専門学校は多くの社会人を受け入れ、リカレント教育機関として一定の役割を果たしてきたが、これらに関する研究は実態把握も含めて不足している。本稿は、専門学校の中で最も多くの学生数を有する医療系専門学校に進学した大学等卒業者社会人に焦点化し、量的・質的調査を通じて、進学決定過程の実態を描き出し、学び直す目的、経緯および必要条件を明らかにすることを試みた。その結果、キャリアチェンジを果たすために、家族の理解と経済的支援を受けながら、地元で専門学校に進学する大学等卒業者社会人の実態が明らかになった。
本稿は占領期に設立した鈴鹿電気通信学園の訓練内容の実態を解明することを課題とした。この課題にせまるために、『産業教育における訓練の仕方』に記された「技術の体系による排列」という表現を手がかりに、誰が、どのような意図でこの記述をしたのか、また、訓練内容の実態はいかなるものだったのかを検討した。この記述は長谷川淳が記述したもので、技能と技術的知識とを組織的に習得できる訓練内容となっていた。それは、科学的素養を持った人間を育成することを志向した長谷川の考えに通底するものであったことが明らかになった。
1980年代後半以降、わが国の就農政策は農家後継者対策から青年農業者対策となり、さらには地域農業の担い手確保対策へと拡大していった。その間、担い手論も家業継承論的なものから農外人材も含めた経営継承論的なものへと変遷していく。やがて改正農地法の施行(2009年)で経営の法人化が加速すると家業としての農業は就職としての農業へと変貌する。今や、担い手の育成は農業法人における人材育成論の重要課題である。本論では、雇用就農者のキャリア形成に焦点をあてながら同分野の研究史を俯瞰して、その課題と接近方法を検討する。
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