表面科学
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17 巻 , 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 古賀 伸明
    1996 年 17 巻 4 号 p. 182-187
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    近年,計算アルゴリズムや計算機の発展によって,非経験的分子軌道法を用いた均一系錯体触媒反応の反応機構の理論的解明がなされるようになってきた。触媒サイクルは,素反応を組み合わせることに構成されると考えられている。理論的手法を用いれば,このような触媒サイクルの反応中間体のみならず,各素反応の遷移状態の構造も定めることができる。したがって,各素反応の反応熱や活性化エネルギーを知ることができ,どのステップが律速段階であるのか,そしてそこでは選択性がどのようにして定まっているのかなどについて考察することができる。本稿では,アルケンのヒドロホルミル化やビスシリル化,およびアルキンのシリルスタンニル化に関する最近のそういった触媒サイクルの理論的研究をとりあげ解説する。
  • 大西 洋
    1996 年 17 巻 4 号 p. 188-193
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    本稿では,金属酸化物表面における反応過程の動的STM観察について解説する。筆者らは,代表的な遷移金属酸化物であるルチル型二酸化チタン(TiO2)の(110)結晶面とギ酸イオン単分子吸着層の原子分解能観察に成功した。さらに,観察中のSTMチップに高電圧を印加することによってギ酸イオンを選択的にはぎ取り,単分子吸着層をナノメータースケールで加工した。加工した単分子層の構造緩和過程を追跡して,吸着ギ酸イオンの移動速度に著しい異方性を見いだした。また,800Kに加熱した(110)表面と酸素雰囲気との反応によって粒状の部分酸化物核が生成し,表面特有のひも状Ti2O3準安定構造に転移する過程を画像化した。これらの例をもとに,酸化物表面における動的STM観察から表面反応過程を追跡する手法について述べる。
  • 朝倉 清高
    1996 年 17 巻 4 号 p. 194-200
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    CO酸化反応中の白金(100),(110)表面を,表面の仕事関数の違いを手がかりとしたPEEM (Photoemission electron microscope)法により観察すると,様々なパターンが生じていることがわかる。このパターン形成の様子は,表面に金をsubmonolayer蒸着することで著しく変化する。本稿では,金によるパターンの変化の様子を紹介するとともに,ミクロの立場からパターンの変化の原因を解説する。最後に金蒸着表面と清浄表面の境界で起こる新しい現象について述べ,新しい表面反応制御法を探る。
  • 荒又 明子
    1996 年 17 巻 4 号 p. 201-207
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    電極表面が規格化された単結晶電極による電気化学の研究によって電極界面の構造が明らかにされようとしている。また,電極の修飾によって電極表面が規格化され,反応速度論的取り扱いも可能になってきた。前者については単結晶電極上の1原子層電析(underpotential deposition, UPD)に焦点をあてる。UPDは電極の表面構造ばかりでなく,電解質の種類,濃度に大きく依存することをCu2+とZn2+のPtとAu単結晶上へのUPDに絞って研究の現状を述べる。後者についてはメタノール電解酸化反応の電極を修飾することによって電極触媒の反応活性を上げることばかりでなく,定常活性を得ることになり,反応メカニズムを議論しやすくしたことを中心として議論する。
  • 湯田坂 雅子, 菊地 理恵
    1996 年 17 巻 4 号 p. 208-213
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     グラファイト薄膜とグラファイトが円筒となったカーボンナノチューブの作製法は似ていることが予想されたので, その作製法について比較した。気相化学蒸着 (CVD) 法によりグラファイト薄膜を1000℃以下で作製することを試みた結果, Ni板または厚さ100nm以上のNi薄膜を基板として用いるとグラファイト薄膜が600℃以上で得られることがわかった。カーボンナノチューブは厚さ5nmのNi薄膜を石英ガラス基板上に蒸着したものを基板として用いて, 700℃でCVDを行うと得られることがわかった。カーボンナノチューブが得られる温度とNiの厚みが狭い範囲に限られていることからカーボンナノチューブの核形成について考察をすることができた。
  • 加藤 茂樹
    1996 年 17 巻 4 号 p. 214-223
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    ここ5年ほどで急速に発達してきた分析手法にSNMSがある。SNMSは,スパッタ中性粒子を複雑な発生機構が絡む2次イオンから分離し,また,効率よくイオン化して,高定量性と高感度をめざすものであり,様々な手法が提案されてきた。ここでは,ポストイオン化の必要性,具体的な方法,そして,その特徴に関して分析例を引用しながらSNMSを概観する。
  • 岸 清
    1996 年 17 巻 4 号 p. 224-229
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    周囲に熱を拡散させながら,あるいは遠方からの拡散による原料の供給を受けながら成長する結晶のなかにひげ結晶と樹枝状結晶がある。それらの成長機構ならびに性質を比較,説明する。前述の条件下で結晶を成長させると一般には曲面で覆われた樹枝状結晶となるが,これは完全結晶とはほど遠い性質を示す。これに対し,ひげ結晶は完全結晶に近く,丈夫な結晶として知られている。一見同様な環境の中で,ひげ結晶も成長する。その成長機構としては一方向性の成長を促進する“しかけ”を持つものと特別な“しかけ”なしに成長するものの両者がある。いずれの場合でも,ひげ結晶の成長には,拡散速度の異なる二種類以上のメディアの組合せが必要である。なお,表面にファセット(平な面)を示す樹枝状結晶のなかには,ひげ結晶と一般の樹枝状結晶との中間的な成長機構を示すものも存在するように見える。
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