表面科学
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15 巻 , 3 号
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  • 吉信 淳, 川合 真紀
    1994 年 15 巻 3 号 p. 132-138
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    近年の赤外分光器の発達はめざましく,ミリ秒オーダーの時間分解能をもつ赤外反射吸収分光が比較的容易になり,分子の固体表面での吸着,拡散,反応,脱離などの動的過程をリアルタイムで観測できるようになってきた。ここでは,Ni(100)表面でのCO分子のふるまいを通じて,金属表面での吸着分子の微視的挙動を支配している因子を論じた。特に,吸着ポテンシャルの詳細な検討,吸着サイト間のホッピングによる表面拡散,気相からの分子の到来に伴う局所的なポテンシャル変化など,吸着分子の挙動を考えるうえで基本的な現象をとりあげた。
  • 藤川 安仁, 小間 篤
    1994 年 15 巻 3 号 p. 139-144
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    高分解能電子エネルギー損失分光法を用いた固体表面上の振動分光は,種々の系に対して応用され,多くの知見が積み重なりつつある。ここでは,本手法をC60,C70などのフラーレンのエピタキシャル膜に対して応用し,その特徴的な振動分光スペクトルを明らかにした結果について述べる。 鏡面反射条件で測定したC60エピタキシャル膜のスペクトルには,C60分子の高い対称性から期待される4本の赤外活性モードに由来するピークが,非常に強い双極子散乱ピークとして観測された。この結果は,エピタキシャル膜表面の平坦性の高さを実証している。一方単層膜試料に対する測定の結果,界面第1層のC60分子とMoS2基板との間にはかなりの相互作用があり,分子の対称性が低下していることを示唆した。C70エピタキシャル膜に関しても,鏡面反射条件において,赤外スペクトルとほぼ対応するスペクトルが得られ,室温下ではC70分子のほとんどは,膜中でランダムの方向を向いていると思われる。しかし,単層膜の測定結果は,界面第1層のC70分子は,基板上に“寝た”状態で配向している可能性を示唆した。
  • 長尾 忠昭, 大島 忠平
    1994 年 15 巻 3 号 p. 145-151
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    高分解能電子エネルギー損失分光法(HREELS)は固体表面の分子振動,原子振動,格子振動(フォノン)を調べる有力な研究手段である。これらの素励起のエネルギー自然幅は0.3meV程度であるので0.3meV以下のエネルギー分解能をもつ分光器の出現が望まれている。現在の最高のエネルギー分解能は1meVを切りその可能性はさらに広がりつつあるが,このような高精度測定を実現するためには,長期にわたる多くの技術的改良が必要であった。本稿ではHREELSの装置開発について,特にエネルギー分解能向上の話題を中心に紹介する。
  • 難波 孝夫
    1994 年 15 巻 3 号 p. 152-157
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    表面遠赤外分光法は反応ガス雰囲気中でも有効に働くことや分光技術上のエネルギー分解幅が表面に関する電子分光法とは比べられないほど小さいということのほかに,励起エネルギーそのものが微小であるから吸着分子(原子)と母体結晶表面原子の間の振動モードが直接観測できるという点で,表面に吸着した分子の電子状態の情報を得るための有力な手法と考えられる。しかし,表面遠赤外分光法を実施するにはいくつかの問題点が存在し,まだ揺籃期にあるといってよい。本稿ではいわゆる中赤外領域で行われていた表面赤外分光法であるIRRASの手法を遠赤外領域で行ったらどうなるかをとりあげる。そのため従来のIRRASの問題点とこれを克服する方法として電子蓄積リングから得られるシンクロトロン放射光を光源とする新しい分光方法をとりあげ,その現状を述べる。
  • 高野 暁己, 上田 一之
    1994 年 15 巻 3 号 p. 158-163
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    電子励起脱離法(ESD)は固体表面に電子線を照射したときに脱離する粒子の質量数,速度,角度分布などの分析から表面に何が,どのように吸着しているかを探る方法である。飛行時間型のESD観測装置(TOF-ESD)を開発し,脱離イオンの運動エネルギー分布について詳しく調べた。まず,Ni(110)表面に吸着したCOからのO+の脱離が励起エネルギーに強く依存することを述べ,その運動エネルギー分布から脱離の機構を考察した。また分子軌道計算法を用いて励起状態のポテンシャルカーブをシミュレートし,実験結果と比較した。
  • 池田 正則, Teguh Rusyanto, 長嶋 直之
    1994 年 15 巻 3 号 p. 164-167
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    Behavior of F and O on the Si(100) surfaces dipped in aqueous solution of HF was examined by use of X-ray photoelectron spectroscopy (XPS). The F 1 s spectrum observed was separated into two Gaussian peaks with 685.6eV and 687.4eV binding energies, which are considered to correspond to Si-F and Si-F2 bonding respectively from the difference in the amount of negative charge of each F. Peak intensity of Si-F increased with increasing HF concentration of the solution. On the other hand, the variation of peak intensity of Si-F2 with HF concentration was small. In the F 1 s spectra from the Si(100) surfaces exposed to the atmosphere after dipping in aqueous solution of HF, peak intensity of Si-F decreased with increasing the exposing time, but that of Si-F2 hardly varied with the exposing time. These experimental results were explained in terms of the differences in the chemical bonding state between Si and F.
  • 徳高 平蔵, 藤村 喜久郎, 岸田 悟, 三好 佳和, 石原 誠, 石原 永伯
    1994 年 15 巻 3 号 p. 168-174
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    The areas of the peaks in the raw spectra were calculated by subtracting the backgrounds using a modified Tougaard method. The spectra used were obtained from the reference data in the Common Data Processing System by VAMAS. The results of the compositions were learned after many repetitions by the neurocomputing method. Then, the neuro-system clearly determined the compositions of the unlearned results.
  • 田沼 繁夫, Cedric J. POWELL, David R. PENN
    1994 年 15 巻 3 号 p. 175-180
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    We have calculated the electron inelastic mean free paths (IMFPs) in the range of 50∼2000 eV for 14 different organic compounds using the Penn algorithm. We report here mainly the calculated values of IMFPs for polyethylene and guanine, because their difference in density is the largest in this group of organic compounds. All the compounds had similar electron energy loss functions, and the computed IMFPs were similar in their magnitude and in the dependence on electron energy. The ratio of each calculated IMFP was 1.4 at 2000 eV ; this ratio is much smaller than those of metallic elements and inorganic compounds. Comparison of the calculated IMFPs for the organic compounds with the values obtained from our predictive IMFP formula TPP-2, which provides parameters in a modified Bethe formula, showed systematic differences of about 40%. These differences are attributed to the application of extrapolation of TPP-2, proposed on the basis of the calculated results of IMFPs for mainly high-density materials, to the low-density materials such as the organic compounds. We have, therefore, developed a modified empirical expression for one parameter in TPP-2 based on the IMFP data for the groups of elements, inorganic and organic compounds. Thus obtained modified equation, denoted TPP-2 M, gave satisfactory values of IMFPs for all materials in which IMFPs were calculated from experimental optical data using the Penn algorithm.
  • 浅野 清光, Gerald ENDERLEIN, Dieter PROCH
    1994 年 15 巻 3 号 p. 181-183
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    We have developed a DC magnetron sputtering apparatus for the coating of Nb films on the inner surfaces of a 500 MHz Cu cavity. Q0 values at 4.2 K by pipe cooling have been determined in order to optimize the various coating processes. The Nb films can be sputtered successively after sputter-cleaning the inner surfaces of the cavity by switching the polarity of the DC power supply operated at a constant power.
  • 中原 晧
    1994 年 15 巻 3 号 p. 184-188
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    軟体動物の貝殻は炭酸カルシウムの結晶(アラレ石または方解石)と小量の有機質で構成されている。個々の結晶の形は,真珠層では板状のアラレ石,交差板構造では細長い柱状のアラレ石などさまざまである。貝殻はその内面の一定部分で成長する。この成長表面は変化に富んだ微細形態を示す。特に真珠層では二枚貝と巻貝で著しい差がある。また断面や切片の観察を加えれば,内部の構造とその形成過程を知ることができる。
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