表面科学
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12 巻 , 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 岡本 康昭
    1991 年 12 巻 10 号 p. 596-602
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    各種の表面分光法により得られる知見を中心にゼオライト表面の物理的,化学的特性を概説した。外表面の組成とバルク組成の比較,イオン交換や脱アルミニウム処理による外表面組成変化,外表面修飾による触媒選択性,細孔入口径制御時の修飾剤分布の重要性について述べた。反応,吸着場であるゼオライト細孔表面の電子状態をXPSの結合エネルギーの組成,カチオン依存性から検討した結果を紹介し,電気陰性度平均化原理より得られる電荷密度との比較を行った。両者はよい対応関係にあり,共にA1量の増大,カチオンの電気陰性度の減少とともに格子酸素の塩基性が増大することを示している。ゼオライトの電子状態と塩基触媒作用,静電場,塩基の吸着による酸点のキャラクタリゼーションに関してもふれた。
  • 美宅 成樹
    1991 年 12 巻 10 号 p. 603-609
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    生物内には細胞膜をはじめとした各種の界面が存在している。それらの界面はたいへん機能性が高く,輸送,エネルギー変換,情報の受容などの生物的に重要な機能がそこに局在している。この論文では生物の界面がどのような構造をもっているか? また,それらの構造がどのようにして形成されているか? について考察した。 基本的には,すべての生物現象は分子間力によって起こっているのであるが,生物現象は複雑でわれらの理解をまだ越えている。その大きな原因は,生体高分子とその複合体がきわめて大きな自由度をもっていることと,多様な分子間力が同時に関与していることによる。しかし,生体膜のなかでは疎水性相互作用と極性相互作用が対照的な性質を示すことから,生体膜およびその機能単位である膜タンパク質の構造形成の機構が明らかになりつつある。そのような研究の現状について紹介する。
  • 江川 千佳司
    1991 年 12 巻 10 号 p. 610-614
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     Cu(100) 表面にエピタキシャルに成長してできるfcc構造のFe薄膜について, 水素の昇温脱離法と低速電子回折を用いた研究をもとにして, これまでの研究をまとめて検討した結果, fcc構造のFe薄膜の性質が薄膜の厚みや基板の温度など成長条件に大きく依存することが明らかになった。まず, X線光電子の前方散乱やRHEEDの反射ビーム強度の膜厚に対する振動的変化の観察による結果と一致して, 薄膜は3層以下では層状に成長しないこと, 3~4層になると(4×1)構造, また8層ではp(2×2)p4gの超格子構造を示す規則的な表面となることがわかった。つぎに, このfcc構造の規則的な表面における水素の吸着エネルギーは, bcc構造の単結晶表面での吸着状態より30kJ/molほど小さな70kJ/molに減少することが求められた。また, fcc構造のFe薄膜の表面磁気異方性も薄膜の厚みや基板の温度など成長条件に依存して変化することが明らかとなった。
  • 片山 光浩, 野村 英一, 青野 正和
    1991 年 12 巻 10 号 p. 615-622
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    同軸型直衝突イオン散乱分光法(CAICISS)は,イオン源と飛行時間型エネルギ一分析器とを同軸上に一体化して配置し,実験の散乱角を完全に180°にとった,新しい低速イオン散乱分光法である。CAICISSは,固体表面の構造の定量的解析を容易に行うことができ,かつ動的に変化しつつある表面の組成や構造をリアルタイムで追跡するのにきわめて適している。さらに,CAICISSでは,散乱イオン加速管の採用により,表面原子層に敏感な測定と表面下の原子層に敏感な測定との切替えが可能であるほか,表面原子の電子状態に関する情報も得ることができる。本稿では,CAICISSの装置と特徴について述べた後,この方法が固体表面の研究にとって有力であることを示すいくつかの最近の研究例を紹介する。
  • 細木 茂行, 保坂 純男, 長谷川 剛
    1991 年 12 巻 10 号 p. 623-627
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    STMの探針を用いて行う表面修飾の方法を概観し,特に原子1個単位で操作できる手法について注目する。そのなかで二硫化モリブデン(MoS2)表面での電界蒸発による試みについて解説する。 MoS2表面に対してSTM像観察時よりも探針を近づけてパルス状強電界を印加して試料表面のS原子を引き出す。S原子の抜けた表面は,人工的欠陥を形成し,安定に存在する。この操作の連続により原子溝で作られた文字を形成した。
  • 永山 進, 林 俊哉, 高野 明雄, 牧之内 科子, 工藤 正博
    1991 年 12 巻 10 号 p. 628-634
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    It is well-known that quantitative analysis of major elements by SIMS is generally difficult because of the matrix effect. In the present paper we examined some basic problems of the major element analysis of CdxHg1-xTe (CMT) which is known to be easily damaged by various kinds of beams. It was shown that the matrix effect in quantification can be reduced by detecting postionized monoatomic ions for O2+ and Ar+ primary beams. In the case of Cs+ bombardment, detection of the cationized molecular ions, which are formed via one kind of post-ionization process, also proved to be effective. In all the cases, good linear relationships between the secondary ion intensity and the primary ion current density were obtained in the log-log plot. The intensity decrease of Hg+, however, was observed along with depth profiling of the bulk sample. This phenomenon was correlated with the morphological changes caused by ion irradiation.
  • 国森 公夫, 渡部 徹, 伊藤 伸一
    1991 年 12 巻 10 号 p. 635-640
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    Vibrational energy distributions in CO2 molecules formed by the catalytic oxidation of CO on Pt and Pd surfaces have been measured by using infrared emission spectroscopy. The reactants (the total flux of CO and O2: 1.3×1019 molecules/cm2·s) were supplied to the surface through two free jet nozzle sources, while an FT-IR spectrometer was used to obtain the infrared emission spectra (4 cm-1 resolution) of the product CO2. For all the experimental conditions (surface temperature in the range of 650∼1150K and O2/CO ratio from 5/1 to 1/5), the emission spectra observed in the 2400∼2100 cm-1 region were significantly red shifted from the fundamental of the asymmetric streth at 2349 cm-1, indicating that the CO2 molecules were vibrationally excited substantially beyond thermal equilibrium with the surface. The surface coverage of oxygen on both Pt and Pd was varied by changing the O2/CO ratio and, in both cases, increasing oxygen coverage caused an increase in the average vibrational temperature. This is in stark contrast with that by Brown and Bernasek who reported that the average apparent CO2 vibrational temperature decreased with increasing surface oxygen coverage. The average vibrational temperature was much higher on Pd than on Pt. This is in good agreement with that by Coulston and Haller who suggested that the activated complex is bent more on Pd than on Pt.
  • 益田 秀樹, 吉野 隆子, 新井 賢二, 馬場 宣良
    1991 年 12 巻 10 号 p. 641-643
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    When TiO2 semiconductor electrode was irradiated in electrolytic solution containing Ir2 (SO4)3, a thin film of iridium oxide was selectively formed at the irradiated region. Property of the deposited films was examined by XPS, SEM and electrochemical measurement. It was concluded that the deposition of the iridium oxide was caused by electrochemical oxidation by means of photoexited holes of the n-type semiconductor electrode.
  • 安達 洋
    1991 年 12 巻 10 号 p. 644-650
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    STM(走査トンネル顕微鏡)は原子のレベルの分解能がある顕微鏡として登場して約10年が経つ。STMは原子の分解能があるはずなのに,μm程度の広い範囲を走査してみると,分解能が極端に低下する。その大きな原因として,トンネル電流が極端に狭い電極間にしか流れないことと,探針が硬いこと,探針駆動回路に十分な高周波特性が期待できないことなどが考えられている。少なくともμm程度の走査をすると,試料探針間に流れる電流は,トンネル電流とは違っているはずであるが,その詳細はいまのところ不明であり,像の解釈を難しくしている。ここでは,その解決策として種々のSTMの変形が考えられてきたものに対して,SXMとして総称して紹介する。
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