コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
19 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集にあたって
特集論文
  • 大山 恵弘, 神田 勝規, 加藤 和彦
    2002 年 19 巻 6 号 p. 426-436
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2012/01/10
    ジャーナル フリー
    ソフトウェアを安全に実行するためのシステムSoftwarePotを開発した.SoftwarePotはソフトウェアを仮想的なファイルシステムに閉じ込めた状態で実行する.SoftwarePot用のソフトウェアパッケージの作者は,ソフトウェアを含む仮想的なファイルシステムの情報をアーカイブしたファイルを流通させる.SoftwarePotはファイル以外の資源(例えばネットワーク)へのアクセスを制御することもできる.仮想的なファイルシステムと資源へのアクセスの制御はシステムコールの引数の検査と書き換えによって実装されている.SoftwarePotはSolarisとLinux上に実装されている.広く使われているアプリケーションをSolaris上で実行する実験では,SoftwarePotの使用による実行時間の増加は最小21%,最大95%だった.
  • 細部 博史
    2002 年 19 巻 6 号 p. 437-444
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2012/01/10
    ジャーナル フリー
    制約は,多様な問題解決のための有力な手段であり,ユーザインタフェース(UI)を含む様々な分野で広く利用されている.UI分野における制約の最大の用途はグラフィカルレイアウトであり,制約によってレイアウトの維持が自動化されて容易になるという利点がある.制約によるUIの構築を実現するための基盤システムとして,これまでに様々な制約解消系が研究開発されている.本研究では,優先度を伴った線形等式および不等式制約からなる系(制約階層)を処理するための制約解消系を構築する.そして実験により,この制約解消系が,制約が1,000個を超える状況でもUIを実現するのに十分な効率を持っていることを示す.
  • 川島 勇人, 権藤 克彦
    2002 年 19 巻 6 号 p. 445-458
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2012/01/10
    ジャーナル フリー
    CASEツールの開発は,各々が対象とするソフトウェアに応じた解析器を必要とするため,多くのコストがかかる.効率的な開発には,各々のツールで共通に用いられるデータの統合が有効である.そこで,我々はXMLに注目した.なぜなら,XMLは構造化文書のためのデータ記述フォーマットであるが,CASEツールのデータ統合にも多くの利点を持つからである.例えば,XMLの文書型定義(DTD)を使うと,プログラムの複雑な構造や関係をコンパクトに表現できる.本研究では,XMLを用いたCASEツールプラットフォームを構築し,これを基に,プログラムスライシングツールとクロスリファレンサを作成した.この実装実験では,各々の実現は開発者1人で,わずか約2週間ですみ,開発コストの削減を確認した.
  • 宮本 健司
    2002 年 19 巻 6 号 p. 459-468
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2012/01/10
    ジャーナル フリー
    作図における工程の(無限回の)繰り返しを指示する方法を提案し,作図エディタにおける実施例LIMITの実装の詳細と使用の実際について報告する.グラフィックを用いたインタフェース(GUI)では工程の再利用を促す例示によるプログラミングの方法が作業の効率化に有効であるが,コンピュータ作図などのように単純で類似の操作が頻繁に現れる状況では繰り返し(ループ)の検出が困難であった.われわれの方法では,作業工程の依存木に作用する,図形化された不動点作用素によって繰り返しを直接表現する.この結果,直接操作のユーザビリティを維持したまま繰り返しの指示が可能になる.ユーザが繰り返しの開始点と終点を頂点としてこの図形を描画するとシステムは開始点から終点を作るのに必要な作業を収集し,これらの終点を次のステップの開始点として同じ作業を繰り返す.さらに,繰り返しで作られる点列の極限を新しい点として生成する.極限は別の工程の起点として利用することができる.LIMITでの実際の繰り返し計算は,極限を表示/編集するのに必要な精度を得るための回数しか行わない.LIMITを用いて角の3等分とNapier数の作図を行い極限コンパスの機能を確かめた.繰り返し指示の図形化はGUIにおける通常の操作と同じ操作感の繰り返し指示を実現できるだけでなく,繰り返し指示そのものの再利用も可能にするという意味で新たな効率化をもたらすものと期待される.
小論文
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