日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
7 巻, 1 号
7巻1号(通巻13号)
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
表紙・目次
原著
  • 富田 真由美, 岩崎 敬子, 谷村 和津代, 山崎 昌子, 安田 慎治, 中野 博重
    1991 年 7 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー
     当院ではS状結腸人工肛門患者全例に入院中に洗腸療法の指導を行っており,注腸造影法を用いた残存大腸容量測定による適切な洗腸液量の決定も行っている。今回,当院オストメイト会会員に対しアンケート調査を行い残存大腸容量測定の意義について検討した。アンケート回収者64名の内訳は男性40名,女性23名,記載無し1名,平均年齢は65. 3歳であった。洗腸療法施行者は31名であり,残存大腸容是測定者は21名であった。洗腸療法施行者の90. 3%は,この管理法に満足していた。測定者の残存大腸容量の平均は620ml,注入量の平均は680ml,非測定者における平均は745mlであった。洗腸後に腹部症状の生じる割合は,測定者14. 3%,非測定者20%であった。洗腸後24時間以内に排便のみられた割合は,測定者19%に対し,非測定者60%と有意差を認めた。以上の事から,個々の患者に応じた洗腸液量を測定し,適切な指導を行う事は有意義であると考えられた。
  • 沼田 悟, 五十嵐 正利, 吉川 隆造, 田沢 賢次
    1991 年 7 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー
     ストーマ周囲の保護性に優れた新しい皮膚保護剤(以下保護剤)を開発するため,カラヤガム及びCMCを主成分とする保護剤(以下CKB系)を検討した。市販の2種類のCMC系保護剤と比較物性試験及び比較貼付試験を行い評価したところ,次の結果を得た。
    1. CKB系保護剤は,水により膨潤するため,開口部周辺を長時間被覆する。
    2. 市販保護剤2種類には膨潤現象はみられず,貼付2日目から,開口部外側への欠落,溶解がみられた。
    3. CKB系保護剤は比較に用いた2種類の市販保護剤よりも,ストーマ周辺の保護性に優れていた。
  • 平井 孝, 加藤 知行, 中里 博昭, 五十嵐 正利, 吉川 隆造, 野原 清水
    1991 年 7 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー
     726人のオストメイトヘのアンケート調査(特に現在の悩みについて)の結果を報告した。個人個人により順位付けされた悩みの頻度,さらにdynamic rehabilitationの考え方のもとに術後経過期間と悩みの関係を検討した結果,全期間を通じて最も多い悩みは,将来の健康と病気の再発であった。5年以上経過例に対して精神的負担の軽減を計ることの必要性が示された。また,全ての悩みが経時的に減少の傾向をみせるが,10年以降も80%以上の人がなんらかの悩みをもっており,長期にわたるそれぞれの悩みのdynamic rehabilitationが重要であると考えられた。
  • 乾 紀子, 高橋 弘美, 伊藤 いさを, 林 圭子, 舟山 裕士, 武田 和憲, 佐々木 巖
    1991 年 7 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー
     重症急性膵炎や重症腹膜炎に対し,オープンドレナージにイレオストミー造設を併施した7例を対象に,入院中のイレオストミー管理上の問題点を 1. ストーマの位置 2. ストーマの合併症 3. スキントラブル 4. 使用装具 について検討した。
     その結果,1. 術前にストーマサイトマーキングを行う。2. ストーマサイトマーキングは装具装着が可能で創部から出来る限り離れた位置とする。3. 術後のストーマの状態に応じた装具の選択,ストーマケアの工夫 などが重要であり,オープンドレナージにおけるストーマ造設,および管理の原則について述べた。
  • 尾崎 晴美, 瓢子 喜代美, 大木 繁男
    1991 年 7 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー
     ウロストメイトの中には快適な睡眠を得る目的で就寝時にドレナージを行っている場合があるが,その多くは許容量が2500mlの閉鎖式蓄尿袋を用いている。しかし,これはベッドサイドに吊すように設計されているため,家庭では布団を重ね高くし落差をつけたり,ベッドを使用しなければならない。さらに,ドレナージチューブが引っ張られ,寝返りの邪魔になったり,接続がはずれる等不眠の原因となっていることもある。今回これらの問題で不眠を訴えたウロストメイトにインケア・レッグバッグシステムを使用した。これは身体と密着し,体動の邪魔にならないよう右下腿に装着した。この結果,寝返りが自由で,夜間の覚醒がなく熟睡感が得られた。
  • 清滝 修二, 青木 豊, 野垣 譲二, 賀屋 仁, 斉藤 忠則, 岡田 清己
    1991 年 7 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー
     尿路変向術(urinary diversion)を受けた患者にとって,ストーマケアは極めて肉体的かつ精神的な負担をもたらすものである。従来の主流であった非禁制の尿路変向術式のみならず,最近になって膀胱以外の臓器(回腸,結腸,直腸など)を用いた様々な代用膀胱が注目されてきた。われわれの施設では1984年から,回腸を使用して尿の逆流防止と失禁防止という,代用膀胱としての重要な機能を有した腸重積弁を作成するKock pouchをおこなってきており,現在までに尿道と吻合した自己(自然)排尿式代用膀胱を含め68症例を数え,この術式についておおよその評価をできるに至った。よって自己導尿式機能的代用膀胱であるKock pouchを中心に述べる。
地方会抄録(地域研究会記録)
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