重症熱傷はしばしば致命的である。わが国の熱傷に関する正確なデータはないものの,DPC (diagnostic procedure combination) による統計や,東京都熱傷救急連絡協議会の統計から,年間数万人が医療機関で治療を受け,6,000 人以上が入院し,数百人程度が広範囲熱傷により在院死亡しているとみられる。入院時に患者の予後を知ることは臨床医にとって重要であり,予後因子の検討が種々報告されている。
当院では 2008 年からの 6 年間に入院治療にあたった 135 例のうち 7 例が在院死亡であった。集中治療室専属の医師をもたず,形成外科が主体となり各科の協力の下に治療を行ってきた。このうち重症例について入院時にみられる生命予後因子を後ろ向きに検討し,これまでの報告と比較した。
その結果,総熱傷面積・熱傷指数・熱傷予後指数・白血球数・血清アルブミン・乳酸脱水素酵素・総コレステロールが院内死亡の予測因子として有用で,熱傷専門施設における結果とほぼ同様であった。
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