社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
Print ISSN : 0911-0232
61 巻, 4 号
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論文
調査報告
  • 坪井 良史
    2021 年 61 巻 4 号 p. 87-99
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    介護サービスの市場化などにより,介護従事者を取り巻く環境は大きく変容している.このような変化は介護人材の就労意識にも少なからず影響を及ぼしていることが考えられる.本研究では,新たに介護職に入職しようとする人々に着目するとともに,彼らがどのような就労動機(内発的動機/経済的動機)を重視しているのかについて明らかにすることを試みる.本研究では,介護労働に関する資格制度の入り口に位置づけられる介護職員初任者研修に着目し,その受講者に対してアンケート調査を実施した.本調査では,回答者の基本属性に加え,就労意識や受講目的などについて質問を行った.そして本回答結果について統計的分析を実施した.分析の結果,やりがいを重視する回答者と生計維持を重視する回答者は同程度となった.また「若年および中年層:生計維持重視」,「若年層:やりがい重視」,「高年層:やりがい重視」の三つの受講者像が明らかとなった.

  • 河内 康文
    2021 年 61 巻 4 号 p. 100-113
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,経済連携協定(EPA)介護人材が介護現場でどのような経験をしているのかを明らかにすることである.研究方法は,EPA介護福祉士候補者10名とEPA介護福祉士8名それぞれにインタビュー調査を実施した.その結果,EPA介護人材による介護現場での経験として,27カテゴリーと98コードが見いだせた.EPA介護人材は,収入を求めたり,介護福祉に関する先進的知識・技術を母国に伝えたりするために介護現場へ入職していた.次いで,EPA介護人材は,言語の理解とともに,人間関係,過去の経験の活用,生活場面で困難な経験をしていた.言語の課題には,非言語情報から学んだり,体験しながら介護技術を学んだりする対応をしていた.また,EPA介護人材の学びは,利用者の気持ちを大切にしたり,利用者の利益がやりがいになったりするという利用者主体としたケアを認識していることが示された.

実践報告
  • 古井 克憲
    2021 年 61 巻 4 号 p. 114-127
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,グループホームで暮らす知的障害者の成年後見制度利用の現状と課題について,事業者の立場から明らかにすることである.グループホームの支援職員による成年後見制度学習会の記録を分析した結果,事業者は,居住者の【親族後見の限界】に直面し,専門職後見の利用を思案している.【専門職後見への不安】【後見類型の判定への疑問】があるなか,【ステークホルダーの関係調整】を行っている.とくに【地域生活での金銭管理】については,後見人との意見調整が必要な事項であると捉えていた.知的障害者一人ひとりの地域生活を理解し,金銭管理のみではなく後見人が「権利擁護」を担えるような制度の見直しや【地域での権利擁護の仕組みづくり】を求めていた.以上より,今後の現実的な方策として,サービス等利用計画や個別支援計画への被後見人・後見人の参画による「共同決定」の仕組みづくりが必要であると提案した.

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