表面科学
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10 巻 , 10 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
  • 御園生 誠, 奥原 敏夫
    1989 年 10 巻 10 号 p. 618-624
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    固体触媒における最近10年の科学・技術の進歩をまとめた。触媒技術においては合成化学プロセスと環境保全関連でとりわけ我が国で着実な進展があった。前者では, ZSM-5を中心とする新型ゼオライトの登場とその分子形状選択反応を初めとする新反応への展開が注目される。後者では, NOxの還元除去技術や自動車用三元触媒の確立があげられる。
    複合酸化物触媒については機能解析が進んだ他, 新しい複合酸化物も次々に登場した。酸・塩基では, 超強酸触媒の開発, 塩基触媒によるメタンのカップリング反応が注目される。C1化学では, 優れた要素技術の蓄積が見られた。新しい触媒調製技術として金属錯体化学を活用した方法, CVD, CLDによる薄膜触媒の調製がある。
    固体触媒の解析に表面科学 (電子分光, EXAFS, 固体NMRなど) の成果が活発に導入され, 触媒表面の理解が大いに深まったことも特筆される。表面科学としての触媒の分野では, 金属単結晶をモデル触媒として活性点構造の解明が進展した。ここでは, Fe単結晶上のアンモニア合成を紹介した。
  • 栃原 浩
    1989 年 10 巻 10 号 p. 625-630
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    金属単結晶の表面と界面に関する表面科学的実験研究の最近の重要な知見について解説した。清浄表面では走査型トンネル顕微鏡によるAu (111) の再構成面の研究およびX線回折によるW (001) c (2×2) _〓_1×1の構造相転移について述べた。金属界面では, Ag (111) /Au (111) の量子井戸, およびfcc-Fe (100) /Cu (100) の表面磁性について紹介した。
  • 延与 三知夫, 国松 敬二
    1989 年 10 巻 10 号 p. 631-643
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    “電極表面の10年の歩み” について, 主として1980年代に入って発展した, (1) 単結晶電極作製技術の確立およびそれら単結晶電極と電解質溶液との界面における電気化学ならびに電極触媒に関する研究, (2) upd金属等による表面修飾, (3) ラマン, 赤外によるin situ振動表面分光法の発展と電極系への応用, 表面吸着種の同定等について述べ, また (4) STMによる表面の直接観測, (5) DEMS法の発展と電極反応中間体の追跡, それによる反応機構の決定, 等について概観し, 今後の発展に向けての展望を試みた。
  • 塚田 捷
    1989 年 10 巻 10 号 p. 644-650
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    STM/STSを始めとする種々の強力な実験法の開発, 局所密度汎関数法に基づく非経験的電子状態計算の進歩などにより, ここ10年間の半導体表面研究は画期的な発展を示している。Siを中心とした半導体表面再構成構造の解明, Si表面上の金属吸着系の諸問題を例として, 半導体表面研究の最近10年の動向を紹介し, 今後の方向を探る。
  • 辻井 薫
    1989 年 10 巻 10 号 p. 651-658
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    コロイドおよび界面科学分野における, 主として最近10年間の研究の進展について概説した。研究の進展は他の学問分野との学際領域で特に活発である。それらの例としては, 生物学との接点であるbiomimetics (二分子膜, ベシクル, リポソーム, 刺激応答膜, 自励発振膜など), 物理学との境界でmolecular electronics (LB膜, 超薄膜絶縁膜, レジスト膜など), 高分子化学との接点でorganized polymerization (重合ベシクル, LB膜・二分子膜中重合など) などを挙げることができる。一方, コロイド・界面科学個有の分野においても, 研究手法の発達, 異分野の研究者の参入等によって新しい研究の展開が見られる。それらの中から超微粒子と粒子間相互作用の問題を特に取り上げた。以上の分野における代表的な研究の紹介を行うとともに, 筆者の感想と展望を付け加えた。
  • 市川 禎宏
    1989 年 10 巻 10 号 p. 659-665
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    最近の表面研究の隆盛には目を見張るばかりである。表面物性の新しい測定手法が開発・応用される一方では, これまでの測定手法の高度化と新しい対象への応用が行われ, 表面の物理的性質に関する情報が急速に豊富となっている。
    表面の諸性質を理解する上で, 表面の原子配列は不可欠な知識である。電子回折法は表面の構造を調べるための標準的な手法といえるもので, 60年程の長い歴史を持っている。超高真空技術や試料調整法等の周辺の技術の発展のおかげで最近では, 表面電子回折法は比較的楽にだれもが行える手法となっており, 構造に関する研究のかなめとなるプローブとして使われるだけでなく, 試料の結晶性の良し悪しの判断等の補助的な構造評価にも盛んに利用されるようになっている。その結果, 電子回折法の優れた特性が更に一層確認されることになり, 表面研究の主要な手法としての座を益々確固としたものにしている。
    この小文では, 表面電子回折研究の歴史に簡単に触れた後, 最近の反射高速電子回折の研究に重点を置いて展望を行いたい。
  • 菊田 惺志
    1989 年 10 巻 10 号 p. 666-675
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    従来, 表面や界面の構造評価には電子回折法が広く利用されてきた。これに対してX線を用いる方法はバルクの結晶がおもな対象であった。これはX線の原子による散乱能が電子のそれに比べて5~6桁くらい小さく, 解析可能な散乱強度を得るにはかなりの数の原子が必要なことによっていた。しかし最近, 電子ストーレッジリングからのシンクロトロン放射や高出力回転陽極型X線発生装置のような高輝度のX線源を利用することにより, 表面や界面の構造の評価が可能になった。評価法としては主としてX線表面回折法, X線定在波法と表面EXAFSが用いられている。ここでは回折法に限って, X線表面回折法とX線定在波法についてその測定原理と測定例, 最近の研究動向などを述べる。
  • 青野 正和, 片山 光浩
    1989 年 10 巻 10 号 p. 676-685
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    低速イオン散乱分光 (LEIS法またはISS), 中速イオン散乱分光 (MEIS), 高速イオン散乱分光 (HEISまたはRBS) による表面構造解析のこれまでの発展を振り返り, 現状について実際の研究例をあげながら解説し, 将来の展望を行っている。
  • 細木 茂行
    1989 年 10 巻 10 号 p. 686-692
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    STMの発明から現在に至る研究を振りかえり, 原子構造に関連する主要な研究についてまとめた。
    STMを観察する上でまず問題となる装置的課題のうち, 機構上の問題を除外して探針や真空について述べる。
    観察結果としてSi (111) および (001) 清浄表面に現れる7×7と2×1再配列構造を中心に, それらへの金属原子の付着による吸着構造について言及する。他に金属表面および生体・高分子の観察例を簡単に説明する。
    現在までの観察結果と本年開催された国際会議動向から今後の研究を展望する。
  • 宮崎 栄三
    1989 年 10 巻 10 号 p. 693-696
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    光電子分光法の利用が従来にくらべ多岐にわたってきた。表面の電子状態の構造のみならず, 幾何学的構造の解析手段としても重要になってきている。これは, 軌道放射光の利用によるところが大きいが, 感度や分解能の向上にも原因している。今後はレーザー光の併用により表面分子の励起状態の研究が発展することが期待される。
  • 中島 尚男, 福永 敏明, Jürgen CHRISTEN, Dieter BIMBERG
    1989 年 10 巻 10 号 p. 697-702
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    走査型カソードルミネセンス法を用いてGaAs-AlGaAs量子井戸を評価すると, ヘテロ界面の凹凸に関する情報が単分子層の尺度で得られる。ルミネセンス・スペクトルおよびルミネセンス・パターンからどの様な情報が得られるかについて紹介し, 走査型カソードルミネセンス法の有用性を示す。特に, 波長, 時間, 空間分解することにより, 量子井戸の評価には有力な手段となることを示す。
  • 徳高 平蔵
    1989 年 10 巻 10 号 p. 703-709
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    オージェ電子分光法 (AES) は走査型電子顕微鏡と組み合わせた走査型オージェ電子顕微鏡 (SAM) の登場でその頂点に達した。以後は, その使い易さ, 高性能化の歴史である。AESは膜成長の様子, ガス吸着の様子をモニターするのに使われてきた。さらに, 定量化AES法は固体表面の組成分析に使用されている。
  • 副島 啓義
    1989 年 10 巻 10 号 p. 710-717
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    EPMAの概要と発展の歴史および今後の見通しについて述べた。特に組成分析の能力, 薄膜の分析能力, 表面微小部の分析能力については考察も行なった。
    分析感度を最も左右する分光器の回折強度は年代とともにほぼ直線的に向上しており, 重元素・軽元素は10年で約5倍に, 超軽元素は10年で約10倍になっている。いずれもまだ限界には達していない。これにより多くの元素の検出限界濃度は毎秒あたり10ppm程度になっており, 1ppm以下の元素もある。全く未知な微小領域の全元素対象の定性分析はベテランオペレーターに依るところが多かったが, 高速自動分析・判定が可能になった。サブミクロン以下の薄層の定量分析法は理論的にもバルクの場合と異なるが, モンテカルロ法による定量法が発達してきている。表面100Å・10Åの層は通常はEPMAの分析対象とはされていないが, 高性能な装置では10Å層の数%の重元素・軽元素の検出が可能である。ただし下地との区別には問題がある。薄膜中あるいは最表面の微粒子に対する空間分解能はバルクとは異なり, 特に横方向の分解能は最終的には入射電子線径まで向上する.
    EPMAは装置も分析技術も完成度は高いが引き続き進歩している。装置の普及が進むにつれ, 分析技術の普及・伝承も重要な時期にきている。
  • 松井 良夫
    1989 年 10 巻 10 号 p. 719-725
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    最近10数年来の高分解能電子顕微鏡法の発展を, 装置・応用の両面から振り返りまとめてみた。装置面では, (1) 点分解能が0.1nm (1Å) 台に入った, (2) 高輝度のLaB6電子銃が実用化した, (3) TV観察システムやオンライン画像処理技術が発展した, (4) 微小部分析と高分解能観察の併用が1台の装置で可能となってきた, 等の点が特に重要なポイントとして挙げられた。高分解能電顕法はこれまで様々の材料へ応用され成果を挙げてきたが, 最近では高温超伝導酸化物の表面・界面の解析にも有効に用いられ, 有用な知見が得られていることがBi系及びY系超伝導体での実例をもって示された。
  • 吉原 一紘
    1989 年 10 巻 10 号 p. 726-731
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    最近の急激な技術革新にともない, 表面処理技術の発展にも著しいものがある。特に金属材料に関しては材料が使われる環境が過酷になるにつれ, 従来のめっきを中心とした湿式の表面処理から, 耐食性・耐摩耗性に優れたセラミックスをコーティングする, CVD, PVD等のいわゆるドライな表面処理技術の開発にターゲットが紋られてきている。ここでは, これら新しい表面処理技術の代表として金属表面のセラミックコーティング技術の概要と, 現在, この技術において最も問題となっている密着性の向上方法について, 表面分析を利用した解析結果に基づいた改善方法を述べ, 金属の表面処理という純技術的分野であると思われているところにも表面科学が十分寄与していることを指摘する。
  • 浅川 潔
    1989 年 10 巻 10 号 p. 732-737
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    III-V族化合物半導体の電子・光素子の集積化に必要な, 低損傷・高平滑なドライエッチングの最近の研究成果を述べる。本研究では, 特に電子や光の活性領域への微細加工が可能なように, 加工面が原子層レベルで滑らかで, 汚染がなく, 加工損傷が十分抑制されることを主眼とした。このため, 従来主として, Si-LSIで用いられたプラズマエッチングに比べて, エッチングの反応素過程の高制御化・高精密化を達成すべく, 装置の高清浄化・エッチングパラメーターの高制御化に努めた。そこでは, 高清浄プラズマであるECR型RIBE (反応性イオンビームエッチング) を主体に, 超高真空技術・ “その場” 表面分析技術等の新しい試みを取り入れた複合ドライエッチング装置を製作し, 従来にない高清浄なドライエッチングを達成した。本稿では, i) GaAs・AlGaAsの高度な平滑・垂直エッチングの達成, これを利用した垂直加工共振器端面レーザーの実現, 及び優れた特性の確認, ii) 超高真空装置に適用可能なラジカルビームによる表面クリーニングの提唱及び有効性確認, を中心に述べる。
  • 川村 益彦
    1989 年 10 巻 10 号 p. 738-743
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    潤滑油は機械装置の動く部分に作用して摩擦や摩耗を制御する働きをする。滑りあう二つの固体表面間が潤滑油の流体膜で分離されている流体潤滑領域では, 摩擦, 摩耗共に極めて少ない。潤滑条件が厳しくなると油膜厚さが小さくなり, 固体表面が油膜を介して弾性変形しつつ潤滑される弾性流体潤滑となる。これら二つの潤滑機構については流体力学及び固体の弾性理論によってほぼ解明されている。さらに厳しい潤滑条件では固体間はもはや流体膜のみでは分離できなくなり, 表面の一部が直接接触する境界潤滑となる。この領域で摩擦, 摩耗を制御するために各種の添加剤が用いられている。
    添加剤には, 表面に吸着して潤滑性を持つ皮膜を形成する油性剤や, 油膜が破断した際に発生する摩擦熱により表面と反応して強固な潤滑膜を形成する極圧剤がある。
    これら添加剤の作用機構について検討した例を紹介した。添加剤が作用する場所は二つの固体表面に囲まれ, しかも互いに運動している界面である。したがって, 潤滑中の添加剤の挙動を直接観察することは出来ない。ここに潤滑研究を行なう上での難しさと問題点がある。
  • 馬場 宣良
    1989 年 10 巻 10 号 p. 744-751
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    従来からの表面処理といえば金属の表面に美観を与えたり, 耐食性あるいは耐摩耗性を付与することであった。最近はこれらの処理よりもっと高度な機能をもった薄膜を固体の表面に作製する方法として, 種々の機能性表面処理技術が開発されてきている。例えばLCDやECDなど表示材料の表面処理, あるいは高密度磁気記録媒体の薄膜作製法などである。ここではこれらの表面処理を乾式法と湿式法とに分けて概説した。
  • 岩木 正哉
    1989 年 10 巻 10 号 p. 752-757
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    イオンビーム照射効果の中で, 最近注目を浴びている注入効果を中心とした固体材料の表面・表層・界面の改質について解説した。イオン注入と言われるエネルギー領域でのイオンビーム照射は, 表層への粒子添加およびエネルギー付与による照射損傷の導入を特徴としている。この特徴を利用したポリマーの改質では, カプトン-Hの表層導電化, ポリアセチレンのp-n接合形成, 医療用シリコーンゴムのぬれ性などを紹介した。炭素材へのイオン注入では, ダイヤモンドの表層導電化と電気化学的性質, またグラッシイカーボンの耐摩耗性改善などについて言及した。金属表層のセラミックス化については, AlへのNイオン注入による結晶性AlNの形成について紹介した。イオンビームによる表層改質と薄膜形成の関連という観点から, 改質層上への薄膜コーティングが従来法に比べて優れた特性を持つことを, N注入Al上へコーティングしたAlNの電気特性, イオン注入工具鋼へコーティングしたTiNの耐摩耗性を例に示した。更に, イオンビーム照射による薄膜の結晶化の例として, AlN0.8へのNイオンビーム照射によるc軸配向性AlNの結晶成長について紹介した。これらの結果は表面・表層・界面の改質へのイオンビームの有用性を示している。
  • 高橋 彰
    1989 年 10 巻 10 号 p. 758-764
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    固体表面上への高分子の吸着を, 低分子吸着と比較したときの特徴を述べた。吸着によって高分子鎖のエントロピーは減少するが, 吸着コンホーメーション (吸着形態) にランダムコイルとは異なる多様性のあることを指摘した。高分子吸着の一般的性格を明らかにした上で, 吸着層厚さtの分子量 (M) 依存性について説明を加え, Θ 点でtM0.5, 良溶媒系でtM0.4となることを示した。高分子吸着が多方面の応用分野に関連をもち, 各分野でそれぞれ役割を果たすに最適の吸着コンホーメーションのあることを2, 3の例について示すと共に, 現在では吸着高分子の分子設計及び吸着条件の調整によって, これらコンホーメーションの制御がほぼ可能であることを示した。また固体表面改質の一手段として表面重合の例も示し, 今後の高分子吸着研究の展望を行った。
  • 金原 粲
    1989 年 10 巻 10 号 p. 765-775
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    一般にPVD, CVD法として知られている薄膜形成法によって薄膜ができるときの核生成, 核成長, エピタキシーなど, 主として初期過程に関する現在までの研究成果を概観し, 現状と将来の発展の動向を示した。
  • 新庄 輝也
    1989 年 10 巻 10 号 p. 776-781
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    2種類の金属を交互に積層した多層超薄膜 (人工格子) の場合, 種々の界面を人工的に合成することができる。本稿ではFe/V, Fe/Mn, Mn/Sb, Fe/MgおよびFe/Ndの場合について界面がどのように混じり合っているかなどを検討した結果を述べる。磁性測定手段 (特にメスバウアー分光法) が界面を微視的に考察するために有効であることを紹介する。
  • 中嶋 一雄
    1989 年 10 巻 10 号 p. 782-789
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    LPE法とVPE法の10年間の主な動きを, 研究されたデバイス, 材料の種類, 研究開発の課題, 成長技術に関して述べる。これらの成長方法は, その本質的な特徴が最も生かせる分野に応用され, 研究されてきた。そこで, まずこれらの方法の特徴を説明し, それに基づいて研究開発の動きを説明した。LPE法は最も平衡に近い成長法であり, 主に光デバイス材料の開発に用いられて来た。1980年代に入って, 光通信用の半導体レーザーや受光素子に用いるため, 1μm波長帯の光を発光受光できる良質の材料が必要とされ, InGaAsP 4元系材料の研究開発が始められた。4元系材料の開発は, 半導体材料の開発の歴史の上で初めての試みであり, 複雑で精密な研究が必要となった。1980年代のLPE法の研究の中心はInGaAsP系材料の開発であり, このことについて詳しく述べた。VPE法は非平衡性の強い成長法であり, マイクロ波デバイスや, 光素子の分野では主に受光素子の成長技術として研究されて来た。マイクロ波デバイスの研究は1980年代前半まで行われた。1980年代の研究開発の主流は光素子であり, InGaAsP系で大面積化, 高均一化, 薄膜ヘテロ構造, 高純度化などの研究が進められた。これらについて本文中で述べる。
  • 堀越 佳治
    1989 年 10 巻 10 号 p. 790-798
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    III-V族化合物半導体の成長を念頭におき, MBE法MOCVD法の, この10年間におけるきわめて広範な発展の中で, 特に表面物理化学に密接に関係し, かつ近年の進展が著しい原子層制御成長技術に焦点を合わせ, その概略を述べる。この技術は, 単原子層の厚さの精度で成長層厚を制御し, かつ原子レベルで平坦な成長面, ヘテロ接合界面を得ることを目標としており, エピタキシャル成長法としては究極の技術と言える。その代表例として, 成長中断法, ALE法, MEE法等について, 成長プロセスの観察法も含めやや詳細に述べる。これらの方法のもう一つの特徴は, 従来の化合物半導体のエピタキシャル成長プロセスが, それぞれ素過程に分解されていることである。このため, これらの方法は各種エピタキシャル成長法における成長機構を解明する上でも大いに役立っている。本文ではこれまでの成長機構に関する理解の進展をまじえながら解説する。
  • 佐藤 洋一郎
    1989 年 10 巻 10 号 p. 799-803
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    超硬質膜として比較的最近注目を集めているものとして, ダイヤモンド膜, ダイヤモンド状炭素膜, 立方晶窒化ホウ素 (c-BN) 膜がある。ここでは, 気相合成によるダイヤモンド膜について, 合成法, 性質, 今後の課題を中心に解説する。
    ダイヤモンドは材料として広い分野で利用される可能性をもった物質である。ダイヤモンドの気相合成法は応用の観点から, 従来の高圧技術における多くの制約に束縛されない新しい合成技術として, また熱力学的に準安定域での結晶成長としての基礎的な立場の両面から関心を集めている。
    各論に入るまえに, 気相合成ダイヤモンド膜の特徴について簡単に述べてみたい。その第1は, 気相法でシリコン, モリブデンなどの種々の基板上に成長するダイヤモンド膜は通常多結晶性で, 数千Å以下の薄膜を得ることは困難であり, より厚い膜の合成に適している。この点は, 非晶質で均質な薄膜が得られるダイヤモンド状炭素膜と対照的である。第2には, 同一の合成法でも合成条件, 特に基板温度とガス組成によって膜の組織, 結晶性などが大きく変化するばかりでなく, 黒鉛構造も析出することがあるという点である。
  • 杉 道夫
    1989 年 10 巻 10 号 p. 804-810
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    最近の約10年の有機薄膜研究の展開において成膜手法の著しい多様化が注目される。有機物を対象とする在来の手法に加えて, 無機薄膜の作製法の転用が広範に行われてきた。本稿では, μm以下の膜厚の, いわゆる有機超薄膜に対象を限り, 主たる手法について, その特徴と近年の成果を膜系中での分子配列・配向制御と多層化の観点から概観し, 将来の課題について触れる。
  • 相澤 益男
    1989 年 10 巻 10 号 p. 811-817
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    生体膜の分子情報変換メカニズムとその分子構築が次々と解明されるようになった。とくに, ホルモンおよび神経トランスミッターのレセプターにおける, 情報分子の認識と, 化学増幅の機構が明確となってきた。これら分子情報変換メカニズムをモデルとして, シナプス前膜機能を代行し, 電気刺激によって神経トランスミッターを放出する人工膜デバイスがつくられた。さらに分子認識機能を有する人工膜が, 酵素, 抗体あるいはレセプターを利用してつくられるようになり, これらの分子認識膜は酵素センサー, 免疫センサー, レセプターセンサーなどに応用された。
    生体膜の輸送機能には種々の制御機構があり, フィードバックループが形成されているが, 導電性高分子薄膜の特性を利用して, アミノ酸の透過を電位制御できることが示された。また導電性高分子薄膜に酸化還元酵素を包括した導電性酵素膜が創製され, 酵素活性を電位制御できることが明らかとなった。生体膜機能の電位制御は細胞の機能制御にも及び, 細胞の増殖速度が電位制御可能であることも示された。
  • 河本 邦仁
    1989 年 10 巻 10 号 p. 818-823
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    セラミックスの界面が関与する問題として, 粒界と素機能概念, ヘテロ界面における多相系相互作用, 複合材料化と界面の問題, 接合と傾斜機能化などを取り上げ, 現状の問題点や将来展望を解説した。
  • 岩澤 康裕
    1989 年 10 巻 10 号 p. 824-832
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    微粒子・超微粒子の応用は, 触媒, 磁性材料, 電子材料, 光学材料, 焼結材料, 医薬品, 塗料, 顔料など, 驚くほど広い。これらの分野における時代の要請は, 材料の超微粒子化と高品質化にあるともいえる。本稿では, 最近の微粒子・超微粒子の作製技術の進歩, 解析の手法, 超微粒子の形状と変化, および特質と電子状態, そして代表的化学機能である触媒作用について概説した。
  • 高柳 邦夫
    1989 年 10 巻 10 号 p. 833-837
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    シリコン (Si) の表面はバルクとは異なった原子配列-再配列構造-をもつ。 (111) 表面の7×7再配列構造や (100) 表面の2×1構造が原子レベルで解明され, 表面構造の理解が急速に進展した。それにともない, 吸着や薄膜超格子形成過程も原子レベルで検討される様になった。この10年間における表面結晶物理学の進展の一端として, 超高真空電子顕微鏡を用いて “その場” 観察した表面再配列構造ならびに吸着構造についての研究の一部を解説し, また, 未解決の問題として, 特に興味ある微粒子表面の特異性について紹介する。
  • 長谷川 英機
    1989 年 10 巻 10 号 p. 838-849
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    半導体のつくる表面・界面は, 半導体デバイスの基本構成要素であり, デバイスの微細化・多層化の進展とともに, その原子・分子レベルでの理解と工学的制御がより重要となる。ここでは, III-V族化合半導体の種々の表面・界面に関する研究の現状を, 主として実験的立場から概観している。
    まず, 表面, 半導体-半導体界面, 金属-半導体界面, 絶縁体-半導体界面のそれぞれについて個別的に述べた後に, 最後にこれらの表面・界面に相互に関連性が存在することを指摘し, これを説明する界面のモデルについて概要を述べている。清浄表面の原子配列, 半導体-半導体界面のバンド不連続, ショットキー障壁とオーム性接触, 表面不活性化, 界面におけるフェルミ準位のピンニングなどをとり上げその理解と工学的制御の現状を述べるとともに, 界面の代表的モデルである “統一欠陥モデル”, “MIGSモデル”, “統一DIGSモデル”, “実効仕事関数モデル” について議論している。
  • 廣瀬 和之, 大泊 巌
    1989 年 10 巻 10 号 p. 850-855
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    金属/半導体界面の典型的な電気特性である, ショットキー障壁に関する研究の現状を, SiとGaAsについて簡単に紹介する。理想的なシリサイド/Siショットキー障壁においては, ショットキー障壁高さ (SBH) がシリサイドバルクの性質によって変化しており, 弱いピニング現象しか起きていない。エピタキシャルNiSi2/Siショットキー障壁に対する理解は, 大型計算機物理の進歩と共に進んでいる。一方, 金属/GaAsショットキー障壁に対しては, 金属誘起準位と界面欠陥準位の両界面準位がショットキー障壁決定によるというモデルが支持されている。しかし, 元来のショットキー理論が成立するという結果も報告されており, その機構は未だに解明されていない。GaAsの上に多結晶金属膜が形成され, 化学反応や相互拡散が起こっている界面に, 界面超構造の存在と共に界面超構造に依存したSBHの違いが見いだされる。さらに, 分子線エピタキシャル成長法により, Al/GaAsショットキー界面に, 希土類金属を含む中間層あるいはドーピング層を挿入することによって, SBHの制御が可能であることが見いだされる。超LSIのコンタクト特性の制御においては, 障壁形成前の半導体表面の清浄化も重要な課題である。従来清浄表面とされてきたSi (111) -7×7超構造は, 吸着原子のバックボンドに酸素原子を含む構造である疑いが生じている。
  • 石田 洋一, 高橋 裕
    1989 年 10 巻 10 号 p. 856-862
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    高温超伝導酸化物YBa2Cu3O7-xとBi2Sr2CaCu2Oxの結晶粒界の高分解能電子顕微鏡による組織学的解析と双結晶を用いた直流伝導測定の結果を比較し, 内部界面の原子構造と電気伝導特性の関連について考察した。
    透過電顕観察は, YBa2Cu3O7-x, Bi2Sr2CaCu2Oxなどの層状構造を特徴とするこれらの超伝導酸化物の焼結体が一方の結晶の底面に平行な, いわゆる底面粒界を多く含むことを示し, 超伝導性は特にこの結晶粒界で弱いことが予想された。
    しかしながら [001] ねじり粒界を持つBi2Sr2CaCu2Ox双結晶における超伝導性の測定は, 単結晶と比較して, その臨界温度および臨界電流とも大差ないことを示した。この結果はDimosらが行ったYBa2Cu3O7-xの [001] 対称傾角双結晶の結果と矛盾する。
    これらの差異について議論を行い,
    1) YBa2Cu3O7-xとBi2Sr2CaCu2Oxの結晶構造の差
    2) 作製したBi2Sr2CaCu2Ox双結晶の粒界微細構造の影響の可能性を指摘した。そして, 今後この種の双結晶実験を精力的に行い, 単一の粒界の電気伝導特性と微細構造を対比することが酸化物超伝導体の粒界研究に必要であることを強調した。
  • 高橋 隆, 松山 博圭
    1989 年 10 巻 10 号 p. 863-870
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    高温超伝導体の電子構造を光電子分光, 逆光電子分光および軟X線吸収分光法を用いて研究した結果について説明する。Bi系高温超伝導体単結晶についての角度分解光電子分光から, フェルミ準位を切る分散的バンドが見いだされ, 高温超伝導体にフェルミ面およびフェルミ液体状態が存在することが確立された。このことは, 高温超伝導発現機構が従来のBCS的機構の範囲内で理解できることを示す。また, 逆光電子スペクトルには, 明確なフェルミ端が見いだされ, 上記の結果を支持している。軟X線分光の結果は, フェルミ液体状態が主にO2px, y軌道からできていることを示している。光電子スペクトルの温度依存性の測定から, LaおよびY系の高温超伝導体では, 真空中においてその表面から酸素の脱離が起き, 表面が半導体化することが見いだされた。この表面変質は, 試料を低温に保つことで抑制される。一方, Bi系は真空下においても安定である。高温超伝導体とFe, Mg, Pbの界面では, 酸素が金属側に引き抜かれ超伝導性が失われているのに対し, Ag, Auとの界面は安定であることが見いだされた。
  • 平木 昭夫
    1989 年 10 巻 10 号 p. 871-876
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    マイクロエレクトロニクスの中心である半導体デバイスはICを経て, LSI, 超LSIそして超々LSIへと超小型化, 超集積化の道をたどり, その高性能化のためのLSI技術の将来は益々きびしい局面を迎えている。
    デバイス機能のほとんどは固体積層界面で発現している。とりわけ “金属-半導体界面” は, 数ミリ角のシリコン・チップのなかに現時点ですでに1000万個にも及ぶ界面, すなわちコンタクトが存在していることからもその重要性が容易に理解されよう。つまりこの界面での “極微領域の界面現象の理解と制御” が是非必要である。そのため平成元年より3年間にわたり文部省により “金属-半導体界面 : マイクロエレクトロニクス発展への基礎研究” をテーマ名とする重点領域研究が, 筆者を代表者としてスタートしたのである。本稿では, この紹介を通して, LSI技術における界面科学の役割りを説明する。
  • 荒井 弘通, 水原 由加子
    1989 年 10 巻 10 号 p. 877-883
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    “表面” は材料と外部雰囲気との境界であり, 通常材料バルクの性質は表面を通して観察される。特にセンサーは, 表面の化学的あるいは物理的, 電気的特性を電気あるいは光信号に変換して検出するので, 材料表面の設計はそのままセンサーの機能性の操作につながる。ここでは表面現象が特に重要なセンサーとして湿度センサー, ガスセンサー, 酸素センサー, 焦電センサーを取り上げ, この10年間に見られた表面操作によるセンサー機能の向上について考察した。たとえば水の物理吸着を利用した湿度センサーでは, 表面の細孔分布制御により感湿特性を自由に調節できた。また半導体型ガスセンサーでは, 表面の修飾により選択性の向上や素子の劣化の防止も可能となった。さらに固体電解質型センサーでは電極反応過程に注目し, 酸素センサーを例にとって議論を行なうと同時に高性能センサーの開発を目指した研究をいくつか紹介した。一方これまで物理領域でのみ取り扱われることの多かった光ファイバーや表面弾性波などが, 最近では化学センサーにも応用され実用化に向けて盛んに研究されており, ここでも表面に関連する部分を一部取り上げてみる。また近年特に発達してきたIC製造技術の利用はセンサーの小型化から多種のセンサーの複合化へと応用が可能で, センサー表面のインテリジェント化に関連して大変興味深いので, Pd-MOSガスセンサーを用いた多成分ガスセンサーを例として述べる。
  • 大島 忠平
    1989 年 10 巻 10 号 p. 884-890
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    高真空技術と超高真空技術を表面科学や電子源開発の関連で歴史的に紹介し, 次世代の真空技術である極高真空技術の現状と問題点について述べる。
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