表面科学
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17 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 吉田 満帆, 藤田 光孝, 大澤 映二
    1996 年 17 巻 2 号 p. 62-67
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    球殻炭素クラスター“フラーレン”として,C60,C70以外にもC76,C84などがすでに単離されている。これらフラーレン分子群の構造は,12の五員環が六員環の炭素原子ネットワークに入ることによって球殻状に閉じている。炭素数76以上の高次フラーレンの構造は,一般に対称性が低く,異性体もいくつか存在する。これら高次フラーレンの構造を多面体としてとらえ,展開図法を用いて平面上で眺めることによって,おのおのの異性体がもつ個性を抽出することが可能である。特に五員環の相対的な配置によって定義されるフェイゾンラインは,結合交替や安定性のみならず,フェルミレベル近傍の電子状態にも大きな影響を与える。そのため巨大分子としての高次フラーレンの表面電子状態を研究する際に,フェイゾンラインは有効であると考えられる。たとえばSTMを用いたフラーレンの直接観察による,異性体同定や電子状態推定のための,新たな手段としてフェイゾンラインは役に立つであろう。
  • 小椋 厚志, E. C. HONEA, C. A. MURRAY, K. RAGHAVACHARI, W. O. SPRENGER, W. ...
    1996 年 17 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    レーザーアブレーション法で作製したSiクラスターを,四重極質量分離器を用いて単一サイズに制御し,同時堆積した不活性分子マトリクス中に埋め込んで,表面をAgでコートしたサファイアプリズム基板上に堆積した。表面プラズモンーポラリトンラマン分光法で得た,各サイズのSiクラスターからの振動モードを,分子軌道計算の結果と比較し構造解析を行った。その結果,Si4は同一平面上の菱形,Si6は圧縮された八面体,Si7は上下をキャップされた正五角形であることが確認された。さらに,構造が既知であるSiクラスターを出発材料とする凝集過程を観察し,非晶質Siに関する知見を得た。
  • 岩壁 靖
    1996 年 17 巻 2 号 p. 74-80
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    走査型トンネル顕微鏡(STM)は,原子,分子が直接観察できる超高分解能顕微鏡である。STMは基板界面の分子の配向が重要である液晶分野での新しい評価方法として期待されている。本報告では,液晶の界面分野の問題を扱ううえで重要な基板上の液晶配向状態の基板依存性,化学構造依存性,基板上の混合系液晶の分子配向状態について検討した。STMによる観察結果から基板の表面構造が異なるとその上の液晶分子配向状態も異なることが分子レベルで初めて確認できた。このことにより基板と液晶分子との相互作用の重要性が示された。混合系液晶化合物においても液晶分子の配向状態が観察可能なことを示し,その観察結果からバルクの液晶の混合比は基板界面の液晶の組成比に比例しないことを示した。また,アルキルシアノビフェニル系液晶化合物の単一液晶および2成分系液晶において等方相からの冷却過程でバルクの液晶の配向状態が基板との相互作用で変化し,基板に吸着する簡単なモデルで液晶分子の基板への吸着過程を表わすことができた。しかし,この簡単なモデルが成り立たない液晶化合物も存在することがわかった。一般的には液晶分子の基板への吸着過程はこのような単純なモデルでは表わすこと難しく,吸着構造は基板吸着時の液晶分子どうしの相互作用と基板と液晶分子との相互作用の二つの重要な因子で決まると考えられる。
  • 高木 俊宜
    1996 年 17 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     薄膜形成, 結晶成長におけるイオンの役割を運動エネルギー的効果とイオンのもつ電荷の効果から論じた。基板への最適入射エネルギーは数eV~約100eVにあり, 特に加速電圧を加えなくても, あるいはごくわずかのイオンが存在するだけでも, 薄膜形成に及ぼす電荷の効果は顕著であることを明らかにした。このような極低エネルギーで大電流を輸送する新しい荷電粒子輸送技術として, クラスターイオンビーム技術を開発し材料科学と結びつけた。 蒸気化物質をノズルから真空中へ噴射させ断熱膨張に基づく過冷却現象によって, 100~2000個の原子が互いに緩く結合した巨大なクラスターを形成し, 電子衝撃によってクラスターを構成する原子の1個をイオン化する。電荷対質量比がきわめて小さいことが等価的に極低速大電流輸送を可能とした。しかも膜形成時のイオンの効果は十分活用し, 絶縁物蒸着中でのチャージアップは回避できる。また,基板射突時にこわれて個々の原子となり基板表面上でのマイグレーション効果が増強され, 入射エネルギーによって到来粒子の表面拡散エネルギーが制御できる。これらの特長から格子不整合が25%以上もある物質問でのヘテロエピタキシーや無機・有機複合界面の制御など従来法と異なる成果について述べる。
  • 吉田 巖, 杉田 利男, 佐々木 剛, 堀 秀道
    1996 年 17 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    The AFM images and LEED patterns of clean surfaces of talc, phlogopite and muscovite are observed, in order to clarify the relationship between the AFM images and crystallographic arrangements of phyllosilicate surface atoms. The (001) surfaces of a native talc crystal cleaved in a pure argon atmosphere is placed in an AFM sample chamber with argon gas stream. Hexagonal rings of SiO4 tetrahedron with a distance of 2.8Å between O2-ions were clearly observed by AFM. For cleaved (001) surfaces of phlogopite and muscovite mica, two types (T and H) of AFM images are observed. The T-type image is similar to that of talc, whereas H-type AFM image shows residual K+ions on hexagonal network with a lattice distance of 5.2Å. This is interpreted that the position of residual K+ions is consistent with that of K+ions which are bound in the middle of hexagonal O2-ion channel in the SiO4 tetrahedron sheet. Interpretation of these AFM images are supported by the LEED patterns observed.
  • 船本 宏幸, 西川 英一, 植木 義治, 杉田 利男
    1996 年 17 巻 2 号 p. 97-98
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    We have developed a handy, portable repair equipment using by micro-sputtering method, so that we can easily repair defects on coated glasses without removing them from the frame. This repair equipment is made up of a micro-sputtering apparatus to repair defects and a control unit to control the vacuum and electric system.
  • 渡辺 正夫, 大久保 彰子
    1996 年 17 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    はんだ付工程は,電子回路を組み立てるための欠くことのできない基本作業である。また,ほとんどのICのリードピン表面は,はんだでコートされている。この電子産業の基本技術が環境のPb汚染の観点から再考が求められている。Sn-Pb合金であるはんだ材からPbを取り除き金属接着の良い性能を維持することは容易ではないが,不可能ではないだろう。この視点から,本稿ははんだ接着に対するPb原子の役割,はんだ微粒子表面の性質,はんだの接着機構フラックス材の役割について簡単に紹介する。最後に新しい話題としてはんだ材のメカノケミカル反応につきわれわれの研究の一部を示す。はんだの接着力ははんだ中のSn原子が,はんだ付けされる金属と合金化することにより発現するが,摩擦運動によるAu表面でのはんだ接着力は,AuPb合金の生成によって起こる。
  • 佐藤 公彦
    1996 年 17 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 1996/02/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    貴金属は歯科治療に不可欠な修復材料であり,他の材料と組合せて用いられることが多い。しかし,歯科用硬質レジン材料との組合せによる修復物製作においては,レジンが貴金属と接着しないため煩雑な処理などにより金属フレームに固定しなければならず,直接接着させる方法が求められていた。その方法の一つとして,酸化層のない貴金属表面とレジンを直接接着させるためのモノマーの開発があった。官能基にイオウ(S)を有するモノマーを合成した結果,レジンと貴金属とを接着させることが可能になった。これはSが貴金属表面原子と化学結合し,モノマー分子内の二重結合がアクリレート系モノマーと共重合する機構によるものである。
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