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Print ISSN : 0289-6540
20 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 得能 貢一, 山田 茂
    2003 年 20 巻 4 号 p. 321-330
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    本論文では,間欠的にシステムが利用される環境を考慮したソフトウェア可用性評価モデルについて議論する.これまでに提案されてきたソフトウェア可用性評価尺度は,特定の時点でシステムが動作可能かどうかに注目していた.しかしながら,実際の利用者の立場から見ると,使用していないときにシステムが故障してもその故障の発生は認知されない.言い換えると,システムを使用しているときにソフトウェア故障が発生するか,あるいはシステムの修復中に使用要求が起こった時点で,システム故障の発生が認知される.ここでは上述の状況を考慮して,使用中の失望確率,使用要求拒絶による失望確率,および修復中の失望確率という3つの新たなソフトウェア可用性評価尺度を導出する.使用要求の発生時間および使用時間間隔はランダムであるとし,ソフトウェアシステムの状態遷移の様子はマルコフ過程を用いて記述される.このとき,ソフトウェア信頼度の成長過程やフォールトの複雑度・修正困難度の上昇傾向,発見されたフォールトに対するデバッグ作業はいつも確実に実施されるとは限らないという不完全デバッグ環境がモデルに反映される.最後に,これらの評価尺度の数値例を示す.
  • 山崎 直子, 掛下 哲郎
    2003 年 20 巻 4 号 p. 331-344
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    大規模なソフトウェアの開発コストを低減するためには理解の容易なソフトウェアを構築する必要がある.そのための第一歩として,我々はソフトウェアの理解容易性を計量するために理解コストを提案している.本論文では静的なOOP (オブジェクト指向プログラム)における理解コスト計量法を提案する.OOPの複雑さを計量するメトリクスとしてはChidamberらが提案したものが有名である.Chidamberメトリクスはクラスのみを計量対象としている.しかし,我々が行った評価実験の結果,静的なOOPの理解容易性はクラスだけでなくインスタンスレベルのプログラム構造に依存することがわかる.そこで,静的なOOPの理解コストを求めるために,その理解過程モデルを提案する.静的なOOPは通常のイベントを処理する際にプログラム構造が変化しないが,OOPの本質的な概念や性質を含む.静的なOOPの理解過程モデルは構造と振舞いの理解過程モデルからなる.構造の理解過程モデルでは,OOPを構成するクラス,インスタンス,複合オブジェクトなどを理解する.これに対して,振舞いの理解過程モデルではOOPのトレースを通じてイベント駆動型の実行,多態性(polymorphism),動的束縛を理解する.評価実験で対象とした4種類のOOPに対して,被験者の理解容易性評価値とChidamberメトリクス値が無相関との仮説は有意水準5%では棄却できない.一方,被験者の理解容易性評価値と理解コスト値が無相関との仮説は有意水準5%で棄却される.
  • 横尾 真, 櫻井 祐子, 松原 繁夫
    2003 年 20 巻 4 号 p. 345-354
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    本論文では,インターネットオークションで深刻な問題となり得る架空名義入札に対して,頑健性が保証される組合せオークションプロトコルの実現方法について検討する.インターネットを利用することにより低コストで大規模なオークションが可能となった一方で,ネットワークでの匿名性を利用した新しいタイプの不正行為が問題となる.このような不正行為の1つとして,単一のエージェントが,複数の名義を用いて入札を行う架空名義入札が存在する.複数種類の商品を扱う組合せオークションにおいて,架空名義入札に対して頑健なプロトコルとして,レベル付き分割セットプロトコル(LDSプロトコル)が提案されている.しかしながら,LDSプロトコルではオークションの主催者がレベル付き分割セットと呼ばれる一連の財のバンドルの組合せを決定しなければならない.良い社会的余剰を得られるようにレベル付き分割セットを設計することは,組合せオークションにおける勝者決定問題よりもはるかに複雑な最適化問題となる.本論文では良い社会的余剰を得ることができるレベル付き分割セットを設計するためのヒューリスティックな手法を提案する.この手法は勝者決定アルゴリズムを主要な構成要素として,目的とするバンドルの組合せを元に,レベル付き分割セットを構成する.計算機シミュレーションを用いて,提案手法により,パレート効率的な社会的余剰に非常に近い結果が得られることを示す.
  • 竹内 幹雄, 小松 秀昭, 中谷 登志男
    2003 年 20 巻 4 号 p. 355-362
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    Javaの高速化の研究が盛んになされているが,数値計算の分野では依然Fortranに水をあけられたままである.その理由の1つに,浮動小数点演算の厳密な正確さ(accuracy)が原因で最適化が困難なことがある.とりわけ,融合型積和演算(fused multiply-add (FMA))命令や,再結合(reassociation)を利用できないことが,Javaの性能に大きく影響している.この論文では,浮動小数点演算の正確さに関する投機(floating-point (FP) speculation)を提案する.FP speculationは,既存アーキテクチャの余ったハードウェア資源(浮動小数点レジスタと演算ユニット)を利用して,各最適化対象に対し正確さの異なる2通りの計算(投機計算と検算)を同時に実行することで,Javaの言語仕様を満たしつつ平均実行時間を短縮する.
  • 河邊 昌彦, 二村 良彦
    2003 年 20 巻 4 号 p. 363-368
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
  • 長 慎也, 筧 捷彦
    2003 年 20 巻 4 号 p. 369-374
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    ユーザの入力した検索語をもとに同義語の組を抽出する手法を提案する.本手法は,ユーザが入力した検索語の共起関係から,つながりと呼ばれる検索語間の関係を定義し,この関係を強く持つ検索語同士から同義語の組を抽出する.また,実際に稼働している全文検索システムを用いた実験を行い,本手法の有効性を検証した.実験に用いた検索システムはlinux-usersメーリングリストのアーカイブを検索するシステムであり,2002年2月から6月までの約7万リクエストについて解析を行った.
  • 大山 恵弘
    2003 年 20 巻 4 号 p. 375-392
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
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