表面科学
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12 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 藤居 眞理子, 角田 光雄
    1991 年 12 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    界面化学的および固体と液体界面相互作用の面からぬれの意味および臨界表面張力の有用性を考察した。界面において反応の関与しない系でのぬれについて, 表面の結晶性, 表面粗さ, 高分子, 無機, 金属などの材料とぬれとの関連性を示した。金属やセラミックスなどを例に反応が関与するぬれを論じた。ぬれのヒステレシスと表面ダイナミックスについても論じた。
  • 臼井 進之助
    1991 年 12 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    金属酸化物コロイドの水相分散系は溶液のpHを変えると凝集したり分散したりする。安定なコロイド分散系へ電解質を加えていくとコロイド粒子は凝集するようになるが, 電解質の種類によって凝集の起る濃度が違う。このような性質はコロイド粒子表面の帯びている電荷と密接な関係がある。同じ電荷を持った粒子が接近すると反発するが, これはクーロン反発力ではない。粒子を凝集させる原動力は一体何であろうか。超微粒子になると分散がむずかしくなるのは何故か。異なる種類の粒子間の凝集は同種粒子間の凝集とどのような違いがあるのか。このような問題を本解説ではとりあげている。コロイド粒子の分散や凝集は, 自然現象, 生体現象をはじめいろいろな産業分野に深い関係を持っている。実際の現場ではここで述べる問題とは別の観点からいろいろの問題の解決をはかる場合も多い。しかしコロイド粒子の安定性と界面電気との関係は, 凝集現象の最も基本的な性質であり, 有機溶媒や高分子溶液中での分散, 凝集を取扱う場合でも頭に入れておく必要がある。また, コロイド粒子の凝集の問題は液体薄膜の安定性やぬれの問題とも深いかかわりがある。
  • 相界面での電荷蓄積による誘電緩和現象の意味と実例
    花井 哲也
    1991 年 12 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    分子溶液, すなわち分子均質混合系と対比して言うならば, コロイド分散系とは, 同種分子が集団を形成して不均質に混合した状態であると言えよう。この分子集合体が或る程度大きくなると, 巨視的な相の概念を持つようになる。したがってコロイド分散系は, 相界面の濃密な状態である。
    コロイドの粗大分散系のさまざまな誘電特性は, この栢界面・相表面の存在に起因するものである。これらの誘電特性を解析すると, コロイド分散系を構成する成分相の誘電率・導電率や構造に関する知見を得ることができる。
  • 出口 勝彦
    1991 年 12 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    我々の極く身近な家庭での洗浄 (特に衣料の洗浄) に焦点を当て解説した。固体汚れに対するDLVO理論及びヘテロ凝集理論, 液体汚れに対するrolling-up現象等の古典的な理論に基づいた洗浄のプロセスについて述べ, 洗浄研究の現状, 問題点等にも触れた。また, 洗浄における界面活性剤及びビルダーの役割についても簡単に解説し, 特に最近の無リン化に伴う研究の動きについて説明した。更に最近, 注目を集めている新酵素 (アルカリセルラーゼ) による新洗浄メカニズムについて言及した。
  • 若松 貴英
    1991 年 12 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    各種選鉱法の中で現在もっとも重要となっているフローテーション法 (浮遊選鉱法又は浮選法とも言う) について, まずこの方法が鉱物表面の疎水性あるいは親水性の差異を利用した分離法である事を示した。実操業では鉱物表面の疎水性あるいは親水性の制御は捕収剤及び抑制剤などによって行われるが, 特に一般に使用されている捕収剤を中心にしてその他の浮選剤の作用及びその代表的試薬を説明した。最後に簡単に浮選機に触れ, 次いで数種の有用鉱物を含有する複雑な鉱石が選鉱工場において如何に処理されているかについて, 実例を2件挙げて説明した。特にここでの説明では, 前述した浮選剤がいずれの鉱物を捕収あるいは抑制する為に使用するかについて焦点を当てている。
  • 金子 克美
    1991 年 12 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    フラクタル幾何学を固体表面に適用すると実表面のラフネスが表面フラクタル次元で表わされる。表面フラクタル次元を実験的に決定するには, 分子サイズの異なる蒸気分子について吸着等温線を決め, BETプロットから単分子容量を得て, 109 (単分子容量) vs.log (分子占有面積) プロットをすればよい。このようにして得られた表面フラクタル次元は2から3の間の値をとる。表面フラクタル解析例として, 酸化鉄表面の水酸基をチタネート化すると表面フラクタル次元が大きくなる事とマイクロポーラスカーボンでの表面フラクタル次元決定上の問題が述べられている。
  • 梶田 勉
    1991 年 12 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    The formation process of calcium tripolyphosphate films on stainless steel electrodes from aqueous solutions containing Na5P3O10 and Ca (NO3) 2 has been studied by the use of galvanostatic method. It is shown that pH of aqueous solutions containing Na5P3O10 increases with increasing temperature. The increase in pH is due to the change in the stability constant of H5P3O10 with temperature and due to its hydrolysis.
    The rate of film formation depends on the degree of supersaturation of calcium tripolyphosphate in solutions. The rate of the film formation increases with an increase in pH, since the degree of supersaturation increases with increasing pH. Too much increase in pH, however, causes a decrease in the film formation rate because of the suppressing effect of a precipitation on the supersaturation.
    The films can be formed even at a very low current density when pH is adjusted to appropriate values.
  • 寺田 雅子
    1991 年 12 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1991/02/20
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    抹茶は, なぜ泡立つのだろうか。抹茶の成分と, 抹茶を点 (た) てる所作や道具の点から, 解説してみよう。抹茶には起泡成分として茶葉サポニン, 泡沫修飾成分としてペクチンが存在する。良好な泡沫を形成するためには, これらを適当な割合に溶出させることが大切な条件である。また, 茶筅さばきも重要であり, したがって泡立て中の抹茶懸濁液の動きとを追跡して, 泡沫の形成状態との関連性について述べた。さらに, 泡沫の性状が茶筅の構造に依存していることにもふれてみた。
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