日本ソフトウェア科学会大会講演論文集
Online ISSN : 1349-3515
ISSN-L : 0913-5391
日本ソフトウェア科学会第19回大会
選択された号の論文の88件中1~50を表示しています
  • 中島 震
    セッションID: 1A-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    ソフトウェアのデザインを確認する方法としてモデル検査検証技術が有効である。実用的な対象では、通常処理に加えて多くの例外事象がある。場合分けが増え、対象の仕様記述だけではなく検証性質の表現も複雑になる。また、状態空間が大きくなり実行効率にも影響する。本稿では、多値遷移システムに基づくモデル検査技法を用いた系統的な複雑さの軽減方法を報告する。EJB コンポーネントフレームワークの振舞い解析を対象とし定量的な観点を含めて議論する。
  • 鷲崎 弘宜, 深澤 良彰
    セッションID: 1A-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    既存のオブジェクト指向プログラムを,クラス間の継承関係や参照関係,および生成関係について静的に解析し,ソフトウェア部品の単位として独立して再利用可能なクラス群を特定し,単体で生成可能なコンポーネントにまとめる手法を提案する.同時に,コンポーネントを利用する周辺部分を修正することでコンポーネントを生成・利用する例を得る手法を実装した結果について述べる.
  • 青木 利晃, 片山 卓也
    セッションID: 1A-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,我々が作成したオブジェクト指向分析モデルの検証支援環境F-Developerを紹介する.また,図書館業務システムを事例として,F-Developerの評価を行う.
  • 小濱 真樹, 中谷 俊晴, 佐々 政孝
    セッションID: 1C-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    SSA 形式で表された中間表現は,φ 関数のない形に変換しなければならない(正規化).本研究では,正規化アルゴリズムとして,Briggs らの方法と,Sreedhar らの方法を比較した.その結果,概ねSreedhar らの方法で正規化した方が実行効率のよいコードを得ることができることがわかった.また,よりよいアルゴリズムの可能性と今後の方針についても述べる.
  • 梅森 文彰, 誉田 謙二, 横森 励士, 井上 克郎
    セッションID: 1C-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    デバッグを効率良く行なう手法の一つに,スライシングがある.一般にスライスの計算には文間の依存関係解析が前提となっており,解析方法によって静的スライシング,動的スライシングがある.我々の研究グループでは両者の手法を組み合わせたDC スライシングを提案している.本論文では,実行時決定要素を多く含むJava に対して有効なDC スライシングシステムを実現する.システムでは,Java バーチャルマシンの実行中に動的に依存関係を抽出することでバイトコードを単位とした細粒度のスライス抽出を実現した.
  • 立川 英, 佐々木 晃, 佐々 政孝
    セッションID: 1C-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    goto 文のような,非構造的ジャンプを持つ言語に対する最適化を属性文法で定式化することは,従来困難であった.それは,既存の属性文法では離れたノードの属性間の関係の記述が難しく,かつジャンプ命令によって属性の依存関係に循環が生じる場合に評価ができなかったからである.そこで我々は,遠隔ノードの属性参照が可能で,かつある条件下での属性依存関係のサイクルを許すという循環リモート属性文法を提案した.本研究では、この拡張した属性文法を用いて非構造的ジャンプを持つ言語に対する,部分冗長性除去の最適化器の実装を行った.データフロー方程式に基づき,怠けたコード移動の可読性の優れた記述に成功した.
  • 児玉 靖司
    セッションID: 1E-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    命令言語のための多相型推論アルゴリズムは,Tofte により提案され,現在では,Standard ML として実用化されている.しかし,Tofte が提案した型推論アルゴリズムは,多相型に対しての制約が厳しい.その理由は,プログラムを最初から推論するアルゴリズムにあると考えられる.我々は,コンパイラの最適化処理に用いられる値グラフを用いることにより,この制約を緩和する多相型推論アルゴリズムを提案する.
  • 滝本 宗宏, 酒井 重之, 原田 賢一
    セッションID: 1E-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    オブジェクト指向言語のJIT(just-in-time)コンパイラやネイティブコンパイラにおいて,仮想メソッド呼出しを高速化する最適化が重視されている.本研究は,仮想メソッド呼出しの際に行われるメソッド検索のうち冗長なものを削除し,最初に行われた適切なメソッド検索結果を再利用することによって,仮想メソッド呼出しのコストを低減する手法を提案する.本手法は,メソッド呼出しをインライン展開にする際に要求される受信オブジェクトの型の一意性を必要とせず.同じメソッド呼出しに対する受信オブジェクトの型の一致性だけに基づいて,冗長なメソッド検索を除去することができる.また,静的に型が決められないオブジェクトに対して,実行パスによっては型が一意に決定できる場合に,メソッド検索部を移動させることによって,受信オブジェクトの型を一意に変換し,メソッドを直接呼出に変換する効果ももつ.本手法は,既存の最適化手法と補間的に使用することができ,目的コードサイズを小さく抑える必要がある組込みシステムに対しても有効である.
  • 浜名 誠
    セッションID: 1E-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    高階書換え系は、項書換え系の拡張として特に高階型の項を扱える体系である。関数プログラミング言語の計算モデルや、証明検証系などへの応用を持つ。本研究は束縛項書換え系(Binding Term Rewriting System,BRS) と呼ぶ、高階書換え系の一種を提案する。まず近年提案された、変数束縛を持つ抽象構文の意味論に基づき、λ項よりも一階項に近く、より精密化した変数束縛の概念を持つ項のための型理論を構築する。次にこれを用いて一階項書換え系(TRS) 類似しかつ束縛の概念を持つ項書換え系BRS を定義する。BRS のTRS との類似性より、BRS の停止性をTRS のための技法を用いて証明することができるという他の高階書換え系にはない利点がある。
  • 佐藤 健
    セッションID: 2A-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本論文は関数記号のないホーン節によって記述された仕様に関する極小変更の計算手法を述べる. 我々は以前, 仮説論理プログラミングを用いた極小変更仕様の計算を提案したが, そこでは変更部に対応する仮説を生成し, そのあと極小性検査が必要であった. 本論文では拡張論理プログラミングへの変換を用いることにより直接に極小変更仕様を計算する手法を提案する.
  • 佐藤 雅彦, 桜井 貴文, 亀山 幸義
    セッションID: 2A-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本論文の目的は、Quine が導入した擬似引用の仕組みを形式化することである。擬似引用は引用の中に超変数を含む表現で、超変数に引用を代入することにより通常の引用を得ることができる。その仕組みを形式化するために、単純型付λ 計算を拡張して引用(quotation)、評価(evaluation) および超変数(metavariable)の概念を導入した体系λq を提案する。
  • 横山 大作, 近山 隆
    セッションID: 2A-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    近年、計算機のメモリ階層は深化し、RAM モデルと現実との乖離は著しいものがある。また、クラスタや大規模分散計算等、各計算機間の通信遅延やその違いを無視できない並列環境が一般的になっているが、現状の並列計算コストモデルは、通信遅延の差異を考慮しないものや特定のネットワークトポロジに特化したものしか存在しない。我々は、単一計算機内のメモリ階層から計算機間のネットワーク遅延の差異までを統一的に記述できる計算量モデル、「計算連続体モデル」を提案した。本稿では、このモデルの検証の基礎となる仮想機械の仕様について述べる。
  • 竹内 幹雄, 小松 秀昭, 中谷 登志男
    セッションID: 2C-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    Java の高速化の研究が盛んになされているが,数値計算の分野では依然Fortran に水をあけられたままである.その理由の一つに,浮動小数点演算の厳密な正確さ(accuracy) が原因で最適化が困難なことがある.とりわけ,融合型積和演算(fused multiply-add (FMA)) 命令や,再結合(reassociation) を利用できないことが,Java の性能に大きく影響している.この論文では,浮動小数点演算の正確さに関する投機(floating-point(FP) speculation) を提案する.FP speculation は,各最適化対象に対し,正確さの異なる2 通りの計算(投機計算と検算) を同時に実行し,検算が完了した時点で結果を比較し,異なれば補償コードで再計算することでJava の言語仕様を満たしつつ,平均実行時間を短縮する.
  • 福岡 岳穂, 高橋 正人, 中谷 俊晴, 佐々 政孝
    セッションID: 2C-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    コンパイラ・インフラストラクチャCOINS の中間表現をSSA 形式に変換し,最適化を行うシステムを実現した.本システムでは,SSA 形式への変換手法を3 種類,SSA 形式から通常形式への変換手法を2 種類,およびSSA 形式上での条件分岐付定数伝播や共通部分式除去などの基本的な最適化手法を実装した.システムの機能としてはまだ基本的なものしか実装されていないが,インフラストラクチャとして,新たな手法の追加が容易で,さまざまな手法を比較することが可能である.
  • 内山 雄司, 脇田 建, 緒方 大介
    セッションID: 2C-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    連続して実行される複数の命令を連結して一命令とすることは,インタプリタの高速化手法としてよく知られている.本研究では,命令を意味記述上で連結する手法を提案する.本手法により,命令の意味記述から特定のプログラムに特化された高速なインタプリタを自動生成できる.本手法の適用により,ベンチマークプログラムの実行速度を通常のインタプリタ実行の210%,従来の命令連結手法の116%に改善できた.
  • 兼岩 憲
    セッションID: 2E-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,DL(Description Logic)の知識ベース(T-BoxとA-Box)に一階述語論理の節集合を加えた場合の推論方法を提案する.DLの推論には通常タブロー法が使われるが,節形式とDLの知識ベースを融合した推論を可能にするために,Arecesらが提案したDLのリゾリューションを拡張する.その拡張は,A-Box言明と節形式の合成に対応した推論規則,T-Box言明に関する節表現の推論規則,および項の単一化によって実現される.
  • Till PLEWE
    セッションID: 2E-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    Descriptive set theory is used to compare the expressive power of sublogics of CTL*. One application is a simple proof of the fact that no equivalent CTL formula exist for the CTL* formula EGF(p).The proof consists of showing that in a suitable semantics CTL formulas correspond to Borel sets while [[EGF(p)]] is analytic but not Borel.
  • 木下 佳樹, 古澤 仁
    セッションID: 2E-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    Kozen とSmith は,有限集合B,Σ の対が自由生成するテスト付クリーニ代数を構成する方法を与えた.我々は,有限性の仮定をはずし,任意の集合の対B,Σ について,それらが自由生成するテスト付きクリーニ代数の存在を示した.さらに,Kozen とSmith が要素を明示することによって構成したテスト付きクリーニ代数が,クリーニ代数や羃等半環,ブール代数に加えて単位クォンテールなどの圏の間の随伴函手や単位クォンテールの直和構成を用いて得られることを明らかにする.
  • 上田 和紀, 加藤 紀夫
    セッションID: 3A-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    論理変数をリンクとする階層的グラフの書換えに基づく簡単な並行言語モデルLMNtal を提案する.本モデルは,多重集合の書換えに基づく多くの計算モデルの統合を目指すとともに,広域分散計算から極小規模計算までを包含しうる真に汎用なプログラミング言語のベースとなることを目指している.それとともに,動的データ構造のプログラミングを大幅に平易にすることも目指している.
  • 外山 芳人
    セッションID: 3A-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    等式論理において,与えられた等式が自然数やリストなどのデータ構造上で帰納的に成立するか否かは,一般に決定不能である.ここでは,等式が帰納的定理の判定問題が決定可能となるための十分条件を考察する.帰納的定理の判定問題を一般化し,抽象的なリダクションシステムの等価性判定問題としてとらえることにより,書き換え帰納法に基づく簡明で見通しの良い判定条件を与える.この条件は,従来の結果の拡張となっている.
  • Juergen GIESL, Aart MIDDELDORP
    セッションID: 3A-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    Context-sensitive rewriting is a restriction of term rewriting used to model evaluation strategies infunctional programming and in programming languages like OBJ. For example, under certain conditionstermination of an OBJ program is equivalent to innermost termination of the corresponding contextsensitiverewrite system. To prove termination of context-sensitive rewriting, several methods havebeen proposed in the literature which transform context-sensitive rewrite systems into ordinary rewritesystems such that termination of the transformed ordinary system implies termination of the originalcontext-sensitive system. None of these transformations is very satisfactory when it comes to provinginnermost termination. We present a simple transformation which is both sound and complete forinnermost termination.
  • 安藤 崇央, 青島 武伸, 米崎 直樹
    セッションID: 3A-4
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、UML ステートチャートの整形性判定手続きを提案する。この手続きは、ステートチャートにおいて、状態遷移が決定的であること、適切に完了遷移や履歴指示子が用いられていることを判定する。これは未定義な振る舞いや、曖昧な振る舞いを表す記述を取り除く助けとなる。また、整形性判定の際に生成したグラフを用いた、ステートチャートのモデル検査手続きについて述べる。これによって未定義な振る舞いを含まないモデルを対象としたモデル検査が可能となる。
  • 西田 彩, 鎌田 十三郎, 瀧 和男
    セッションID: 3C-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    三次元コンピュータグラフィックス(3D-CG) を用いたアニメーションにおいて,ユーザ入力への反応や,状況に応じた動作の決定を行うためには,プログラムによる制御が必要となる.しかし,CG の基本的概念や,グラフィックスAPI を用いたプログラミングの知識がなければ,このプログラムを作成することはできない.そこで,一般のプログラマでもアニメーションプログラムを作成できるように抽象度の高い記述を可能にし,並列モデルをサポートしたアニメーション用Java API を提案する.また,三次元座標の扱いは手間がかかるため,GUI により実際のアニメーションとコードの対応を直観的に図示し,加えて部分的にコードを自動生成するプログラミング環境を提案する.
  • 細部 博史
    セッションID: 3C-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    対話型3 次元アプリケーションを対象とした幾何制約解消法を提案する.本手法の新規な点は,幾何制約解消において座標変換を処理することで,シーングラフに対応できる点である.本手法によって,幾何配置や,制約付きドラッグ,インバースキネマティクスなどの種々の目的のために3 次元幾何制約を利用できる.本手法の有効性を示すために,本手法を実装した制約解消系Chorus3D の適用例を与える.
  • 岡村 寿幸, 田中 二郎
    セッションID: 3C-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    我々は,プログラムを3 次元オブジェクトを用いて視覚化する,3 次元ビジュアルプログラミングシステム“3D-PP” の開発を進めている.3D-PP によって視覚化されるGHC プログラムが理解しやすいものであるためには,引数の区別の容易さ,引数の入出力モードの明示,オブジェクトの分散防止が重要である. これらを実現する手法として,引数を表し,引数の入出力モードを明示するオブジェクトを付加する手法と,オブジェクトの中にオブジェクトを入れ,分散を防止する,オブジェクトの階層表示の手法を提案する.また,これらの手法を3D-PP 上に実装した.
  • 平石 広典, 溝口 文雄
    セッションID: 3C-4
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、内部ネットワークを対象として、ネットワークへの不正侵入を追跡するシステムを設計した。各マシン上には、ログデータを管理するログサーバを稼働させる。そして、管理者はブラウザを利用して、各々のログサーバにアクセスし、各マシン上のログデータを閲覧することができる。ログサーバは、ログデータを解析し、ハイパーリンクの形式で各マシンに点在するログの関連付けを行う。これによって、一つの侵入に関連するログデータを連鎖的に閲覧することを可能にする。
  • 佐藤 友章, 杉山 安洋
    セッションID: 3E-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    ソフトウェアの共同開発を支援するシステムでは,編集作業の競合などを回避するため,共有資源の排他制御が必要不可欠である.しかしながら,既存の排他制御方式は,編集作業の並行性が低いなどという問題があり,オープンソースによる開発の支援に十分であるとは言えない.本稿では,既存の排他制御方式の問題を解消する方式として細粒度ロックを提案し,その有効性をオープンソースによる開発プロジェクトを例にして検証する.
  • 増井 健司, 友石 正彦
    セッションID: 3E-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    ソフトウェアの配布形態にはソースコードとバイナリの二種類が存在する。近年ではバイナリパッケージでの配布が盛んに行なわれている。バイナリパッケージはすでにコンパイルされているため、コンパイル時オプションを変更することができない。特にソフトウェアがインストールされるロケーション(パス)は重要なコンパイル時オプションの代表であるが、パスに関するユーザの嗜好やポリシーは多様であるにもかかわらず、バイナリパッケージ作成者が決定した値を受け入れるか否かの二者択一を迫られているのが現状である。そこで、コンパイル時オプションの値の決定をインストール時まで遅延する機構を提案し、バイナリパッケージでの配布が行なわれる時代にあわせインストール時オプションの概念を実現する。パスの差異の吸収をソフトウェアと環境のすり合わせという視点ととらえればエミュレータやサンドボックスの概念を実装したシステムは解決策になりうる。そこで本稿のシステムとそれらのシステムの比較も行なう。
  • 一杉 裕志, 田中 哲, 渡部 卓雄
    セッションID: 3E-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    複数のクラスにまたがるコードを分離して記述できる言語として、アスペクト指向言語がある。独立して開発されたアスペクトであっても、個々のアスペクトが何らかのルールに従って設計されていれば、複数同時に組み合わせて動作させることが可能であると我々は考えている。本論文ではそのようなルールを見いだし検証するための第一歩として、安全に結合可能なmixin を提供するためのルールを検証する方法について述べる。ルールの記述および検証には、Designby Contract やbehavioral subtyping の考え方を用いる。
  • 伊部 浩章, 芥川 知義, 山本 紘司, 中島 達夫
    セッションID: 4A-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本論文はユビキタス環境において, 機器やアプリケーションに対して柔軟なユーザインタフェースを提供するミドルウェアUnIt System(Universal Interaction System) を提案する. ホームコンピューティングにUnIt System を用いることで, 多くの家電機器を一つの入力デバイスを使って制御を一元化するといったことや, ロケーション情報やデバイス情報を使用した家電機器の制御や入出力の切り替えも可能になる. また, 既存のアプリケーションに変更を加えずにコンテキスト情報を付加することで, アプリケーション開発を支援する.
  • 服部 貴彰, 上野 乃毅, 原 忠大, 中島 達夫, 副島 康太
    セッションID: 4A-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    近い将来、ホームアプライアンスやパーソナルアプライアンスといった、様々なアプライアンスがインターネットに接続され、その数は膨大なものになるだろう。現在、そういったアプライアンスを接続するためのミドルウェアは複数存在している。しかし、そのプロトコルやアーキテクチャがそれぞれにことなっているため、異なったミドルウェア間での相互通信はできなくなってしまっている。そこで、我々は中間層を設けることによって、こういった問題を解決するミドルウェアを提案する。
  • 和田 周, 高田 眞吾, 土居 範久
    セッションID: 4A-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    分散オブジェクト技術は低水準API(Application Programming Interface)群を隠蔽し,開発者に利便性を提供するものの,固有のAPI 群は多く,その技術習得は困難である.つまり,開発者はアプリケーション固有の処理と分散オブジェクト技術特有の処理の双方を実装する必要があり,依然として分散オブジェクト技術を用いたシステム開発の負担は大きい.本研究では,モデルを中心とした分散アプリケーションの構築フレームワークであるMDDS(Model-Driven Distributed System)の提案を行なう.本フレームワークでは,UML によってシステム全体のモデルを記述し,そのモデルを元にインフラロジックの多くを自動生成する.これにより,システム全体を見通した開発,およびビジネスロジックとインフラロジックの切り分けが可能となる.
  • 佐藤 一郎
    セッションID: 4A-4
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    This paper presents a compound document framework, which can build a document from visible software componentsand adapt them to the needs of their users. Since each component is implemented as a mobile agent, adocument can travel over a network as a whole, with all its embedded components. The framework also providesseveral value-added mechanisms for visually manipulating components embedded in a compound document and forsharing a window on the screen among the components. It enables a document to itinerate among remote computersaccording to its content. It also can offer components for supporting various operations for documents, for example,forwarding and duplication. This paper briefly describes this framework and its prototype implementation.
  • 宇崎 央泰, 千葉 滋, 光来 健一
    セッションID: 4B-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    仮想プライベートネットワーク(VPN)は、二つのホスト間に仮想的な一本の回線を引くための技術といえる。このVPN を構築する場合、構築時にユーザー認証は行われるが、その後は認証が行われない。したがって、ホスト上にいるすべてのユーザーがVPN を利用できてしまう。複数のユーザーが存在するサーバーなどからVPN を構築した場合、他のユーザーが勝手にVPN 上のホストにアクセスできるため危険である。ユーザー専用のVPN を構築するために、我々はVPN にユーザーの概念を取り入れたパーソナルVPN を提案する。パーソナルVPN は、OS がVPN を利用するユーザーを制限することで実現する.
  • 河野 真治, 佐渡山 陽
    セッションID: 4B-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    PS2Linux は,PlayStation2上で動作するLinuxである。PS2の描画機構であるEmotion Engine および専用DSPであるVUの特徴を活かしつつ、ネットワークゲームを構築するフレームワークを提案する。ネットワーク部分には、リアルタイム処理を考慮したユーザレベル・トランスポート層を持つSuciライブラリを用いる。
  • 嶺 行伸, 西山 裕之, 溝口 文雄
    セッションID: 4B-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では、センサー等の組み込み機器で構成されるローカルネットワークにおいて、データやイベント、エージェントといった分散されたリソースを共有する為のプロトコル、インターフェイスを提案する。このシステムは、IPマルチキャストによるリソース検索、名前解決プロトコル、及び鍵更新プロトコルによって構成され、リソースを一元管理ではなく分散管理するために必要な認証、暗号化機能を備えている。
  • 勝野 恭治, 相原 達, 水谷 晶彦, 玉川 憲
    セッションID: 4B-4
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では、様々な携帯デバイスに搭載されている短距離無線通信技術、Bluetoothを用いた距離検出方法を提案する。無線通信として搭載されているBluetoothでデバイス間の距離を検出できれば、デバイスの位置が相対距離で検出できる。そのため、位置情報を利用したサービスをBluetooth搭載デバイスに提供することが可能となる。さらに本方法を用いたアプリケーション例として、Bluetooth搭載腕時計型コンピューター、WatchPad 1.5を身につけたユーザーとの相対距離に応じて提供するコンテンツを変えるインフォメーションキオスクシステムを試作し、本方法の有効性を確かめる。
  • 松崎 公紀, 胡  振江, 武市 正人
    セッションID: 4E-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    データ構造“木”は, 式の解析などで用いる構文木や, XMLなどの構造をもった文書などで使用される有用なデータ構造であるが, 構造が不規則・不均等になりうるために, 均衡がとれていない木は簡単には並列プログラムに組み込むことができなかった. 本稿では, “木”に対する並列スケルトンについて, 分散システム上でも効率よく実行できる実装法を提案する. 本稿の実装法では, m-bridgeを利用して木を分割し, 分割された先の値を表す変数を含む式の形で計算することにより, 並列に計算を行うことが可能になっている. また, 実験を行い, 均衡のとれていない木に対しても効率性が確認された.
  • 堀江 美保子, 酒井 正彦, 坂部 俊樹
    セッションID: 4E-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    object calculus はオブジェクト指向計算モデルであるが,多くのプログラミング言語が持つ例外処理機能を表現することができない.そこで,本稿ではobject calculus のもっともシンプルなモデルであるOb<:1を拡張し例外処理機能を追加するとともに操作意味論と型システムを与え,型システムが操作意味論に対して健全であることを証明する.この型システムにより,Ob<:1のプログラムの各部分で発生する例外の型を静的に検査できる.
  • Setiadi Rachmat, 小宮 常康, 八杉 昌宏, 湯淺 太一
    セッションID: 4E-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    リターンバリアは,ルート挿入を分割処理で行うことでmutator の実行停止時間を短く抑える実時間ごみ集めのための手法である.リターンバリアを用いて複数のmutator とcollector が並列に動作するシステム上で並列ごみ集めを実装する場合,mutator が関数からのリターン処理を行なう際にcollector との間で排他制御を行う必要がある.本論文では排他制御のオーバヘッドが極めて小さい実装法を提案する.
  • 渡邉 勝正, 小林 郁典, 中西 正樹, 堀山 貴史, 木村 晋二
    セッションID: 4F-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    アクティブソフトウェアは, ソフトウェアの有用性を保持するために, 計算の状況を知って, 動的に自分を変更・調整できる機能をもつソフトウェアである[1]. 本論文では, 検出したい計算の状況とそれに対応する処理の表現を, 起動条件と関数本体をもつ能動関数を基本に考えている. 動的変更については, プログラムの編集・コンパイル・結合を動的に行う機能を利用しているが, それを起動条件と関数本体を単位として扱うことにより, 変更の柔軟性と可能性を大きくしている. 具体的な例を通して, 動的変更と動的結合の機構を示し,そのような機能をもつアクティブソフトウェアの構成とその変更性について報告する. 関連する今後の問題として, π計算モデルによる動的結合の記述を基に, 動的変更の表記法について考察している.
  • 渡部 卓雄, 山田 聖, 永藤 直行
    セッションID: 4F-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    モバイルオブジェクトを安全に実行するための,セキュリティポリシーの実行時強制機構を提案する.ポリシーの強制は,モバイルオブジェクトの実行を監視するメタオブジェクトが,ポリシーに沿わない実行系列を中断することにより行う.実行の監視を容易にするため,モバイルオブジェクトのコード書換えを行う.コード書換えとメタオブジェクトの生成は,有限プロセスの形で記述されたポリシーに従って自動的に行なわれる.
  • 筧 一彦, 胡 振江, 武市 正人
    セッションID: 4F-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    近年汎用データ表現としてXMLに対する需要が高まっており,関数型言語においてもHaXMLやXDuceなどこの表現様式を取り扱う研究が行なわれている.このうち,XDuceはデータの出現を正規表現で扱えるようにすることで,XMLのデータ表現に即した柔軟な操作が可能となっている.しかしながら,関数同士を融合することで中間データを排除する関数融合という手法は,この柔軟さのためにそのままでは用いることができない.本発表は,こうした正規表現を型として使う関数同士を融合する方法について提案を行なう.
  • 樋口 智之, 大堀 淳
    セッションID: 5A-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,JAVA バイトコードに対する新しい型システムの提案およびその健全性の証明を行なう.既に提案された手法とは異なり,本稿で提案する型システムはラムダ計算の型システム同様,プログラム自体を型付きの項とみなすことで,プログラムの静的な意味を導出することが可能である.この性質により,これまで研究された種々の型理論をバイトコードに対して応用することが容易になる.例えば,サブルーチンを多相的な関数と解釈することにより,ML に類似した型推論アルゴリズムが構築できることを示す.
  • 大堀 淳, 大和谷 潔
    セッションID: 5A-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    ML系言語の多相型システムをレコード多相性,再帰的型定義,およびレコード型間の順序関係を導入し拡張することにより,オブジェクト指向言語とのシームレスな相互運用が可能な多相型言語が実現可能である.この洞察に基づき,計算系の外部にある既存のクラスのオブジェクトやそのメソッドを直接操作可能な多相型言語を定義し,その型推論アルゴリズムを開発した.この計算系は,多相型高階関数を用いた関数型プログラミングの利点とクラス階層に基づく動的メソッド起動を行うオブジェクト指向言語の利点の双方を実現するものである.本研究ではさらに,相互運用の対象言語の例として簡単なオブジェクト指向言語を定義し,その言語との相互運用機能を含む現実的な操作的意味論を定義し,本計算系の型システムの健全性を示した.これら結果は,我々が開発中の相互運用多相型言語のプロトタイプとして実装済みである.現在のプロトタイプは,JavaのクラスファイルやPostgreSQLサーバが自由にアクセス可能である.
  • 伊藤 智一, 八杉 昌宏, 小宮 常康, 湯淺 太一
    セッションID: 5A-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    Cheney によって考案されたコピーGC はオブジェクトを幅優先順にコピーするため,多くの場合,参照の空間的局所性が低下し,キャッシュや仮想記憶のミスを増加させる.そこで深さ優先順にコピーする方式も提案されているが,局所性の改善は限定的だった.本研究ではオブジェクトを階層的にグループ化してコピーすることで局所性を向上させる.また,限られた作業領域でできるだけ多くの部分に階層的グループ化を適用する方式を提案する.
  • 屋比久 友秀, 河野 真治, 山城 潤
    セッションID: 5B-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、フロー制御や輻輳制御をユーザレベルから行うUDP ベースの通信ライブラリ“Suci” を利用したスナップショット・アルゴリズムについて考察する。様々なスナップショット・アルゴリズムが提案されているが、トランスポート層での通信の信頼性が保証されている事が前提であった。我々はスナップショットアルゴリズムをユーザレベルでフロー制御する事で不用なトラフィックを抑える可能性がある事を示す。
  • 高橋 俊, 冨永 和人
    セッションID: 5B-2
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    組織ネットワークからインターネットへの対外接続リンクは組織内の利用者が公平に利用できることが望ましい.本研究では対外接続ルータで利用できる単純なキューイング方式を設計した.このキューイング方式はIP アドレス毎にカウンタを設けて,組織内の各ホストの対外接続リンクの利用度を検出する.他のホストに比べて過度にリンクを利用しているホストの通信を一時的に遮断することで公平性を実現する.ALTQを用いてこのキューイング方式をPC に実装し,小さなネットワークで実験を行なったところ,ほぼ意図した通りの結果が得られた.
  • 栗田 亮, 千葉 滋, 光来 健一
    セッションID: 5B-3
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    我々はLinux において、音のアナログ録音再生に関しての実時間処理を行うシステムTS-I/O(TimeStamp-I/O) を提案する。従来のリアルタイムOS は音の実時間処理にはあまりむいていなく複雑である。一方、我々のTS-I/O を使うとI/O 割り込み時にタイムスタンプを取得することができる。このタイムスタンプを調べることでアプリケーションは正常に録音再生できたかを知ることができ、容易に最低限のデータ品質を保証することができる。
  • 長 慎也, 筧 捷彦
    セッションID: 5E-1
    発行日: 2002/09/11
    公開日: 2003/10/28
    会議録・要旨集 フリー
    ユーザの入力した検索語をもとに同義語の組を抽出する手法を提案する.本手法は,ユーザが入力した検索語の共起関係から,つながりと呼ばれる検索語間の関係を定義し,この関係を強く持つ検索語同士から同義語の組を抽出する.また,実際に稼働している全文検索システムを用いた実験を行い,本手法の有効性を検証した.実験に用いた検索システムはlinux-users メーリングリストのアーカイブを検索するシステムであり,2002 年2 月から6 月までの約7 万リクエストについて解析を行った.
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