表面科学
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 堂免 一成, 廣瀬 千秋
    1992 年 13 巻 2 号 p. 64-70
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    波長可変赤外光と可視レーザー光を界面に照射したときに生成する和周波(SFG)光の強度は,赤外光の振動数が界面吸着分子の分子内振動と一致したときに共鳴増大を示す。この現象は,振動遷移が赤外線吸収とラマン散乱の両方に活性である場合にのみ生起する。一般にSFG光は界面部分でのみ発生するので,SFG分光法は表面・界面にある分子の構造と配向,さらにはダイナミクスを分子レベルで追跡する有力な手段である。本稿では,この赤外-可視和周波発生法を用いた振動分光(SVSFG)について,原理と特徴を簡単に記してから,実際の測定法と代表的な測定結果を紹介する。われわれが使用している装置の概要と測定上の留意点について3章で述べる。4章では,(1)アラキジン酸カドミウムのL-B膜のSFGスペクトルについて,スペクトルの特徴の解析から末端メチル基の二次元配向の様子がわかること,(2)溶融石英上に形成したオクタデシルトリクロロシランの単分子膜を有機溶媒中に浸して行った測定では吸着分子の振動スペクトルだけが観測されること,(3)銀単結晶上のメチルチオレートのSFG分光では,振動励起による時間分解測定が可能であること,(4)シリコン単結晶上の吸着水素についても興味ある結果が得られていることなどを紹介する
  • 佐々木 岳彦, 岩澤 康裕
    1992 年 13 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    固体表面上の吸着分子を検出し,吸着種の振動スペクトルを測定する手段として高分解能電子エネルギー損失分光法(HREELS)は重要であり,広く用いられている分光法である。本稿では原理,特徴を述べた後に,金属,半導体,酸化物,有機物層表面での測定,ならびに時間分解測定について解説する。
  • 坂本 謙二, 潮田 資勝
    1992 年 13 巻 2 号 p. 79-87
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    本解説では,表面プローブとしてのラマン分光という視点からラマン散乱法を紹介する。まず,ラマン分光によって得られる一般的な情報について述べ,つぎにラマン分光を表面・界面に応用したときどのような情報が得られるのかについて述べる。最後に,最近のラマン分光による表面・界面の研究例(半導体界面のバンド曲がり,表面吸着分子の振動,結晶成長過程)を紹介する。
  • 伊藤 正時
    1992 年 13 巻 2 号 p. 88-95
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     本稿では,表面プローブとしての赤外分光という視点から, 赤外反射吸収分光法を紹介する。まず始めにフーリエ変換赤外分光法とその表面・界面への応用について一般的なことを述べる。ついで最近の研究例として, 水溶液中にある白金単結晶電極表面に吸着した一酸化炭素の振動や吸着化学種の表面拡散について紹介する。
  • 川合 真紀
    1992 年 13 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    層制御された薄膜形成法により得られた酸化物超伝導体の薄膜超格子の研究を紹介すると同時に,基板結晶表面からの薄膜の結晶成長を考えるうえで一つのヒントとなるであろう低温でのBi系超伝導体薄膜の形成について解説した。
  • 田中 虔一, 谷口 昌宏
    1992 年 13 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    金属表面は化学的に特異反応性を示すことはよく知られている。特に触媒作用はその典型的な例であり,これまで吸着の概念と速度論的な記述で理解し説明されてきた。しかし「吸着」,「吸着に伴う表面再構成」および「吸着分子の反応」といったこれまでの概念では表面変化の実体や表面での化学反応を正しく理解できないことは今や明らかである。特に,Cu(110)およびAg(110)表面にO2が吸着した際に見られる表面の変化はこのことを決定的に示している。Cu(110)表面にO2が吸着するとp(2×1)構造のLEED像が得られるが,STMで調べてみるとこの現象は単純な酸素の吸着ではなく,ステップなどからテラス上に拡散してきたCu原子がO2と反応し一次元化合物であるCuO鎖を生成し,このCuO鎖がp(2×1)構造を作って配列する現象である。Ag(110)の場合もほとんど同じであるがAgO鎖の配列はより複雑であり,Ag(110)上ではAgO鎖の2次元配列構造が複数共存する。その結果,その二種類の構造の境界がたいへん面白い問題を提示することになる。すなわち,二つの異なる構造が整合接合する場合でもエネルギー的に等価な配置が存在すると境界の一次元構造は乱れる。一方,同一構造で位相を異にする場合はその接合構造が不整合となり,エネルギー的に等価な場所が複数になるので境界構造は必ず乱れる。表面化合物の生成とその境界構造は触媒反応を考えるうえでもたいへん重要である。たとえば,メタネーション反応(CO+3H2→CH4+H2O)はNi(100), Ni(111)表面でほとんど同じ活性を示すが,反応中間体である表面カーバイドの構造を調べてみるとNi(100)とNi(111)表面でまったく同じ構造であり,このことが同一活性の原因である。これらの結果は表面現象を吸着のような静的な概念でなく,表面化合物の生成と考えることの重要性を示す。
  • 横山 弘
    1992 年 13 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    夏の化粧品市場を大きく変えた,水あり水なしのスポンジ両方で使用できる2ウエイファンデーションは,シリコン処理をメイクアップ粉体の表面処理に応用することによって開発された。 最近では,汗や皮脂などに対して,より長く美しい化粧膜を保つために,他分野で使われていた表面処理技術が応用されている。また,肌と粉体表面とのすべり抵抗の変化を応用して,官能特性的に優れた製品が開発されている。 粉体表面とファンデーションの機能と官能特性の関連について述べた。
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