分散人工知能におけるエージェント・アーキテクチャや協調問題解決のモデル化に関連したいくつかの標準的小問題(Tileworld,追跡問題(Pursuit game),囚人のジレンマ(Prisoner's dilemma))を取り上げる.それにより,当該研究領域における目的と問題点を整理し,また,これまでに提案されてきた解法やアプローチを比較することにより,それらの諸性質と有効性を考察する.
1パス型属性文法に基づくコンパイラ生成系Rie(りえ)について述べる.LR構文解析と同時に解析木を作らずに属性評価ができる属性文法のクラスにLR属性文法というものがあるが,Rieはそれに同値類を導入したECLR属性文法というものに基づいている.Rieは属性文法によるコンパイラの記述から1パスのコンパイラを生成する.Rieにより種々の言語処理系が開発されている.生成されたコンパイラは,手書きのものに比べて1.8倍程度の時間で動き,形式的な記述から生成されたコンパイラとしてはかなり効率がよいことが確認された.
結合法と様相記号列の統一化を利用した様相論理定理証明器(CCMU)を提案し,その健全性と完全性を証明する.始めに様相論理に対応するタブロ一法の定義を示す.この様相タブローが健全かつ完全であることを示したあと,CCMU証明可能な式にはタブロ一法の証明が存在することと,タブロ一法の証明が存在する式はCCMU証明可能であることを示す.扱う体系はKT,DT,T,KS4,DS4,S4,DB,Bである.これらの体系は,反射律,推移律,対称律,継続律の組合せによる到達可能関係の性質で特徴づけられているので,各性質が統一化手続きおよびタブローの構成にどのような影響を与えるか体系的に整理し,これによってCCMUとタブローの関係を明確にする.
結合法と様相記号列の統一化に基づく様相論理定理証明器(CCMU)を拡張した証明方法CCMUssを提案する.CCMUssは到達可能関係が推移的な体系であるDS4およびS4を対象に,自己束縛によるヒューリスティクスを導入した証明圧縮方法である.本稿では,様相タブローとの対応をとることにより,CCMUssの健全性も証明している.