本研究では,知的障害のある人の自己決定に対する支援環境の構造について明らかにし,そして,個人要因を統制したうえで,その支援環境と自己決定との関連について検討することを目的とした.そこで,大阪知的障害者福祉協会に加盟している施設等で生活する知的障害のある人を対象とした郵送調査を実施し,質問紙には本人の担当支援者に回答を依頼した.有効回答数は693票,回収率は71.7%であった.支援環境の構造については,因子分析を行った結果,5因子が抽出された.また,支援環境と自己決定との関連を検討するために重回帰分析を行った結果,「本人の意思の尊重」については,すべての自己決定領域に,「役割モデル」および「地域とのつながり」についても,ほとんどの領域に関連をみせた.また,「新たな活動につながる支援」は,2領域にのみ関連を示した.一方で,「スタッフ教育・訓練」については,どの自己決定領域にも関連をみせなかった.
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