日本の腸瘻・人工肛門・直腸癌医療の歴史を医学中央雑誌が刊行された1903年から第二次世界大戦まで(1941年)の論文を対象に研究した。
腸瘻の外科治療は1930年代になって普及し1940年には一期的手術が定着した。
直腸癌の手術は1903年すでに切除の記録があるが、背方切除―背部人工肛門法であり、人工肛門を左下腹S状結腸に造る方法は姑息的なものとして1920年には定着していた。
直腸癌の手術を腹背合併しておこなう術式は1906年すでにおこなわれ独逸の雑誌に報告しているがそれが普及するのは1920年代後半で二期的になされ、人工肛門が左下腹に造られるようになったのは1930年代後半である。それが一期的におこなわれた最初は1937年でマイルスの手術は1940年に第1例がおこなわれたが二期手術であった。1925年世界に先んじて萩原は体外に出された腸の漿膜は胼胝狭窄を起こすとし一期的粘膜皮膚縫合をすすめている。
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