表面科学
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14 巻, 9 号
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  • 堤 和男
    1993 年 14 巻 9 号 p. 520-525
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    吸着熱の熱力学的定義および吸着熱の直接測定によるナノ空間の特性化について解説した。ナノ空間表面の状態および空間内での吸着分子の挙動が,吸着熱の値からエネルギー的に解析しうることを示した。
  • 表面の構造と液体物性
    近沢 正敏, 武井 孝
    1993 年 14 巻 9 号 p. 526-532
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    固体表面の特性評価値である表面積,細孔分布,表面の化学的親和性などを,吸着科学的手法で正確に評価するには,吸着層が気相,液相,固相のいずれの状態かを明確にする必要がある。比表面積の算出において,吸着層が液相,固相とその状態が異なると,単分子吸着量や分子断面積がそれぞれ大きく変動することを不活性ガス,水蒸気の各吸着について指摘した。また吸着層は,固体表面作用力の影響でその構造と物性はバルクの状態とは異なることを固―液の相変化温度の変動結果から明らかにした。 細孔分布は吸着質の細孔内への毛管凝縮現象を利用して求められる。その際用いられるKelvinの毛管凝縮式の適用限界は,窒素吸着の場合,細孔半径が20Aまでといわれている。適用困難な理由の一つとして凝縮液体に及ぼす固体表面作用力の影響が考えられる。この影響が顕著に現れると推定される水蒸気吸着系において,毛管凝縮のメカニズム,また凝縮液体の物性変化(密度)について,さらには表面の濡れ性と毛管凝縮との関係について解説した。
  • 鈴木 昇
    1993 年 14 巻 9 号 p. 533-539
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    アルコールやシラン系およびチタネート系カップリング剤を用いた表面官能基置換法による,固体特に粉体の化学的表面改質と,吸着特性を含めた表面性状の改質による変化について述べる。まず非酸化物粉体の表面酸化膜の性状を確認すると共に,表面改質手法を利用した酸化物との比較を行い,多くの非酸化物粉体の表面は酸化物とほぼ同じであり,かつ化学的表面改質が可能であることを示す。つぎに,酸化物のチタネートカップリング剤による処理と表面基の構造,およびメカノケミカル法による表面改質について述べる。さらに,表面改質された試料の吸着性に着目し,その水分吸着特性変化,細孔を有する試料の細孔構造を解析するためのαs法,およびシリカゲルのマイクロボアに対するアルコール処理の影響をαs法で解析した例を紹介する。
  • 土谷 敏雄, 井ノロ 郷平
    1993 年 14 巻 9 号 p. 540-545
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    撥水材料は,その撥水,撥油特性を利用して自動車塗装,飛行機用着水防止塗装,衣類などに用いられている。さらに,透光性に優れた材料が開発されれば,高層ビルのガラス窓用コーティング剤,自動車用フロントガラスおよびミラー用コーティング剤,各種着氷防止剤などへの応用が期待される。この研究では,ゾル・ゲル法を用いて,化学的耐久性と透光性に優れたSiO2薄膜を母体として,その中にフッ素を添加することにより,用いる基板との密着性が良く撥水性をもつ薄膜の作製を試み,さらに作製条件を変え接触角などの物性を測定し,撥水性が現れる機構について検討した。試料の作製のためにSi(OC2H5)4にEtOH,1-PrOH,H2O,0.1N-HClを加えて攪拝し,フルオロアルキルシランを少しずつ加えてコーティング溶液を作製した。この溶液にガラス基板をディップして引き上げ乾燥後,300~350℃で焼成しフッ素を含むSiO2薄膜を得た。得られた薄膜の接触角を測定した結果,約107度の値を得た。これはPTFEと同程度の値である。XPSの測定からフッ素はSiO2薄膜の表面に,-Si-O-Si-CH2CH2(CF2)7CF3のように結合していると考えられる。この材料は耐候性にも優れていると考えられることから,透明な撥水性材料としての展開が期待される。
  • 田尻 耕治
    1993 年 14 巻 9 号 p. 546-549
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    きわめて気孔率が高く低密度の材料「エアロゲル」は湿潤ゲルの超臨界乾燥により作製される。光学的に均質で透明であり,熱伝導度がきわめて小さいなどの特徴をもつため,透明断熱材などへの応用が期待され,特にシリカエアロゲルの研究が進められているが,実用化のためには強度や耐久性,製造コストの問題点が残されている。エアロゲルは構成粒子や孔径の小ささや比表面積の大きさという特徴ももち,これを活かして機能性材料への応用も期待される。この方面での研究はまだ緒についたばかりで基礎研究段階であるが,シリカ以外のエアロゲルの作製,各種物性の測定が行われている。これらのことについて解説を行った。
  • 山本 貞明
    1993 年 14 巻 9 号 p. 550-557
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     一般的に粉体試料は紫外―可視あるいは赤外光に対し不透明である。このことが気相, 液相系の光反応の研究に用いられてきたホトンプローブ分光法の適用にとって大きな制約となり粉体表面に吸着した分子の光反応の研究を困難なものとしていた。しかしながら最近の分光技術の発達は粉体表面の吸着分子の反応解析を容易なものとしている。特に時間分解拡散反射レーザーホトリシスは従来不可能であったダイナミックスに関する研究をも可能にしている。本稿では2個以上の原子からなる金属骨格をもった金属カルボニルクラスターの粉末酸化物表面における光反応について紹介し熱反応との相違や酸化物表面の特異性について述べる。
  • 菖蒲 明己, 鈴木 英之, 安孫子 勤
    1993 年 14 巻 9 号 p. 558-564
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    Electric charges, surface concentrations, and the dynamic behaviours of Cs, Re, and O on self-supported disk surface of Cs and Re-doped silver powder during the operation of O2-Jet under UHV were examined using XPS. Pile-up and creep-in of doped elements, in analogy with O, were observed with heating and cooling of the sample, respectively. A drastic shift of Re 4 f7/2 spectrum of 46.7 (Re7+) to 40.9 e V (Re0) took place when the sample was heated at 110 to 210°C, while Cs 3 d5/2 only lay in the range of 724.8∼725.2 e V. Conspicuous transient responses to O2-Jet were exhibited by the sample heated at 210°C; with increasing exposure time, the binding energy of Re 4 f7/2 rapidly shifted from 40.9 (Re0) to 45.3 eV (Re6+), Cs 3 d5/2 did so from 725.2 to 724.6 e V, and O 1s gradually became a twin peak of 530.5 and 528.9 e V, of which composition of five core spectra obtained by deconvolution was varied vigorously. The O 1s core spectrum of 528.8 eV assigned to oxydic oxygen and CS2O was found only during the operation of O2-Jet at 210°C.
  • 渡辺 徹, 掛川 正幸
    1993 年 14 巻 9 号 p. 565-569
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    Generally a multi layer films have been prepared by dry process, for example evaporation method and spattering method. In this paper, the preparation method of multi layer film by plating method which is typical wet process is discussed. There are three types of the preparation method which is single cell method, dual cell method, and flow solution method. And especially, in this paper, some photographs of the cross sectional structure of the multi layer film prepared by the plating method are shown. I think that it seems to be possible to make the multi layer film below some nm in each thickness. The plating method is cheaper process to make a metal film, and so previously they are expected to make some functional film.
  • 太田 健一郎, 吉武 英昭, 神谷 信行
    1993 年 14 巻 9 号 p. 570-573
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    パラジウムを用いた重水電解において常温核融合が起こると発表されてから4年になるが,ことの真偽についてはまだ確定していない。理論的にまったくありえないことなので否定する向きも多いが,明らかに異常現象を示す結果も数多く報告されている。本稿では理論的な問題点を明確にするとともに,研究の現状,広がりを実験事実に基づいて紹介する。 中性子は電解法では生成が少なく,気相法,放電法において顕著なバースト状の発生が多くみられる。電解における過剰熱に関しては入力の10倍まで観測されるようになったが,再現性に問題があり,さらに中性子,あるいはトリウム生成とは相関のないことが明らかになりつつある。
  • 1993 年 14 巻 9 号 p. 581
    発行日: 1993年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
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