表面科学
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13 巻 , 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 一ノ瀬 昇
    1992 年 13 巻 4 号 p. 190-197
    発行日: 1992/06/01
    公開日: 2013/03/05
    ジャーナル フリー
    物質をどんどん小さくしていくと,微粒子と呼ばれるものになる。これらの粒子は,元の一塊の固体と比較したとき,重量当たりの表面積の大きさによって元の固体とは区別される。この単純な差がある程度を越えたとき,元の固体とはまったく違った振舞いをする“物質の新しい状態”が作り出される。このような状態を与える粒子を「超微粒子」と呼んで,一般的な粒子とは区別している。 「超微粒子」といわれると,なにか素晴らしい材料を生み出す現代の素材のような響きがある。しかし,われわれが長年慣れ親しんできた古い素材の代表選手である粘土は,天然に得られる「超微粒子」の一種である。われわれは,このような超微粒子の系を上手に利用して製品を作ってきた。したがって,人工的に作られた機能性の「超微粒子」の応用でも,そのプロセス技術を十分に生かすことができるであろう。 ここでは,超微粒子セラミックスの応用に焦点を合わせて,電子材料,磁性材料,光学材料,センサ材料への応用例について述べている。
  • 永井 正幸
    1992 年 13 巻 4 号 p. 198-204
    発行日: 1992/06/01
    公開日: 2013/03/05
    ジャーナル フリー
    イオン導電体の表面イオン交換を利用した新しい型のガス検出法を紹介した。ハロゲンや炭酸ガスと固相一気相交換することが知られている水酸アパタイトを,検出素子の材質として選択した。水酸アパタイトと炭酸ガスは,高温においては次式で示されるような可逆反応を行う。Ca10(PO4)6(OH)2(s)+CO2(g)→Ca10(PO4)6CO3(s)+H2O(g)この反応は見かけ上は水酸化物イオンと炭酸イオンのイオン交換反応である。炭酸イオンが格子中に入ると,水酸化物イオンが関与するイオン伝導が抑制されるので,電気伝導度が低下する。この反応を低温で可逆的に進めるには,あらかじめ表面近傍の水酸化物イオンを,塩化物イオンで一部イオン交換しておくことが有効であった。塩化物イオンは水酸アパタイト格子を膨張させ,その結果炭酸イオンの導入に伴う格子歪を減少させるので,低温においても標記のイオン交換反応が進行するものと推定した。400℃程度に加熱した多孔質の水酸アパタイトでは,格子内部のイオン伝導よりも,プロトンの表面伝導が支配的になる。したがって表面において炭酸イオンが可逆的に交換すると,表面伝導度が可逆的に増減することになる。これを利用すれば炭酸ガスを検出することができる。
  • 津田 孝一, 向江 和郎
    1992 年 13 巻 4 号 p. 205-211
    発行日: 1992/06/01
    公開日: 2013/03/05
    ジャーナル フリー
    通常,セラミックス粒界の研究手段として,電子顕微鏡,オージェ電子分光などの機器分析装置が用いられる。これらの装置により,最近では粒界近傍の格子像が見られるようになってきた。しかし,ZnOバリスタのような半導性セラミックスでは,非常に微量な元素や欠陥が形成する電気的障壁により特性が決定されるため,機器分析だけでは得られる情報は不十分である。 このような観点から,最近,キャパシタンスの過渡変化から粒界の情報が得られるDLTS法,ICTS法などのキャパシタンス法が注目されている。ここでは,ZnOバリスタを中心に,キャパシタンス法の原理,測定法および最近の展開について解説する。
  • 別井 圭一
    1992 年 13 巻 4 号 p. 212-218
    発行日: 1992/06/01
    公開日: 2013/03/05
    ジャーナル フリー
     半導体の微細加工技術を応用した新しい微小電子源の開発が進んでいる。このミクロンサイズの微小電子源を利用して, 超微細な電子管素子や, フラットパネルディスプレイなどをつくる技術が注目されている。この技術は真空電子を用いて, 従来の半導体素子では達成できない新しい機能をもった電子デバイスをめざすものであり, 真空マイクロエレクトロニクスという新しい技術分野を形成しつつある。ここでは,筆者の研究を中心にこの分野について解説する。
  • 松本 信雄
    1992 年 13 巻 4 号 p. 219-224
    発行日: 1992/06/01
    公開日: 2013/03/05
    ジャーナル フリー
    シリコン高分子は,0次元のシラン類低分子から3次元の結晶シリコンに至るSi骨格構造をもつ物質群の総称である。本文では,その全体像を整理する次元階層モデルを説明したのち,原子単位での構造制御が可能な化学反応による微細構造の形成法とシリコン高分子の合成の現状を解説する。さらに,電子構造の理論的考察から,結晶シリコンにはない発光機能がどのような場合に生じるかを整理し,これまでに観測された発光現象との関係を論ずる。
  • 佐藤 真理
    1992 年 13 巻 4 号 p. 225-231
    発行日: 1992/06/01
    公開日: 2013/03/05
    ジャーナル フリー
    固体表面に吸着したペンタ鉄カルボニルの光脱カルボニルは波長350nm以下の光で非常に高い量子収率(約96%)で起こり,生成物は表面の性質に著しく影響される。室温での最終生成物はシリカ表面ではFe3(CO)12,アルミナ表面では吸着水がないとFe2(CO)9が主でFe3(CO)12が副生し,吸着水があると[HFe(CO)4]-や[HFe3(CO)11]-などのヒドリド錯体が生成する。また,半導体や金属表面ではCOを放出してFeにまで分解する。シリカ上の反応中間体としてFe(CO)4やFe(CO)3が検出されており,これらは表面を自由に動きまわるとされている。反応の初期過程はCOの光解離であり,これら中間体は低温マトリックス中のそれと同じ4面体構造をしていると考えられる。最終生成物は表面の酸・塩基性などに影響され,その表面で安定な構造になる。 一方,金属上では150K以下の低温で反応中間体が検出された。平面構造のFe(CO)4が表面に平行に吸着していると推定される。この中間体は温度が高くなると分解してしまう。反応の初期過程はカルボニル基と表面との光置換反応であると考えられる。
  • 武藤 範雄, 柳田 博明
    1992 年 13 巻 4 号 p. 232-236
    発行日: 1992/06/01
    公開日: 2013/03/05
    ジャーナル フリー
    構造材料の致命的破壊の防止方法として,過去に受けた歪を知ることは有力な方法である。CFGFRP(炭素繊維/ガラス繊維強化プラスチックス)複合材料のL(Load:荷重)-S(Strain:歪)-R(Resistance:抵抗)曲線を測定した場合,荷重は炭素繊維破断まで大体直線関係を示すが,抵抗は歪に比例して増加し,過去に受けた歪より大きくなったときに非直線的増加のヒステリシス特性を示し,除荷後でも残留抵抗を示した。これはCFGFRP複合材料が過去に受けた最大歪を記憶する特性を有しており,前もって破壊までの歪と抵抗の情報が得られる場合は抵抗変化から破壊を予知でき,致命的破壊が防止できることを示している。本方法は湾曲部分の複雑な構造や,試験体の大きさに制限がなく,簡単に測定できる方法である。材料表面に貼り付ければ一般の構造材料にも使用できるので,CFGFRP複合材料は破壊を自己診断する破壊センサーとして十分に期待できる。
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