創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
11 巻, 3 号
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原著
  • 三谷 寛子, 石椛 寛芳, 奥野 友孝
    原稿種別: 原著
    2020 年 11 巻 3 号 p. 100-106
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

     難治性の潰瘍に対してNPWTは有用であるが,その一方で創を密閉することで感染が増悪する場合もあり,感染創への使用は困難であった。そのような感染創や汚染創に対しては,洗浄を併用した陰圧閉鎖療法が有用とされてきていたが,従来の方法ではフォームの交換の手技が煩雑であるという欠点がある。われわれの施設では,RENASYS® 創傷治療システム(スミス・アンド・ネフュー株式会社)を用いた持続陰圧洗浄療法を行う際に,創内への洗浄用カニューレの挿入を工夫することで,既存のNPWTデバイスと同等のフォーム交換の手間の容易さを得ている。本法を7例に施行した結果,その大半において良好な感染コントロールを得ることができた。われわれが行っている方法について,必要な物品や施行手順も含めて報告する。

  • 吉見 育馬, 益岡 弘, 神野 千鶴, 荒川 篤宏, 山脇 聖子
    原稿種別: 原著
    2020 年 11 巻 3 号 p. 107-114
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

     眼窩壁骨折は,顔面外傷でよく遭遇する疾患である。待機的手術がほとんどだが,受傷直後は腫脹が強く手術適応の判断がむずかしいことが多い。そこで今回,福井赤十字病院形成外科にて2007年から2016年の10年間に経験した眼窩壁骨折症例に関して後ろ向きに調査し,手術適応の検討を行った。全症例数は94例であり,うち37例に手術を施行した。骨折壁の種類では下壁単独骨折および内壁+下壁の合併骨折,骨折タイプではBurst type,骨折の前後方向では前方骨折でそれぞれ手術率が高い傾向を認め,なかでも下壁のBurst type骨折,下壁優位型合併骨折におけるBurst type骨折ならびに前方骨折では特に手術率が高かった。また組織突出度が10mmを超える症例,下壁の眼窩内容逸脱量が多い症例でも手術となる症例が多い傾向にあった。これらの傾向は,手術適応を判断する際の一助になると考えられる。

  • 李 有姫, 武井 明日香, 岡田 雅, 上田 晃一
    原稿種別: 原著
    2020 年 11 巻 3 号 p. 115-120
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

     リストカットによる瘢痕は,度重なる受傷により広範囲の瘢痕となる。精神安定後も,瘢痕に対する社会的なマイナスイメージのために精神的苦痛が継続するため治療が望ましい。色調や質感の再現のために隣接組織による再建が望ましく,ティッシュ・エキスパンダー(以下TEとする)は手術法の選択肢の一つと考えられる。上肢の皮膚伸展は困難であるが,われわれの考案したラムダ切開を用いることで伸展皮膚を効率的に展開でき,最大限に利用することができる。そこで当科で治療したリストカット後瘢痕の5症例,6部位について検討した。筋膜上にTEを挿入し,全症例に1~4ヵ所のラムダ切開を加えた。TE挿入による合併症として血腫,TEの破損・露出・移動などを認めたが,ラムダ切開を加えたことによる血流障害等の合併症は認めなかった。TEで治療した傷は術後広がりやすい印象であり,十分なfull expansionの期間が必要であると考える。

症例報告
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