創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
4 巻, 1 号
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第3回日本創傷外科学会総会・学術集会(2011年7月,札幌)特別プログラムより
特集1 傷の評価と治療法の選択 -pros and cons-
  • 市岡 滋
    2013 年 4 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
  • 岩科 裕己, 西野 健一
    2013 年 4 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    「きれいに傷を治す」 ことは形成外科医の使命の一つである。 しかしながら, 現状では外傷の当初から必ず形成外科医がかかわっているとはいいがたく, 瘢痕拘縮などにより高度な変形が生じてから紹介されてくる場合も多い。 したがって, 外傷を取り扱う機会のある他科の医師を啓蒙することも, 形成外科医に与えられた使命の一つである。 外傷の治療にあたっては受傷部の解剖学的特性を踏まえたうえで, 創の形状, 深達度, 汚染度, 欠損組織の有無, 大きさなどを評価し, 治療計画を立てる。 その場合, 後日の二次修正を考慮した治療計画を立てることも必要な場合がある。 ここでは, 昨今のペットブームにより, その数が増加傾向にある犬咬創を取り上げる。 なかでも口唇, 外鼻の犬咬創について, 基本的な初期対応から再建術までの治療方針を述べる。
  • 橋本 一郎, 森本 篤志, 安倍 吉郎, 中西 秀樹
    2013 年 4 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    下腿,足部は血行が悪い部位として知られており,なかでも糖尿病性足潰瘍では複数の要因が関与するため,その病態は複雑であり,治療に難渋することが多い。再建外科医としてもむずかしい分野であり,確実な創部の癒合を得るために高位での切断術が行われることも少なくない。潰瘍の主要因である虚血と神経障害を適切に鑑別 ・ 評価し,それぞれの病型に応じて必要な治療を計画しなければ創傷治癒は得られない。虚血型では,創傷治癒に必要な血流を確保するため,血行再建が最優先となる。末梢動脈の閉塞を合併していない神経障害型では,最初から積極的なデブリードマンおよび再建術が可能であり,当科では閉塞のない動脈へ血管吻合を行うことで遊離皮弁移植術を行い,患肢温存と患肢への血流付加を試みている。神経障害型の術後は,足底の免荷のために専用の靴(protective footwear)を履くなどして再発に注意することが大切である。
特集2 人工真皮の有効利用
  • 藤岡 正樹
    2013 年 4 巻 1 号 p. 16-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    人工真皮の出現で外傷治療は簡便な処置で創閉鎖ができる可能性がひろがったが, その使用基準は術者の経験に負うものが大きく, 標準的な使用方法は確立されていない。 今回人工真皮の使用症例を疾病別に分析して, 人工真皮の有用で適正な使用方法を検討する。 2006年からの 5 年間で120名に人工真皮による創傷治療を行った。 内訳は外傷28%, 先天奇形28%, 潰瘍22%, 腫瘍切除生検後14%, 熱傷 8 %であった。 これらに対して当院での人工真皮使用の利点を考察した。 外傷に対しては, 骨露出創に人工真皮を貼付することで Gustilo-AndersonⅢB,C の創を ⅢA とすることができ, 皮弁を使わずとも創閉鎖が期待できるようになった。 先天奇形に対しては口蓋骨露出創や髄膜瘤閉鎖後の皮弁恵皮部に対して貼付し, 早期創閉鎖や創の拘縮予防に効果をあげている。 皮膚腫瘍の切除生検施行後, 人工真皮を貼付することで病理結果が出るまでの間, 創傷処置の簡便化と疼痛軽減が図れる。 難治性潰瘍症例に対し人工真皮とbFGFの併用療法は有用な治療法である。 これらの皮膚欠損創に対して人工真皮を利用することは有用であると思われたが, 植皮術を要する, 感染創には使用しにくい, 治療期間が長くなる等の短所もあり, 適正な使用がなされることが望まれる。
  • 河合 勝也, 森本 尚樹, 藤高 淳平, 神田 則和, 武本 啓, 鈴木 茂彦
    2013 年 4 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    われわれは, 人工真皮 (ペルナック®, グンゼ(株), 京都) を開発して以来, よりよい人工材料とすべく問題点に対して改良を行ってきた。
    人工真皮の欠点は真皮様肉芽組織が形成して二期植皮を行うまでの期間が長く, 感染に対する抵抗性をもたないことである。 人工真皮に塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) を局所投与すれば, 人工真皮内で血管新生を促し真皮様肉芽組織形成を促進させるためこれらの問題は解決され, 現在 bFGF を併用した治療法が確立されつつある。 しかしながら bFGF は生体内での半減期が短いため, bFGF の連日投与が必要となる。 新たにその解決策として, bFGF 徐放性人工真皮の開発を行ってきたので, その経緯と今後の展開について報告する。
原著
  • 井田 夕紀子, 権東 容秀, 松村 一, 渡辺 克益
    2013 年 4 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    手術部位感染 (surgical site infection : SSI) は完全に予防することはできない, 重要な術後合併症である。 当科で行っている治療と創治癒期間について検討を行った。 対象と方法 : 当科へ治療を依頼された深部 SSI (deep incisional SSI : DI-SSI) 8 例, 臓器 ・ 体腔 SSI (organ / space SSI : OS-SSI) 7 例, 計15例を対象とした。 結果 : DI-SSIとOS-SSIでは平均創治癒期間は, それぞれ53.1日, 110.3日であった。 平均入院期間では, 39.3日, 72.7日であった。 形成外科関与から創治癒までの平均期間は, 49.1日, 90.6日であった。 治療方法は全体の73% の症例で陰圧閉鎖療法を単独, または併用して治療していた。 考察 : 発症早期より介入していたDI-SSIでは, 陰圧閉鎖療法を中心として治療を多角的に組み合わせることで比較的早期に治癒していた。
  • 南村 愛, 櫻井 淳
    2013 年 4 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    人工関節置換術後皮膚壊死をきたし,人工関節の露出を伴うことがある。通常,治療は人工関節を抜去し,感染の鎮静化後に人工関節を再置換するが,なかには人工関節の再置換ができずに関節機能を喪失する症例もある。われわれは,人工関節を抜去しなくても創部の感染の鎮静化が見込める症例を対象に,人工関節を温存したまま皮膚潰瘍を再建している。われわれの人工関節置換術後の皮膚潰瘍に対する治療方針を示すとともに,自験 4 例 5 関節の臨床経過について報告する。4 関節は人工関節の露出を伴っていたが,有茎筋皮弁で潰瘍部を閉鎖し,18ヵ月~61ヵ月の経過観察で感染の再燃を認めない。1 関節は筋膜までの潰瘍であったが,植皮術後,感染コントロールがつかなかったため,人工関節を抜去した。自験例より,人工関節を温存したまま創部の感染コントロールを行い,潰瘍部を閉鎖する方法は有用と考えられた。
症例報告
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