栽培が展開されている.一方,夏期の気温が上昇傾向にあり,品質への影響が大きい.本報告では,耕起方法の改善や地下灌漑システム(FOEAS)により,根圏環境が良好になるため,高温下において品質の低下が軽減されることを示した.また,土壌の養分収支を明らかにした.ケイ酸収支は,すべての栽培においてもマイナスであった.ケイ酸は高温下において品質向上に有効であった.次に,多収栽培における稲わらの腐熟促進方策を示した.最後に,土づくりは,単に土壌改良資材や土づくり肥料の施用に限定されたものではなく,根圏環境改善を目的とした機械作業も含む総合管理であることを提案した.
  • 光延 聖
    2019 年 141 巻 p. 49-55
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    微生物は土壌や堆積物などの表層環境に普遍的に存在しており,様々な物質の環境動態に影響を与えている.環境微生物の大半は難培養性であり,また微生物自体のサイズが微小で直接観察が難しいことなどから,土壌など表層環境における微生物,元素,鉱物間の相互作用には未解明な点が多い.そのため,土壌における微生物 – 元素 – 鉱物相互作用を詳細に理解するためには,新しい in situ(原位置)微小領域観察法が必要とされる.本稿では,最近の我々の研究成果を紹介しながら,マイクロスケールの高い空間分解能で元素化学種の決定が可能な X 線顕微鏡(マイクロ X 線吸収微細構造法),遺伝子可視化法や微小電極法などを組み合わせ,土壌中の微生物 – 元素 – 鉱物反応を直接観察に基づいて解き明かす試みについて解説する.
  • 池田 成志
    2019 年 141 巻 p. 57-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    農業に起因した環境汚染やエネルギーの浪費を抑制するための手段として有用微生物の活用は以前から長く期待されてきた.しかしながら,効果が不安定であることから農業現場での利用は停滞している.このような現状を打破し,有用微生物の機能を利用した持続的な農業体系を構築するためには,それら微生物が根圏土壌や植物組織に積極的に定着し,有用機能を発揮するような環境条件を人間が整えることが重要である.そのために,物質循環を通した宿主植物と共生微生物(群集)の相互作用を解明すること,関係する代謝機能や代謝物質等の研究を進めること,それら相互作用に影響を及ぼす環境因子を特定することが必要である.以上のような知見を活用し,微生物群集の制御 · 利用技術の開発をすることが持続的農業の構築に寄与すると期待される.
  • 粕渕 辰昭, 荒生 秀紀, 安田 弘法
    2019 年 141 巻 p. 65-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    江戸時代に開発された水田の多数回中耕除草法を現在の農法のなかで再現することを試みた.具体的には,苗は露地でプール筏育苗を行い,中耕除草はチェーン除草装置付きのミニカルチを用い,中耕除草 回数は 0 ∼ 16 回まで行った.その結果,中耕除草回数が 4 回以上で慣行農法に近い収量が得られただけでなく,食味値 85 以上で 1 等級に格付けされる高品質となった.このことは多数回中耕除草法により土壌撹拌を繰り返すことで,除草と同時に土の攪拌により,物理的には均一化 · 膨軟化 · 透水性の改良,化学的には分解作用の促進,生物的には光合成微生物群による窒素固定量の増加,生態的には水田生態系の成立と病虫害の低下が考えられた.多数回中耕除草法はイネと水田の機能を生かし,省資源 · 低投入 · 環境との調和を目指す新たな水田農法の可能性を示した.
  • 柏木 淳一 , 塚本 康貴
    2019 年 141 巻 p. 71-74
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
  • 2019 年 141 巻 p. 75-84
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    平成 30 年 10 月 27 日,第 60 回土壌物理学会大会が北海道大学において開催された.ポスターセッションは 51 課題の発表が行われ,熱心な討論が交わされた.ポスターセッション発表要旨の概要を資料としてここに掲載する.なお,発表要旨の全容は学会ホームページ上で閲覧可能である.
  • 石黒 宗秀
    2019 年 141 巻 p. 85-90
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/03
    ジャーナル フリー
    ラングミュアの式は,吸着の基礎理論として最も重要であり,種々の複雑な吸着現象も,この理論に立ち返ることにより理解を深めることができる.ここでは,適用例を紹介するとともに,3 種類のラングミュア式の導き方を示す.最初に,ラングミュアが求めた吸脱着速度による平衡式を示し,質量作用の法則による方法とボルツマン分布を用いた方法についても記す.そして,土壌への吸着現象に適用する際の注意点を述べる.ラングミュア式は,拡張して利用することができる.均質でない吸着サイトにもラングミュア式が適用され,ラングミュア式を用いてフロインドリッヒ式を求めることができる.吸着分子が電荷の影響を受ける場合には,電気ポテンシャルを組み入れたラングミュア式を適用できる.ラ ングミュア式の考え方は,多成分の吸着へも拡張可能であることを示す.
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