本研究は,知的障碍者適所授産施設を利用する知的障碍者による影絵劇団が,授産施設併設の児童館と地域の保育園での公演を通して,知的障碍者と子どもたち,保育士との交流を報告し,授産施設の影絵公演による地域交流の意義について検討・考察することを目的とする.2004年8月〜2005年3月までに児童館で2回,地域の保育園2園で3回の影絵公演を実施し,児童館・保育園の子どもたち,児童館・保育園保育士からの感想は好評であり,今後も継続してほしいとの要望があった.さらに演者である知的障碍者自身が影絵公演を今後も希望していることが示され,授産施設保護者も,このような地域交流は大切である,と述べていた.このことを検討した結果,影絵公演が地域交流のひとつの試みとして意義があったと推測でき,影絵という媒介の適切さと人的ネットワークの重要性が示された.課題として,演者の募集方法,データ収集法,影絵でない地域交流の検討が挙げられた.
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