表面科学
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16 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 野坂 芳雄
    1995 年 16 巻 3 号 p. 166-172
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    この解説では,後に光触媒に関する解説が続くことを念頭において,半導体超微粒子の基礎物性と表面電子移動の速度論的な解説が述べられている。1章の導入の後,2章では,今まで文献で見かける半導体超微粒子の種類と,最近報告された,粒径分布が非常にせまいCdS超微粒子の作製法について紹介した。3章では,半導体超微粒子の物性として,量子サイズ効果と呼ばれる電子状態のサイズ依存性の現れる理由について,CdSを例に吸収スペクトルの関連で詳しく説明した。X線回折では,積層欠陥のあるウルツ鉱型結晶は閃亜鉛鉱型類似のパターンを示すこと,また,超微粒子の表面構造の緩和によりピークにシフトが生じることを紹介した・4章では,光を吸収した半導体超微粒子に生じた電子や正孔の行方について,その反応速度など最近の報告を解説した。その中で,電子移動速度のエネルギー依存性について,および表面分子の吸着量依存性について特に解説した。
  • 米山 宏, 鳥本 司
    1995 年 16 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    半導体超微粒子は量子サイズ効果によりバルク半導体よりも大きな酸化力および還元力を有しており,高活性な光触媒となる可能性がある。しかしながら半導体超微粒子は大きな比表面積を有しているため凝集してより大きな粒子になりやすく,半導体粒子を安定に超微粒子状態で存在させるためには何らかの工夫が必要である。本稿では半導体超微粒子の調製法および超微粒子の粒径減少に伴うエネルギー構造の変化と半導体超微粒子を光触媒として用いた反応をいくつか紹介する。
  • 和田 雄二, 柳田 祥三
    1995 年 16 巻 3 号 p. 180-187
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    有機溶媒中で硫化亜鉛および硫化カドミウムを調製することによりナノサイズで粒径分布の狭い、しかも溶媒の種類に依存して立方晶系または六方晶系の超微結晶が得られる。この超微結晶の化合物半導体は、光照射下において、電子供与体の存在下、カルボニル化合物、オレフィン、CO2の還元反応に対する光触媒作用を示す。大粒径(マイクロメーターオーダー)の硫化カドミウムではカルボニル化合物の1電子還元反応によるピナコールが生成するのに対し、メタノール中で調製したナノ超微結晶硫化カドミウムを用いると2電子還元体であるアルコールが主生成物である。これは、ナノサイズ超微結晶ではその表面上にカドミウムのメタルクラスターが光照射とともに生成し、2電子還元反応サイトとして機能するためである。また、N,N-ジメチルホルムアミド中で調製した硫化亜鉛のナノ超微結晶はCO2の光還元を高効率で触媒する。この系においては表面のイオウ欠陥の有無が生成物であるCOおよびギ酸の生成経路を決定する重要な因子である。金属硫化物の光触媒作用を量子箱光触媒作用としてとらえ,量子サイズ効果に起因する還元力の発現と表面における反応基質の活性化の重要性から論じる。
  • 藤嶋 昭, 橋本 和仁, 窪田 吉信
    1995 年 16 巻 3 号 p. 188-193
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     酸化チタン (TiO2) 光触媒反応の新しい応用について解説した。光励起されたTiO2表面は非常に酸化力があり, いろいろな有機物が酸化されることはよく知られているが, ここでは医学的応用として, がん治療への応用と院内感染として注目されているMRSA菌の殺菌への応用が述べられている。TiO2の薄膜系と超微粒子系を用いての光殺菌効果が明らかであり, この方面での光触媒反応の応用が期待できる。
  • 山下 弘巳, 市橋 祐一, 安保 正一
    1995 年 16 巻 3 号 p. 194-200
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    CVD法,イオン交換法,ゾルーゲル法で調製した高分散固定化超微粒子光触媒は,バルク半導体光触媒では見られない新規な反応性と高活性・高選択性を示すことがわかった。これらの光触媒は触媒の構造と光触媒活性の関連性や光触媒反応機構の解明に適しているのみでなく,実用に適した形態で自由に設計できることから環境浄化への利用が期待される。本稿では,環境浄化への利用を指向した高分散固定化超微粒子光触媒の具体例として,固定化超微粒子酸化チタンと酸化バナジウム光触媒を取り上げ,それらの調製法,表面構造と活性種のキャラクタリゼーション,およびこれら光触媒による二酸化炭素の水による還元固定化,窒素酸化物の直接分解などについて解説する。
  • 森下 真也
    1995 年 16 巻 3 号 p. 201-205
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    TiO2超微粒子では,量子サイズ効果によってバンドギャップが大きくなるとともに伝導帯は卑な電位にシフトする。そのため,光励起された電子の還元力が強くなり,バルク結晶では析出しなかったNiが光照射によってTiO2超微粒子上に析出する。また,このような超微粒子では表面エネルギーが非常に高く,比較的低い温度域から焼結反応が進行する。これらTiO2超微粒子の特徴と無電解めっき技術とを結びつけることにより,基板上の光照射部のみに密着性良くNiを析出させる新しい部分めっき法へと展開した。本めっき法には,(1)従来法では不可欠なPdコロイドとレジストパターンを使用することなく部分めっき可能,(2)水洗等のない簡単なプロセスなどの特徴がある。また,レジストパターンの形成が困難な曲面や段差のある立体的な基板にもパターンめっきが可能である。ここでは,光照射に伴うTiO2超微粒子上へのNiの析出現象,析出メカニズム,部分めっき法としての解像度,めっきされたNiの基板に対する密着力について解説する。
  • 鈴木 賢一郎
    1995 年 16 巻 3 号 p. 206-208
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    人体に安全で,長寿命かつ悪臭物質を分解して除去する空気浄化方法を得るため,光触媒がもつ強力な酸化力・還元力に着目して研究を進めた。本報告ではまず,光触媒成分である酸化チタン粉末をハニカム状担体に担持した光触媒について,悪臭物質に対する室温下での浄化特性を述べる。悪臭物質に対する光触媒反応は完全酸化型の分解であることを見出した。長期使用により活性低下した光触媒は清浄空気下で光を照射することにより浄化能が初期の性能に回復し,自己再生能を有した。つぎに,光触媒を用いた車載用空気清浄器の実用化の検討過程について述べる。試作した空気清浄器の性能を把握するため,車室内の多種悪臭物質に対する浄化能を調べた。空気清浄器を2時間稼働すれば,“新車臭”はほぼ50%まで低減できた。また,実際に使用している車25台に空気清浄器を搭載し,3ヵ月間にわたる官能評価によるモニターテストを実施した結果,モニターの70%以上が悪臭浄化効果を認めた。なお,光触媒を用いた空気清浄器は自動車室内のみならず各種環境下の空気浄化にも効果があったので,現在,用途に合った各種空気清浄器の検討を行っている。
  • 高岡 陽一, 安藤 均
    1995 年 16 巻 3 号 p. 209-212
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    酸化チタン光触媒の脱臭への応用は,光触媒活性の高い大きな比表面積の超微粒子酸化チタンの開発が基本となる。悪臭は希薄ガスであり,光触媒反応の効率を上げるには光触媒の表面積を大きくし,吸着能力を高める必要がある。酸化チタンそのものは塩基性ガスに対して高い吸着能力をもっており,超微粒子化によって活性炭を上回る吸着能力をもたせることができる。酸性ガスは酸化チタン表面にほとんど吸着しないが,亜鉛の水酸化物で表面を修飾することによって吸着能力をもたせることができる。このように吸着能力を高めた超微粒子酸化チタンは単に吸着剤として優れているだけでなく,光触媒反応による高い脱臭効果をあわせもつ。紫外光を照射しながら光脱臭剤として使えるし,あるいは暗中で単なる吸着剤として用い,吸着によって飽和した吸着能力を紫外光照射によって再生することも可能である。
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