表面科学
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15 巻 , 4 号
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  • 小林 久芳
    1994 年 15 巻 4 号 p. 198-203
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    密度汎関数法の最近の進歩について,理論的・実際的側面からやや詳しく説明した。特筆すべき改良点としては,(1)電子密度の補助関数でのフィットを最小2乗法的に行う。実際にはクーロン型3中心積分を用いて電子密度ではなく,クーロンポテンシャルをフィットする。(2)Xα法で用いられている局所交換ポテンシャルに加えて,局所相関ポテンシャルを用いる。さらに,非局所ポテンシャルによる補正を行う。(3)交換相関ポテンシャルの数値積分を効率よく計算するためのグリッドフレームが改良された。などが挙げられる。新しいプログラムではどれも,これらの機能をインプリメントされており,全エネルギーを精度よく計算できることはもちろん,エネルギー勾配法を用いて構造最適化や振動数解析が行える。 応用例として著者らが行った,酸化マグネシウム表面での水素分子の解離吸着を紹介し,コーナーサイトでの高い反応性が欠陥構造による“共有結合性の局所的増大”の概念で説明できることを示した。
  • 吉田 博, 織田 望, 佐々木 泰造
    1994 年 15 巻 4 号 p. 204-210
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    半導体表面吸着原子系や不純物原子系における特異な電子状態として,多重荷電状態,負の電子相関,触媒効果をとりあげる。このような特異な電子状態が重要な働きをする例として,ワイドギャップ半導体であるZnSe中のアクセプターの新しい補償機構,負の電子相関と触媒効果による結晶シリコン中のシリコンの低温での高速拡散機構,そして水素化アモルファスシリコンにおける水素の役割と固有欠陥反応を選び,第一原理分子動力学法により,これらの系に特有な新奇な反応機構や拡散機構の予言と発見を試みる。また,いままで認識されてなかった電子励起原子移動による新しい物質科学の創成と発展の可能性についても言及する。
  • 和田 宏, 近江 弘和
    1994 年 15 巻 4 号 p. 211-216
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    分子線エピタキシー(MBE)法による微斜面上の結晶成長の運動学が取り扱われている。分子線源から基板結晶への原子蒸着,および結晶表面に沿っての原子拡散を基礎過程とするMBE成長の運動学的方程式が,SOS(Solid on Solid)モデルに基づき非平衡統計力学の手法である経路確率法(PPM)により導かれている。この方程式が等方的な拡散頻度をもつ模型に適用され,表面ラフネスおよび微斜面の表面形態の時間発展が計算される。テラス上の2次元核生成による層成長モードは温度上昇により拡散距離がステップ間距離の半分程度まで延びると,ステッフ。前進モードへ変化することが示されている。これらの結果はGaAs(001)の微斜面のMBE成長で観測されるRHEED鏡面反射強度の温度変化から期待される結果ときわめてよく一致している。さらに経路確率法による結果との比較のために同一モデルに対してモンテカルロ・シミュレーションが行われている。 また表面再構成によりダイマー列方向が一層ごとに90度変わるSi(001)の微斜面に,非等方的な原子拡散頻度をもつモデルが適用され,熱電流下におけるアニーリングが取り扱われている。熱電流方向の反転により2種類のテラスの増大・減少が反転するドメイン反転現象がSchwoebel効果を基に議論されている。
  • 井原 茂男
    1994 年 15 巻 4 号 p. 217-223
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    最近,最も大きな進歩がみられた電子密度汎関数法を併用した分子動力学シミュレーションに焦点をあて,計算手法について述べ,応用面からも重要であり,三十年近くにわたる長い論争が続いているSiの表面構造について,最近のシミュレーションの研究結果をSTMなどの実験結果も踏まえて概観する。
  • 石井 晃
    1994 年 15 巻 4 号 p. 224-232
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
     表面分析の手段として知られる角度分解光電子分光の計算機シミュレーションの手法とその最近の応用例を紹介する。角度分解光電子分光はバンド計算と直接比較するのは定量的にはふさわしくなく, スペクトルそのものの計算が必要である。また, 表面に敏感なので, バルクのバンドを測るときも表面の構造を考えて分析する必要がある。
  • 今石 宣之, 秋山 泰伸
    1994 年 15 巻 4 号 p. 233-239
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    CVD法はエレクトロニクスなどの諸工業分野で盛んに利用されている薄膜形成技術であるが,その物理的,化学的な機構に関する知見は十分とはいえない。最近,さまざまな実験手法やシミュレーション法などが開発されCVDについての知識が増えつつある。ここではわれわれのグループで取り扱った金属複酸化物(YSZ)膜のCVDについてのモデル化,解析手法,その結果について紹介する。 CVD系においては,気相反応,表面反応が共に関与しており,さらに反応装置内の流れ・伝熱(温度分布)・拡散(濃度分布と反応)が互いに関連しあっている。このように複雑なCVD反応を解析する手段として,ミクロ・マクロシミュレーションを提案した。気相反応については,反応器内の成膜速度分布のマクロスケールのシミュレーションにより,また表面反応についてはμmスケールのトレンチ上の成膜形状に関するミクロシミュレーションにより決定することができた。YSZ膜の成長に関しては,その構成成分(ZrO2,Y2O3)の単成分系の成長特性の単純な加成性によって,成膜速度や膜組成を説明することができた。このようなCVDモデルを用い速度定数を決定すれば,任意の装置における成膜速度分布特性を予測することができる。
  • 阿久津 典子, 阿久津 泰弘, 山本 隆夫
    1994 年 15 巻 4 号 p. 240-246
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    TSK(Terrace-Step-Kink)描像にもとづきvicinal surfaceを紐状ステップの多体系とみなす。単一ステップのゆらぎ幅の2乗平均W2(y)はyをステップに沿った距離ステップ密度をρとして,yが十分に大きいところで漸近的にW2(y)~A(ρ)lnyとなることが理論的に示される。また,係数A(ρ)はfree fermionモデルではA(ρ)=1/(πρ)2となり,一般的に短距離相互作用系ではρ→0でこの形(ユニバーサル形)になることが示される。これらの結果は,ラフ界面の表面張力波理論を用いて得られる。W2(y)と表面高さ高さ相関関数との間の一般的関係を通じて導出される。free fermionモデルおよびSOS(solid-on-solid)ステップモデルについてモンテカルロ計算が行われ,理論的予想が確認された。
  • 小林 正弘, 藤野 豊美, 金子 剛, 千代倉 弘明, 野田 武志
    1994 年 15 巻 4 号 p. 247-251
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    形成外科の領域におけるシミュレーション外科,コンピュータ支援外科に関する研究を,実際の臨床例を含めて,概説する。コンピュータを利用して手術を再現する方法には,コンピュータ・グラフィックス(CG)によるもの,3次元実体モデルによるもの,バーチャル・リアリティ(VR)によるものの三つの手法がある。CGによるものは,繰返しが容易であること,3次元実体モデルによるものは,実際の奥行き感を有することが利点となる。VRによるものは,その両者の利点を有するものとして期待されている。コンピュータを使用して手術をシミュレーションすることにより,正確な術前診断,手術法の検討,術後の評価が可能となる。それにより,手術侵襲の低減化,手術時間の短縮,入院期間の短縮が可能である。また,患者,家族への疾患,手術法の説明,学生,研修医の教育においても有用である。この研究は,現在,研究の始まったばかりの段階ではあるが,今後は,さらに大きく実を結んでいくものと考えられる。
  • 小野寺 力, 田口 常正
    1994 年 15 巻 4 号 p. 252-259
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    The conduction- and valence-bands offsets and the quantized energy levels of the quantum wells of CdZnSe/ZnSSe strained-layer superlattices have been calculated theoretically on an assumption of free-standing hetero-interface. From this study made with a view to understanding the fundamental electronic states, it was found that the states are greatly dependent upon the well-layer thickness. It was also revealed that the strains induced at the interface significantly modify the band lineups and associated electronic states. These results provide us with some useful information for designing the blue-green laser diodes based on this strained-layer system.
  • 渡部 一史, 杉田 利男
    1994 年 15 巻 4 号 p. 260-267
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    Using a PIG-type micro-sputtering apparatus developed by the authors, thin films of 18 different transition metals are deposited on glass substrates under the same sputtering conditions and the deposition rate of each metal is measured in Ar or Xe atmosphere. The relation between the deposition rate measured and the atomic number for each element in 4, 5 and 6 of the periodic systems is shown. A correlation was found between the measured rates and the reciprocals of the cohesive energy of the target metals. Further it was found that, for each metal, the specific deposition rate(Rs) obtained by reference to the rate for Mn is proportional to the specific theoretical sputtering yield(Ys) calculated by Sigmund. These results give an experimental proof to Sigmund's theory which has not been supported by experimentally so far. The authors propose a method as to how to estimate the deposition rate using sputtering yield(Y) calculated by Sigmund theory. The deposition rates for Ir, Os and Rh etc. are estimated by the authors from Sigmund's values.
  • 李 壽燦, 田村 仁志, 井上 雅彦, 志水 隆一
    1994 年 15 巻 4 号 p. 268-272
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    Surface chemical analysis of Zr-O/W system was performed at two different sample temperatures, room temperature and ∼1600 K, by using Auger electron spectroscopy (AES) and ion scattering spectroscopy (ISS). Depositing Zr onto a polycrystalline W-substrate the surface was exposed to oxygen. AES and ISS measurements have revealed that the oxygen adsorbed on the Zr/W surface at room temperature diffuses into Zr/W at ∼1600 K, keeping a major part of Zr remained on the outermost atomic layer. This result strongly supports the model proposed by Danielson and Swanson for Zr-O/W (100) system that the oxygen adsorbed on the Zr/W (100) surface at room temperature diffuses into the Zr/W (100) as a composite Zr-O at high temperature and this results in considerable decrease of work function, leading the Zr-0/W (100) system to an electron source of high brightness.
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