オブジェクト指向言語をより大規模なソフトウェア開発に適用するためには強い型付け機構が不可欠であるとの考えに基づき,多重継承機構と強い型付け機構を持つ言語Mistyを考案し,処理系を作成した.Mistyでは(他の型検査機構を持つオブジェクト指向言語に多く見られる)型の包含関係に基づく型検査ではなく,型の厳密な一致に基づく型検査を行う.一方で,Mistyでは型のないオブジェクト指向言語における柔軟性をほぼそのまま残すことに成功している.また,作成した処理系によるプログラミング経験から,クラスの階層構造に着目したプログラム開発が可能であり有効であるとの感触を得た.
名前付けは,多数の様々なオブジェクトが散在する分散オペレーティング・システムにおいて,大域的にアクセス可能なオブジェクトに名前を与えたり,それらを識別したりするのに不可欠である.本稿では,分散オペレーティング・システムにおける名前付け機構について,関連する諸概念を説明し,名前の形式,実際のシステムへの適用,解決方法などについて様々な観点から比較し論じる.さらに,現在筆者らが設計を進めている分散オペレーティング・システムの名前付け機構について提案する.
基底ナローイングによる拡張単一化とは,項書換えシステムが与えられたとき,2つの項を等しくするような代入を求める手続きである.そのアルゴリズムは,SLD反駁との対応を利用して効率化されている.しかし,その完全性定理の証明には反例が存在する.本稿では,基底ナローイングと最内リダクションの関係を明らかにし,基底ナローイングによる拡張単一化の完全性を証明する.さらに,基底ナローイングの切換え補題を与え,効率化されたアルゴリズムについても完全性を証明する.
S言語は,対話型,高水準,演算式型の汎用計算言語である.配列演算を中心とし,リスト構造的な一般データ・オブジェクトを扱える.豊富な関数を組み込んでおり,特にデータ解析とグラフィックスに重点が置かれている. ユーザ関数の定義が容易であるばかりでなく,Cの関数,FORTRANのサブルーチン,UNIXコマンド,をS関数とすることができる.SはUNIX環境で実働化されており,その編集,ファイル管理,入出力,入出力機器の統一的扱い,などを取入れ,より高機能の環境を作り出している. 本稿では,ユーザの立場より,Sの諸機能を簡潔に紹介し,特にそのデータ・オブジェクトの設計方針,関数定義の方式について議論する.
1988年12月7日(水)~9日(金)に,京都・都ホテルで,International Seminar on Performance of Distributed and Parallel Systemsが開かれた.この会議の内容報告が本稿の主な目的であるが,この機会に,計算機システムの性能評価という(日本ではあまり研究が盛んでない)分野を紹介したい.最後に,会議の前日に行われた「ポーリングモデルの解析」に関するワークショップについても報告する.