表面科学
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16 巻 , 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 杉田 利男, 吉田 巖
    1995 年 16 巻 11 号 p. 664-672
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    層状物質は,劈開が容易で,原子尺度にて平坦な表面が得られ,STM,AFMの試料として最適なので,多数の研究が発表されている。本論文では,半金属(As,Sb,Bi,Te),グラファイトおよびフィロシリケート(タルク,雲母)の劈開面のSTM,AFMによる研究状況をレビューした。しかし,これまでに報告されているSTM,AFMの観察像は,それらの結晶学的構造と一致しない場合が多い。筆者らは,この原因は,「層状物質表面はガス吸着に対して不活性である」とする点にあるとして,高純度アルゴン雰囲気中で,結晶を劈開し,かつSTM,AFMの像を観察することを計画し,実行した。その結果,グラファイト表面で六員環構造が,また,白雲母の劈開面ではケイ酸四面体のO2-イオンの三角形配列が明確に観察される,など結晶学的原子配列とよく一致するSTM,AFM像を観察できることが確かめられた。
  • 小林 功佳
    1995 年 16 巻 11 号 p. 673-679
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    層状物質表面の第一原理計算による最近の理論研究を,主に走査トンネル顕微鏡(STM)に焦点を当てて紹介する。扱う層状物質としては,グラファイト,遷移金属ダイカルコゲナイドおよびそれらの基板上に成長した薄膜などである。層状物質は通常,2次元的な系と考えられているが,STMでは探針との波動関数の干渉や基板との相互作用などを通して3次元性が顕著に現れることがわかってきた。
  • 瀬川 幸一, 番 由美子
    1995 年 16 巻 11 号 p. 680-687
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    ホスホン酸化合物は4価の金属塩と反応し結晶性層状化合物を生成する。4価の金属塩としてジルコニウムを選び,分子設計したホスホン酸ジルコニウム誘導体について新たな機能性材料としての応用性を検討した。ホスホン酸ジルコニウム(組成式:Zr(O3P-R)2)は,ジルコニウム原子によって形成された平面の上下に,リン酸基四面体が規則正しく配列した構造からなる層状化合物である。この化合物には層間内にさまざまな官能基を導入できるという特徴があり,その導入された官能基の種類によって層間距離を制御したり,酸性や疎水性などの機能を付与することが可能である。また,単一の官能基だけでなく異なる種類の官能基を同時に導入することにより,複数の機能を与えることも可能である。本稿では,ホスホン酸ジルコニウム誘導体の構造ならびに触媒材料,イオン伝導体,イオン交換体などへの応用について概説した。
  • 星野 聡孝, 磯田 正二, 小林 隆史
    1995 年 16 巻 11 号 p. 688-693
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     真空蒸着法によってグラファイト基板上に作製したさまざまな有機分子のエピタキシャル超薄膜のSTM像には, ある種のモワレとして解釈できる1次元周期的変調コントラストが現れていた。2次元界面において1次元的かつ周期的なモワレが生じるということは, この界面において特殊な格子整合関係が存在することを示している。特にグラファイト基板上での有機単分子層膜の場合, 変調コントラストの解析から2次元有機結晶のすべての格子点がグラファイト表面格子の (0,1) 線上 (もしくはこれと等価な格子線上) に位置していることが明らかになった。この場合の界面は2次元的には不整合であるものの, ある意味で1次元的な整合性が存在しているといえる。 理論的考察からこの格子整合関係を満たす界面はエネルギー的に安定であることが示され, 有機エピタキシーにおける配向発現においてこの格子整合関係が重要な寄与をしていることが明らかとなった。また, この格子整合関係を基にすれば, 有機エピタキシーの場合のように基板結晶と格子定数・対称性が大きく異なる場合においてもミスフィットを適切に定義することが可能となり, 有機エピタキシーにおける配向予測に応用しうることが明らかになった。これはエピタキシー現象を利用した分子集合状態制御への一つの指針になると思われる。
  • 小川 誠, 黒田 一幸
    1995 年 16 巻 11 号 p. 694-698
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    無機層状物質への有機化合物のインターカレーションによって形成する無機有機ナノ複合物質,層間化合物について,特にミクロ構造の評価とそれを利用した機能/反応制御に関する最近の研究例を紹介した。X線回折分析,ESR,NMRにより層間ゲスト種の配向が検討された。このホストーゲスト相互作用に起因する層間ゲスト種の配向が,光二量化反応の選択性や第二高調波発生などの物性に反映された。またさらに精緻なミクロ構造の構築を目指して,界面活性剤による層間の疎水化,テトラメチルアンモニウムイオンをピラーとして用いた多孔体化などが試みられた。光化学ホールバーニング,フォトクロミズムなどゲストの光物性の変化から,このようなミクロ構造の修飾によりゲストの吸着状態,ホストーゲスト相互作用が制御できることがわかり,層状結晶へのインターカレーションを利用した物質設計の有効性が示された。
  • 三澤 顕次, 矢久保 無用ノ介, 横山 徹, 有澤 準二
    1995 年 16 巻 11 号 p. 699-704
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    This paper describes the optical characteristics of the Monoolein-PVC membrane in five basic taste solutions such as NaCl (salty), HCl (sour), Saccharose (sweet), Quinine hydrochloride (bitter) and mono-Sodium L-glutamate (umami). The Monoolein-PVC membrane was composed of poly(vinyl chloride) and a synthetic lipid, Monoolein. The optical characteristics of the membrane for the taste solutions could be measured quantitatively as an intensity variation of transmitted light of the membrane, using an optical measurement system with optical fiber. Since the optical intensity of transmitted light increased with different patterns for each taste solution, the membrane is supposed to have an optical selectivity. However, the optical characteristics of the membrane such as detection-threshold and dynamic-range did not agree with human taste characteristic. In order to improve the optical characteristics of the membrane, cholesterol or plasticizer was mixed into the membrane. As a result, the optical characteristics become closer to human characteristics in a few taste solutions. By taking advantage of these optical characteristics, some new usages, optical taste sensors and so on, are expected in the field of ion sensing materials.
  • 小林 敏勝
    1995 年 16 巻 11 号 p. 705-709
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    塗膜の光沢や隠蔽力などの外観品質は,塗膜中に含まれる顔料粒子の分散状態に大きく影響を受ける。顔料の分散状態を決定する因子としての,分散安定化をとりあげ,高外観を得るための条件について考える。実用的なレベルでの顔料の分散安定化は,樹脂の吸着によってのみ達成できる。顔料に対する樹脂吸着のドライビングフォースは,油性塗料系では酸塩基相互作用,水性塗料系では疎水相互作用が実用的である。樹脂・顔料の酸・塩基性度や親水・疎水性度と,塗膜外観との関係について実例を基に説明する。
  • 阿部 正彦, 沢田 英夫
    1995 年 16 巻 11 号 p. 710-714
    発行日: 1995/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    ポリスチレン微粒子にフェニル基やビニル基と選択的に反応する含フッ素有機過酸化物を比較的温和な条件で反応させると,ポリスチレンのフェニル基にペルフルオロアルキル基あるいはペルフルオローオキサアルキル基が導入される。得られたフルオロアルキル化ポリスチレンをベンゾトリフルオリドに溶解させてガラス板上に流延した後,十分に乾燥したところ,疎炭化水素であるペルフルオロアルキル基あるいはペルフルオローオキサアルキル基が優先的に空気と接する表面にのみ配向し,優れたはっ水・はつ油性を示すポリスチレンフィルムが生成した。ポリスチレンのはっ水・はつ油性の向上は,エーテル結合を有する含フッ素有機過酸化物(過酸化ペルフルオロアルカノイルおよび過酸化ペルフルオローオキサアルカノイル)を用いるほど大となり,ある種のものは,ポリスチレンに対する重量比がわずか9%で,その臨界表面張力値を14.2mN/mまで低下させた。
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