イオン打ち込みのモンテカルロ・シミュレーションについて概説する。計算モデルは非晶質試料を対象とした単一散乱のモデルである。本モデルはイオンの全エネルギー領域 (数10eV~数MeV) にわたって, 散乱角, 行路長, およびエネルギー損失の3つのパラメータのみの繰返し計算でイオン軌道を追跡するものである。高エネルギーイオンに対してはその行路長が長く設定され, 1軌道当たりの計算時間の短縮が図られているのが特長である。
代表的なイオンと試料との組合せにおいて, 打ち込みイオンの深さ分布の計算やイオン軌道をプロットし, モンテカルロ法の以下の2つの特徴についても述べた。 (1) イオン打ち込み条件やおよび試料の形状・組成条件が自由に設定できること, (2) イオン軌道がプロットでき, イオン振舞の概略が視覚的に把握できることである。
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