頚部瘢痕拘縮再建は機能的・整容的バランスが要求され,術式選択に苦慮することが多い。そこで本論文では,頚部熱傷瘢痕に対する術式選択の際の課題を明確にし問題点を考察する目的で,過去の論文を渉猟し検討した。
頚部の各ユニットの範囲を超えない短い線状瘢痕拘縮は,瘢痕部を完全切除したのちに,Z-形成術をはじめとする拘縮解除,もしくは小さな局所皮弁で再建可能であると考えられた。長い線状拘縮や頚部を横断する線状拘縮の場合も同様に,植皮術を要する場合があることを考慮しつつ再建に望むべきと思われた。面状の拘縮を呈している場合は植皮術や薄い皮弁を考慮すべきで,ユニットを超える広範な瘢痕拘縮は,上は頤部・下顎部のユニットまで,時には下口唇も含めて,下方は鎖骨上部まで,可能な限り大きな皮弁で一期的に再建することが好ましいと考えられた。
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