創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
7 巻, 2 号
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第7回日本創傷外科学会総会・学術集会(2015年7月,東京)特別プログラムより
特集1:形成外科手技をいかに創傷治癒に活用するか?
  • 川上 善久, 大山 拓人, 高木 誠司, 大慈弥 裕之
    2016 年 7 巻 2 号 p. 55-64
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
     植皮術は比較的簡便に,さまざまな創を閉創することが可能な優れた手術である。近年,陰圧閉鎖療法 ( NPWT ),塩基性線維芽細胞増殖因子 ( bFGF ) といった新しい創傷治癒を促進させる機器や薬剤が開発されており,従来の適応をこえて植皮術を安全に行うことが可能となった。それらの有用性を確認する目的で,当科における 214 例の植皮術について検討した。術前に NPWT や bFGF を使用したかどうか,また,植皮片の固定に NPWT を使用したかどうかにつき,植皮の生着率を比較した。術前の wound bed preparation については,NPWT と bFGF を併用した群において有意に植皮の生着率が高かった。また,植皮片の固定を NPWT で行った群は,それ以外の群に比較して植皮の生着率が有意に高かった。しかし,NPWT や bFGF は創傷を万能に治癒させる機器・薬剤ではないため,適応を正確に判断することが重要である。
特集2:創傷外科医がリーダーとなるチーム医療の作り方
  • 山本 有祐, 仲沢 弘明, 櫻井 裕之
    2016 年 7 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
     広範囲熱傷の治療には全身管理,局所療法,救命後の機能・整容的再建が必要となる。急性期に全身管理を担う救急医のみならず,一連の治療を通し,麻酔科医による疼痛管理,精神科医の睡眠調整・精神的介入,さらに専門看護師をはじめ,医療工学士,理学療法士,薬剤師などのコメディカルとのチーム医療が重要である。治療の当面のゴールは熱傷創閉鎖であり,一貫して治療に携わる創傷外科医がリーダーとなり,焼痂切除・皮膚移植を基軸とした治療計画を立案・実行することが重要であると考える。創傷外科医がリーダーになるには,1.創閉鎖のための確固たるスキルをもち,2.患者の全身状態を把握し,それに応じた局所管理を選択し,3.将来起こりうる障害を予測し,対応策を立案でき,4.関連各診療科・各部署と密なコミュニケーションをとれることなどがあげられる。
原著
  • 木内 達也
    2016 年 7 巻 2 号 p. 74-80
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
     慢性膿皮症は何らかの宿主側の要因により慢性,難治性の経過をとる皮膚細菌感染症の総称である。重症化すると膿瘍,排膿,皮下の瘻孔,瘢痕などを含む病巣が広範囲に及ぶため,根治させるには広範囲切除が必要となる。しかし,その後生じる皮膚欠損は単純に縫縮するには大きいため植皮が必要になり,また,外陰部,腋窩などの凹凸が多い部位に好発するため,移植した皮膚の固定は容易ではない。手術に伴い感染合併,病変の取り残し,有棘細胞癌合併のリスクも存在する。われわれは重度慢性膿皮症の治療として,陰圧閉鎖療法 ( Negative Pressure Wound Therapy : NPWT ) を併用した 2 期的手術を行った。第 1 段階では病変の広範囲切除を行い,その後生じる皮膚欠損に対し wound bed preparation のため NPWT を適用した。第 2 段階では創閉鎖のため分層植皮を行い,その固定のために NPWT をさらに継続して使用した。この治療法により良好な結果が得られ,術後合併症および経過観察中の再発はみられなかった。
症例報告
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