表面科学
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14 巻 , 8 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 多田 博一, 小間 篤
    1993 年 14 巻 8 号 p. 452-460
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    分子線エピタキシー(MBE)法を用いて,アルカリハライド(AH)や遷移金属ダイカルコゲナイド(TX2)の清浄表面に,さまざまな有機物の超薄膜を作製し,反射高速電子回折(RHEED)を用いて,成膜第1層目の分子配列を調べた。基板の格子定数を系統的に変化させて薄膜成長を行った結果,以下のような特徴を見出した。(1)多くの有機物は,TX2劈開面に代表されるファンデルワールス表面で秩序構造をもって配列する。(2)不対電子をもつ窒素原子を有するなど,分子内に電荷分布をもつものは,AH上で静電的相互作用を介して配列させうる。(3)平面型分子は分子面を基板に平行にして配向する。(4)有機分子はできるだけ隙間を少なくするようにパッキングして配列する。(5)その際,分子の組む格子と基板の原子配列との間に,整合関係がある場合,エピタキシャル成長が促進される。(6)ファンデルワールス表面では整合性が満たされない場合でもエピタキシャル成長が起こる。その場合,分子の組む格子の軸は,基板の主軸と一致することが多い。 これらの特徴は,無機基板上に作製した有機薄膜の分子配列・分子配向を予測するとともに,さまざまな有機物のエピタキシャル成長を可能にする指針になると考えられる。
  • 原 正彦
    1993 年 14 巻 8 号 p. 461-466
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    近年,走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた有機分子の実像観察が盛んに試みられている。しかし,一般の有機分子を対象としたSTMを考えた場合,まだ十分確立した手法には成長していないのが現状である。そのような状況の中で,現在改めて注目されている物質系の一つが,エピタキシャル性を有する有機薄膜系である。今後の展開には,無機物質系で着目されてきたような表面・界面で2次元オーダリングを有する理想系を抽出しなければならないことになると考えられる。そのような観点から,本報告では,今までの有機STMの報告の中から無機STMに近いセンスから検討を行った研究例を示し,手法としての有機STMの確立へのアプローチにはどのような内容が必要かを考察する。さらに,理想系である超高真空下における有機分子線エピタキシー(有機MBE)法に作製手法を限らず,広くエピタキシャル成長性に関連する有機薄膜系の領域を網羅しながら,有機分子の実像をとらえる有機STM研究の現状をまとめる。
  • 谷垣 勝己
    1993 年 14 巻 8 号 p. 467-474
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    炭素の新形態であるC60分子を中心に薄膜形成に関する現在の状況とその物性を概説する。C60は基本的にはファンデアワールス結晶であるが,C60分子間の相互作用は他のファンデアワールス結晶と比べると比較的強い。この分子のエピタキシャル成長は基板の種類および蒸着条件に大きく依存している。種々の基板に対するエピタキシャル特性を議論する。
  • 中山 俊夫
    1993 年 14 巻 8 号 p. 475-480
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     有機分子に最も適した評価法である赤外分光 (IR) 法を,有機薄膜成長の in-situ 評価に用いた。芳香族分子の薄膜成長を評価した結果, 膜中の分子配向と共に, 薄膜結晶構造のわずかな変化についても知見が得られ, 有機薄膜の有効な評価手法となりうることがわかった。それと同時に, 膜構造は室温程度の熱エネルギーに対しても敏感であることがわかった。これにより, 膜構造を成長条件に対応づけて評価するためには, 成長条件その場で評価を行うことがきわめて重要であることが明らかになった。
  • 長谷川 幸雄, Phaedon AVOURIS
    1993 年 14 巻 8 号 p. 481-485
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    走査トンネル顕微鏡・分光(STM/STS)を用いて, Au(111)表面のステップ近傍に局在する電子状態密度の定在波を観察した。この定在波は,表面電子状態のステップでの散乱・干渉によって生成されたものと考えられる。観察された定在波の振動周期やピークの位置から,この電子状態のエネルギー分散関係や散乱における位相のずれを電子状態のエネルギーの関数として求めることができた。これらの結果から考慮して,ステップ近傍に存在するフリーデル振動による周期的なポテンシャルがこの散乱に際して重要な役割を果たしていることが推測された。
  • 長島 礼人, 大島 忠平
    1993 年 14 巻 8 号 p. 486-492
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    以前より,いろいろな固体表面上にある条件でグラファイトの薄膜が成長することはよく知られていた。だが,結合の手がすべて面内で閉じているグラファイトは元来C面がきわめて不活性であることから,このグラファイト膜の物性がグラファイト結晶から大きく変化するとは考えられていなかった。ところが近年になって,高温に加熱した基板表面上での炭化水素ガスの分解によって形成した単原子層のグラファイト膜の物性は,基板の種類によっては,グラファイト層間化合物以上にグラファイト結晶から変化していることが明らかになってきた。しかも,アルカリ金属原子をドープしたC60結晶やグラファイト層間化合物の場合のような炭素系への電荷の移動が変調の主な原因ではないこともわかってきた。 ごく最近になって作製できるようになった膜厚が2原子層のグラファイトはよりグラファイト結晶に近い電子状態になっており,これと単原子層グラファイトとを比較することで,これまで以上に詳細な議論が可能になった。本稿では,光電子分光法を用いた単原子層,および2原子層グラファイトの電子状態の観察結果を中心に,この新しい物質群について今までにわかってきたことを紹介する。
  • 富塚 仁, 星 孝弘, 田中 彰博, 菖蒲 明己
    1993 年 14 巻 8 号 p. 493-499
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    An attempt to determine the thickness of native oxide layer on a silicon wafer from a graphical analysis of the transient behavior at an earlier stage of SIMS depth profiling using 16O2+ beam has been performed. We found out three specified depths from the characteristic shape of 30Si+ secondary ion intensity vs. depth curves, which strongly depended on the angle of incidence (θ) and the acceleration energy (E) of 16O2+ beam. Good linear relationships were found between the three specified depths and E at low angles of incidence. The linear lines extrapolated coincided triply at E=0, and from this, a value of 0.62 nm was obtained as the thickness of the native oxide layer.
  • 住谷 弘幸, 池辺 義紀, 田村 一二三, 関 節子
    1993 年 14 巻 8 号 p. 500-505
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    The elimination of memory effect in SIMS (Secondary Ion Mass Spectrometry) has become one of the dominant factors contributing to the reduction of depth profiling accuracy. Most atoms sputtered from the sample by primary ion beam irradiation are deposited on the adjacent mechanical surfaces, especially on the secondary ion extractor. Some of these deposited materials are resputtered by bombardment of energetic ions, such as accelerating secondary ions and primary reflected ions, and deposited again on the analytical sample surface. Therefore, if the elements found in a prior analysis is the same as the elements in the sample to be analyzed, the background signal from the prior analysis will reduce the accuracy of the analysis. This paper gives a detailed quantitative assessment of the elimination of memory effect. In order to reduce the memory effect, the authors evaluated a technique of covering the background source by in-situ sputtering of non-interference materials for several hours prior to analysis. The memory effect was evaluated quantitatively by measuring the detection limit of phosphorus implanted into Si as a function of the number of atomic layer deposited on the top of secondary ion extracting electrode covered with stainless steel (SUS 304). The phosphorus deposited in the prior analysis of a GaP sample was used as the origin of the memory effect. From the experimental results, it was found that the detection limit decreased as a function of the number of atomic layer of the material deposited on the extracting electrode. As a results, the memory effect is eliminated by depositing about 20 atomic layers of the SUS 304.
  • 村上 健司, 野村 卓志, 矢後 栄郎, 石川 賢司, 萩野 實, 山口 豪, 佐々木 彰
    1993 年 14 巻 8 号 p. 506-508
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    STM images of HOPG (highly oriented pyro-lytic graphite) (0001) surface have been obtained in a vacuum of 1×10-5 Pa. A clear image of the hexagonal structure of the surface atoms was obtained. The height difference between the higher (lower) carbon site and the hollow site is 2.0Å(1.2Å). The values for the surface corrugation obtained in the present observations fairly well coincide with those predicted from theoretical calculations.
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