表面科学
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13 巻 , 9 号
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  • 二本 正昭
    1992 年 13 巻 9 号 p. 502-511
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    磁性材料の磁化状態評価に用いられている主な磁気計測技術の現状を解説した。 光,電子および磁性探針を検出プローブにそれぞれ用いる偏向顕微鏡法,電子ビームトモグラフィー法,磁気力顕微鏡法など各計測技術の測定原理,計測対象,計測分解能を比較し,各計測技術の特徴を述べた。さらに,これらの磁気計測法を磁気記録のキー要素である磁気ヘッドと磁気記録媒体の磁化状態解析に応用して得られた代長的な結果を示し,それぞれの計測技術で得られる磁気情報の相違を紹介した。最後に,ミクロ領域の磁気記録の現象解明をするために求められている磁気計測技術に対する課題を述べ,計測技術の空間分解能のさらなる向上可能性を展望した。
  • 早川 和延
    1992 年 13 巻 9 号 p. 512-517
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    スピン偏極走査電子顕微鏡(スピンSEM)の着想と,その開発,応用に至る経過を短くまとめた。筆者による電子スピン計測技術研究の出発点は1966年に始まる。当時,東大物性研でLEEDの基礎的現象の研究に従事していたが,その頃ヨーロッパを中心に水銀などの重い原子線による中低速電子線の散乱とスピン偏極の研究が広く展開していた。LEEDと中低速電子線の散乱という共通性から,数人の仲間と2年間にわたり集中的にスピン計測の調査を行った。その後,日立中研で通産省の中核技術補助金(固体材料分析機器システムの研究試作1976~1978)の交付を受けたのを機会に,1977年度から高速モット散乱方式を採用した低速電子用スピン分析器の開発に着手した。筆者が電子スピン計測に執着した理由は下記の理由による。筆者が在職した当時の物性研(1964~1970)の雰囲気は磁性と超伝導の天下であり,LEED研究を行う「結晶」は肩身が狭い思いが強かった。この背景があり,何とか電子スピン計測技術の研究を通して磁性に関連するような研究を展開できないかと執着した。特に見通しがあったわけではないが,幸い電子スピン分析器の開発と,それを搭載したSEMの開発に初めて成功することができた。本稿は,この過程の技術にかかわる部分の概要をまとめたものである。
  • 大久保 俊文, 岸上 順一, 柳沢 佳一, 金子 礼三
    1992 年 13 巻 9 号 p. 518-524
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    走査型トンネル顕微鏡を基礎として,さまざまな物理量を画像化できる走査型プローブ顕微鏡(SPM)技術が進展している。本稿では,SPM ファミリのひとつとしてサンプルの磁化状態を大気中で非接触,非破壊のまま測定できる磁気力顕微鏡(MFM)について,その測定原理を中心に概説するとともに,これを用いた測定例を紹介する。さらに MFM を評価・分析装置としてのみならず,積極的にサンプルに働きかける磁気的なマニピュレータとの考えから,これを高密度記録に応用するための基礎検討の経過と最近の結果についても言及する。
  • 津野 勝重, 井上 雅夫
    1992 年 13 巻 9 号 p. 525-532
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     ローレンツ電子顕微鏡の三つのモード, ローレンツ-TEM (フレネルおよびフーコー法), DPCローレンツSTEM (位相差電子顕微鏡法) および, ローレンツ-SEM (タイプ-II磁気コントラスト) について概略を述べる。これら3方法を同一装置において実現するダブルギャップ対物レンズを作製した。このレンズによってこれまでは装置的問題から利用されることの少なかったフーコー法が見直され, また, タイプ-II磁気コントラストは微小領域の磁区観察に応用が拡がった。
  • 後藤 公美
    1992 年 13 巻 9 号 p. 533-539
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    光学顕微鏡を用いる磁区観察の分解能より優れた分解能をもつ観察法として,従来の粉末磁区図形(ビッター図形)を乾燥して走査電子顕微鏡(SEM)により観察する方法を考案し,コロイド-SEM法と名付けた。本方法は磁性体に付着したFe3O4微粉末を媒介とするものであるが,コロイド溶液の撰択により 200nm程度の磁区観察の分解能をもつ。この方法を用いて,結晶磁気異方性の大きな硬質磁性材料BaO・6Fe2O3,MnBi化合物,Sm-Co 系化合物,Nd2Fe14B化合物などについて単磁区微粒子像を初めて明らかにし,代表的な観察例を示した。さらにそれらの単磁区微粒子臨界直径の実測結果も示した。また,垂直磁気記録材料であるCo-24 wt% Cr薄膜に記録した高密度磁気記録の観察にこの方法を適用した結果,記録図形の細部まで観察が可能となり,記録密度 50kBPI および 100kBPI の場合の観察例を示した。
  • 松田 甚一
    1992 年 13 巻 9 号 p. 540-545
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    磁気記録の高密度化を目指して,磁気ヘッドのギャップ幅はますます狭小化されつつあり,現在,すでにサブμmオーダに達している。 このような高密度記録用の磁気ヘッドを開発していくうえで,微小ギャップ空間における漏れ磁界分布の正確な3次元計測が欠かせなくなってきた。最近,電子線を利用した断層撮影手法(Computerized Tomography)にもとつく新しい計測法が提案され,サブμmオーダのギャップ空間に分布する静磁界分布の3次元計測に成功している。さらに,高周波漏れ磁界分布の3次元計測例も報告され始めている。 ここでは,まず,従来の代表的な静磁界分布計測法を簡単に紹介し,つぎに,電子線トモグラフィと名付けられたこの新しい計測法の原理,SEMを利用した計測装置の概略そして計測例などについて述べている。さらに,この計測法の今後の課題などについても言及した。
  • 外村 彰
    1992 年 13 巻 9 号 p. 546-550
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    電子線ホログラフィーは電子の波動性を利用した二段階の結像法である。この手法により,物体で影響を受けた電子線の波面が光の波面に変換される。いったん光に変換されてしまえば,電子顕微鏡の中では困難だったことも光学技術を駆使して可能性が開ける。実例が干渉顕微鏡である。サンプルを透過した電子線の位相変化が等高線の形で表示される。サンプルが磁場の場合,等高線は磁力線に沿い,しかも一定の微小磁束(h/e)ごとに現れる。この手法によって,強磁性薄膜や微粒子の磁区構造や超伝導体を貫く磁力線が詳細に定量的に観察できるようになった。
  • 濱川 佳弘
    1992 年 13 巻 9 号 p. 551-557
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    マイクロカー効果顕微鏡は,磁気光学効果のひとつであるカー効果現象を利用した磁化状態観察装置である。近年の画像処理技術の進歩ともあいまって,微小領域の磁化状態解析の有力な武器になってきた。本稿では,高周波での磁化回転量が観察できる走査型カー効果顕微鏡,各位相における磁区構造が観察できるストロボカー効果顕微鏡について紹介した。これらの装置は,特に小型化,高周波化する磁気ヘッド磁性膜の高周波磁化状態を観察する手段として広く利用されている。さらにこれらによって,高周波での磁壁移動など,マイクロマグネティクスの観点からも新しい知見が得られており,新しい高周波磁化挙動に関する理論の構築が期待される。
  • 新庄 輝也
    1992 年 13 巻 9 号 p. 558-563
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    磁性体の性質は,それぞれの原子に磁気モーメントが存在し,小さな磁石として振舞っていると見なして,ある程度理解することができる。たとえば,強磁性体である金属 Fe では各原子は 2.2 ボーア磁子の磁気モーメントをもち,キュリー温度(770℃)以下ではそれらがすべて平行に整列していることが知られている。しかし表面層の原子にも同じ大きさのモーメントが存在するであろうか。筆者は20年以上前からこの問題に興味を抱いてきた。現在では,表面原子にも磁気モーメントが存在することは認識されているが,表面の磁気的性質がどの程度まで理解できたといえるだろうか。過去の研究の進展を振り返りつつ現在の研究課題を紹介してみたい。
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