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J. Steven Leeder
セッションID: A-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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米本 昌平
セッションID: A-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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Vadivel Ganapathy
セッションID: A-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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畠中 貴弘, Ganapathy Vadivel
セッションID: 8S1-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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前田 智司, 平山 雅通, 小林 大祐, 木村 浩子, 玉井 郁巳
セッションID: 8S1-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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(目的)カルニチンは生体内で精巣に高濃度に存在し、その役割は精子分化・精子運動能に関わると考えられている。カルニチントランスポーター機能欠損マウスでは精子運動低下によると考えられる原因によって雄性不妊を呈することが見出されており、男性不妊において重要である。このようなカルニチン低下による症状はカルニチントランスポーター自身の発現量が低下した場合も生じると予想される。Octnsトランスポーターはマウスにおいては3種類(Octn1,2, 3)のメンバーが同定されており、全ての分子種が共通して精巣で発現している。3分子種のうち2分子種(Octn2,3)は高いカルニチン輸送活性を保持しているが、精巣において両分子がカルニチン輸送に関してどのような役割分担を担っているのかは不明である。そこで、両分子の精巣での発現パターンが異なっている事に着目し、発現調節機構から役割分担の解明を試みた。(方法)Octn3プロモーター領域を段階的に欠失したレポータープラスミドを構築し、マウス精巣セルトリ細胞由来TM4 細胞に導入しプロモーター活性を測定した。また、TM4 細胞を種々の化合物で暴露し、Octn2の発現変動の解析を行った。(結果・考察)Octn2とOctn3遺伝子のプロモーター領域を比較すると-2.0kbから-1.5kbの領域で高い相同性が認められた。また、両プロモーター領域には精巣の形成に重要な転写因子の1つであるGATA-4の結合サイトが存在していた。Octn3遺伝子上流-2.5kb領域にはaaagaaagという繰り返し配列が存在し、その領域を欠失させるとプロモーター活性が減少した。この領域はOctn2プロモーター領域には存在せず、Octn3の発現調節に重要な領域である考えられた。また、カルニチン暴露によりOCTN2の発現は1.6倍の増加が認められ、内因性基質が転写調節に関与していることが示された。
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宮本 賢一
セッションID: 8S1-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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無機リン酸(以下リン)は生体のエネルギー代謝、細胞膜の構成成分として生体機能維持に必須のイオンである。最近、新しいリン代謝系が発見され、リン代謝異常は、様々な病態に関連していることが明らかにされてきている。血中リン濃度を調節する機序として、小腸からの吸収、骨からの動員、腎からの排泄がある。そのうち腎は、血中リンの維持に最も重要な組織である。腎近位尿細管には、ナトリウム依存性リントランスポーター(type IIa Na/Pi cotransporter/ type IIc Na/Pi cotransporter) が局在し、血中リン濃度調節を担っている。Type IIa Na/Pi cotransporter は、刷子縁膜において迅速なエンドサイトーシス・エキソサイトーシスを受け、細胞膜上でトランスポーターの量的変化をもたらす。一方、type IIc Na/Pi cotransporterはリサイクリング機構により調節され、副甲状腺ホルモン(PTH)や高リン負荷は、トランスポーターの内在化を促進しリン利尿をもたらす。一方、小腸上皮細胞にはtype IIb Na/Pi cotransporter が局在し、リン吸収を担っている。ビタミンDは、type IIb Na/Pi cotransporter を調節する重要な因子である。さらに、新しく登場したリン調節因子(FGF23、MEPE, Stanniocalcin1,2, Phexなど)は、腎臓や小腸type II Na/Pi cotransporterを、様々なメカニズムで調節する。 高リン血症は慢性腎不全や長期透析患者に見られ、二次生副甲状腺機能亢進症や異所性石灰化を惹起する原因となる。これらの治療には、リン制限食が最も有効であり、様々なリン吸着剤が臨床で用いられている。最近、type II Na/Pi cotransporterを標的とした薬剤の開発が行われており、機能抑制や発現抑制機構が解明され、選択的なリン吸収阻害薬の有用性が報告されている。本講演では、高リン血症の治療標的としてのリントランスポーターの意義および、リントランスポーターの発現調節機構について概説する。
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宮田 昌明, 北田 泰崇, 大塚 聖, 戸澤 亜紀, 中村 俊文, 島田 美樹, 永田 清, Gonzalez F.J., 山添 康
セッションID: 8S1-4
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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【目的】胆汁の主要構成成分である胆汁酸は脂質や脂溶性ビタミン等の排泄、吸収に重要な役割を担っている。一方で胆汁酸は細胞にネクローシスやアポトーシスを誘発し、肝内胆汁酸濃度の上昇は肝障害を引き起こす。肝臓で合成された胆汁酸は腸肝循環しており、肝内胆汁酸レベルは胆汁酸の肝内への取り込みと排出トランスポーターの機能に大きく依存している。核内レセプターFXRは胆汁酸合成を調節すると共に胆汁酸排泄にも関与するとされている。そこでFXR欠損マウスを作成し、胆汁酸動態に及ぼすFXRの機能を検討した。
【方法】雌雄FXR欠損及びその野性型マウスに1%コール酸 (CA)あるいはリトコール酸 (LCA)を含む餌を5日間摂取させた後、肝臓胆汁酸トランスポーターおよび肝内、胆汁中の胆汁酸の含量、組成の変化および肝機能を解析した。
【結果・考察】野性型マウス胆汁酸トランスポーターのBsep, Oatp2, Mrp2, Mrp3, mEHのmRNAレベルが増加した。一方Ntcp, Oatp1, Oatp4のmRNAレベルは減少した。ある種のトランスポーターにおいて野性型と欠損マウスでそれらの応答に差異が認められた。FXR欠損マウスはCA処理によって強い肝障害が認められ、肝内tauroCAのレベルとも相関した。また胆汁中の主要な胆汁酸成分はtauroCAでありCAは検出されなかった。Bsep mRNAのレベルは欠損マウスで有意に低かった。一方雌性マウスにLCAを摂取させると、Mrp2, Mrp3を除くトランスポーターのmRNAレベルは野性型、欠損型共に減少した。また肝障害は欠損マウスよりも野性型マウスで強く現れ、肝内LCAレベルと相関した。この原因について解析したところ、欠損マウスで有意に高い肝LCA硫酸抱合活性が認められた。さらに欠損マウス胆汁中に野性型マウスと比べ7倍以上の硫酸抱合型胆汁酸が検出された。以上の結果は、CA誘発肝障害はBsep等によるtauroCAの排出が、LCA誘発肝障害ではMrp2等による硫酸抱合型胆汁酸の排出が毒性軽減に重要な役割を担っていると示唆された。
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崔 吉道, 伊藤 さつき, 李 晴, 加藤 将夫, 玉井 郁巳, Svensson A.-C., Artursson P., 辻 彰
セッションID: 8S1-5
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】様々なトランスポーターの臓器分布やその輸送特性が解明され、薬物の体内動態制御に利用するアプローチが試みられているが、in vitroで薬物輸送活性が明らかなトランスポーターについてRT-PCR等で定性的な発現が検出されても、組織や細胞レベルでの輸送機能に反映されない場合があり、その発現量の大小や発現変動が組織あるいは細胞レベルの輸送活性にどの程度寄与するか、更には基質を共有する複数のトランスポーターの相対的な重要性について明らかにすることは極めて重要である。そこで我々は薬物療法の分子標的となるトランスポーターの発現レベルと輸送活性の定量的な関係を解明することを目的とした。【方法】ラット小腸およびCaco-2細胞を用いて種々条件下でトランスポーターの発現レベルと輸送活性の変動を定量した。293細胞にトランスポーターcDNAを導入し様々なmRNA発現レベルでその輸送活性を検討した。【結果・考察】ラット小腸のトランスポーター発現レベルをリアルタイムPCR法により定量したところ、絶食によりPEPT1 mRNAは有意に増加し、ユッシングチャンバーを用いて測定したセファドロキシル輸送活性と良く相関した。Caco-2細胞を用いた検討では、グルコース飢餓や種々薬物添加によりMDR1発現および輸送活性の亢進が見られた。PEPT1およびPEPT2をトランスフェクトした293細胞においてグリシルサルコシン取り込み活性を検討したところ、両トランスポーターとも細胞mg proteinあたり約10
7コピー以上のmRNA発現により非飽和性の輸送に比べて有意な細胞取り込みクリアランス(約0.3μL/min/mg protein)が検出された。 これらの結果から、適切な条件下ではトランスポーター発現レベルとその輸送活性は良い相関を示した。トランスポーターの発現量当たりの輸送活性を評価することで、体内動態制御因子としての相対的な重要性を明らかにし、より効率的な分子標的の設定が可能になると考えられた。
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広野 修一, 村上 聖, 中込 泉, 前田 和哉, 楠原 洋之, 杉山 雄一
セッションID: 8S1-6
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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Organic Anion Transporter 3(OAT3)は腎臓、肝臓、脳、眼に存在し、特に脳からの有機アニオンの排出や解毒に重要な役割をしていると言われている。OAT3の立体構造は未知であるが、OAT3-薬物相互作用様式をリガンド分子群の3次元構造特徴の観点から解析することで、OAT3の基質認識機構を構造化学的に解明し、その情報に基づいた合理的分子設計を行なうことにより、脳内薬物濃度などの体内動態調節が可能になると思われる。本研究では、標的蛋白質の立体構造が未知である場合のコンピュータ支援医薬分子設計研究法であるLigand-Based Drug Designの戦略に基づき、ラットOAT3に関するリガンド化合物の3次元ファーマコフォア同定と結合部位マッピングを行った。解析手順は以下の通りである。
1)高温分子動力学法を利用した自動配座解析プログラムCAMDASを用いて、複数のOAT3リガンド分子の立体配座集団を生成する。
2)官能基特性に基づく分子の重ね合せプログラムSUPERPOSEを用いて、リガンド分子の立体配座集団から、すべてのリガンドに共通の立体配座及び官能基配置を抽出し、3次元ファーマコフォア(結合に必須な原子団の空間配置)を決定する。
3)3次元定量的構造活性相関の一手法であるCoMFAを行い、OAT3に対するリガンド化合物の立体構造と活性との相関情報に基づき、OAT3のリガンド結合部位のマッピングを行う。
分子重ね合せから得られた3次元ファーマコフォアとCoMFAモデル(立体場+静電場+logP)から得られた等高線図(立体相互作用、静電相互作用)の情報に基づいてOAT3のリガンド結合部位のマッピングを行うことができた。これらの情報を用いることにより、薬物動態的に有利な分子デザインや、種々の化合物のin Silicoスクリーニングが可能である。
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山本 昌, 鳥井 公人, 岩倉 裕士, 正野 泰士, 上島 智, 岡田 直貴, 藤田 卓也
セッションID: 10S1-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】 P糖タンパク質 (P-gp) は、多くの薬物を細胞内から細胞外へと汲み出す薬物排出ポンプとして機能しており、腸管では P-gp の基質となる薬物の bioavailability 低下の原因となることが知られている。しかしながら、こうした P-gp の機能について、病態時において検討した例は少ない。そこで、本研究では、抗癌剤である mitomycin C (MMC) をラットに静脈内投与し消化器障害を惹起した場合の P-gp の機能や発現変化を検討した。また、各種製剤添加物により消化管の P-gp の機能を抑制し、P-gp の基質となる薬物の消化管吸収性の改善を試みた。
【方法】 消化器障害の惹起は、Wistar 系雄性ラットに MMC を静脈内投与することにより行った。また透過実験は、
In vitro diffusion chamber 法より行い、 P-gp の基質には rhodamine123 を用いた。一方、P-gp の発現量は Western blot 法により検討した。
【結果・考察】Rhodamine123の分泌方向の透過性は、MMC を処理した場合においてさらに増大することが認められた。また、単純拡散により輸送される lucifer yellow 、 5(6)-carboxyfluorescein (CF) 及び theophylline の分泌方向、吸収方向の透過性は共に MMC を処理しても差が認められなかった。さらに、MMC を処理したラットの P-gpの発現量はコントロールラットに比べ増大し、透過実験と相関する結果になった。一方、Cremophor EL, Tween 80, Sodium caprateなどの添加物の併用により、rhodamine123の分泌方向優位な透過性が抑制されることから、これら製剤添加物は、消化管の P-gp の機能を抑制し、 P-gp の基質となる薬物の消化管吸収を改善できる可能性が示唆された。
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富田 幹雄, 上林 敦, 村田 宏行, 新庄 綾子, 安藤 弘高, 柳樂 眞友子, 林 正弘
セッションID: 10S1-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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感染症は抗生物質の登場で過去の病気との認識がある中、SARSが世界中を恐怖に陥れている現実がある。我々の研究室では感染症の薬物療法を念頭にここ数年研究を展開している。一般に薬物療法においては薬剤の選択はもちろんであるが、投与量、吸収部位の選択も非常に重要な問題である。病態時における腸管上皮細胞上のトランスポータ群の発現変動およびタイトジャンクション構成成分の発現変動は上記の選択において鍵となる因子であると考えられる。本研究では、内毒素としてLipopolysaccharideを例にとり、上記の発現変動と活性調節因子について紹介し、感染症時の薬物療法の至適化について考察する。 ウィルスなどによる感染症とは異なり、ガン細胞は我々の体の中から生じるものであることから、ガン細胞のみを選択的に叩く薬剤およびDrug Delivery Systemの開発が望まれている。つまり強力な抗腫瘍活性がありながら副作用が癌化学療法のDose-limiting factorであり、解決しなければならない問題点であると認識されている。我々は近年、新規抗腫瘍活性を有し、P-glycoprotein(P-gp)の基質であるNobiletineの連続投与はCaco-2細胞にP-gpの発現誘導を引き起こすが、抗腫瘍活性(アポトーシス)も維持しているという、一見矛盾する現象を見出した。この現象について、P-gpの誘導に関してはP-gpの基質ではない抗ガン剤やアポトーシス誘導剤との比較をし、構造活性相関の観点から考察する。一方抗ガン効果については、脂質過酸化を軸にアポトーシスとネクローシスの観点から考察する予定である。
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高根 浩, 家入 一郎, 紀川 純三, 細川 正清, 千葉 寛, 寺川 直樹, 佐藤 哲男, 大坪 健司
セッションID: 10S1-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】P-糖蛋白は多くの薬物の体内動態(特に吸収、分布、排泄)に関与し、その発現の個人差と蛋白をコードするMDR1遺伝子の多型との関連が注目されている。一方、DNAの塩基配列の変化を伴わず遺伝子機能を変化させるエピジェネティック現象として5ユ-CpG-3ユ(以下CpG)の2塩基配列のシトシンのメチル化が知られており、癌細胞の多剤耐性の一要因としてMDR1遺伝子のメチル化による転写活性低下が示唆されている。そこで本研究ではMDR1遺伝子のプロモーター領域における遺伝子変異およびCpGメチル化状態とその転写活性の個人差との関連について検討した。【方法】同意を得た日本人女性100名および白人25名より得た胎盤および肝臓組織を用い、mRNAおよびDNAを抽出した。MDR1遺伝子のプロモーター領域(約2kb)の遺伝子多型検索はPCR-SSCP法で行い、遺伝子変異の同定はダイレクトシークエンス、サブクローニングで行った。CpGメチル化はBisulfite処理DNAをPCR法で増幅し、サブクローニング後のダイレクトシークエンスおよびCOBRA(Combined bisulfite-restriction assay)法にて測定した。MDR1 mRNA発現量はReal time-PCR法で測定した。
【結果・考察】MDR1遺伝子のプロモーター領域の遺伝子多型検索により新規も含め9箇所の変異を同定した。さらに同領域における多型は日本人で高頻度に認められ、mRNA発現量との関連が示唆されるものを含む9種類のハプロタイプを同定した。また、プロモーターおよびイントロン1に存在するCpGアイランド領域内に部位特異的なCpGメチル化が認められ、メチル化の程度に個人差が存在することが明らかとなった。本発表ではMDR1転写活性(mRNA発現量)の個人差と遺伝子多型およびCpGメチル化の関連について言及したい。
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香取 典子, 吉谷 隆志, 井戸田 昌也, 黒瀬 光一, 鹿庭 なほ子, 斎藤 嘉朗, 小澤 正吾, 青柳 伸男, 小嶋 茂雄, 澤田 純一 ...
セッションID: 10S1-4
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】タキサン系抗癌剤であるパクリタキセルはP-glycoprotein(P-gp)の基質として知られている。P-gpをコードする遺伝子
MDR1には現在までに多数の一塩基多型が報告されており、経口投与されたジゴキシンなどのP-gp基質のバイオアベイラビリティに影響を与える例も報告されている。今回、
MDR1の遺伝子多型がパクリタキセル体内動態の個人間変動に与える影響を明らかにするため、パクリタキセル投与患者におけるパクリタキセルおよび主代謝物の6α-OH体および3’-
p -OH体、またパクリタキセル体内動態に影響を与えると言われている注射剤添加物のクレモフォールの血中濃度測定およびPK解析を行い、
MDR1の主な遺伝子型と体内動態との比較検討を行った。【方法】国立がんセンターにおいてパクリタキセル投与が行われた患者75名を対象とし、3時間定速静注後0〜9時間後の血漿を採取後、パクリタキセルおよび代謝物をHPLCで定量した。添加物であるクレモフォールはCBB色素結合法により測定した。また、5’上流領域を含む
MDR1遺伝子のシークエンス解析はビックダイターミネータ法により行った。【結果・考察】3時間定速静注によるパクリタキセルの体内動態は0次吸収2コンパートメントモデルによくフィットした。モデルパラメータからパクリタキセルの全身クリアランスを求め、
MDR1遺伝子多型との関連について検討した。
MDR1の一塩基多型のうち、3435C>T(silent)がジゴキシン経口投与後の血中濃度に影響を与えることが知られているが、今回、3435位の置換は静注後のパクリタキセルの全身クリアランスには有意な影響を与えなかった。この他、アミノ酸変異を含む幾つかの遺伝子多型とパクリタキセルおよびその代謝物の体内動態との関連について検討を進めている。
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安藤 雄一
セッションID: 8S2A-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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古田 隆久
セッションID: 8S2A-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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近藤 毅
セッションID: 8S2A-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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谷口 敦夫, 浦野 和子, 田中 栄一, 山中 寿, 鎌谷 直之
セッションID: 8S2A-4
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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渡辺 一郎, 冨田 愛子, 菅根 美帆, 指宿 美恵, 安雲 浩明, 小石 龍太, 高橋 亘, 三吉 薫, 中村 公一, 泉 高司, 松下 ...
セッションID: 8S2A-5
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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松倉 裕二, 草間 真紀子, 大関 健志, 松野 久美, 久保田 隆廣, 山田 安彦, 小川 誠司, 神田 善伸, 平井 久丸, 伊賀 立二
セッションID: 8S2A-6
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】造血幹細胞移植の前処置薬として用いられるブスルファンはその体内動態の個体差が大きいことが治療上の問題となっている。そこで我々は日本人患者を対象として、ブスルファンの主代謝酵素であるグルタチオン
S-トランスフェラーゼ(GST)A1の遺伝的多型がブスルファンの体内動態に及ぼす影響を検討した。【方法】12名の日本人成人患者(20-60歳)を対象とし、同種造血幹細胞移植の前処置として、ブスルファン(0.85-1.01mg/kg)を6時間ごとに2日間または4日間にわたって経口投与した。定常状態における血漿中ブスルファン濃度を測定し、その体内動態を解析するとともに、PCR-RFLP法によりGSTA1の遺伝子型(
GSTA1*A, 野生型;
GSTA1*B, 変異型)を判定した。また、147名の日本人健常人を対象として同様にGSTA1の遺伝子型を判定した。【結果】12名の移植患者の遺伝子型は、
*A/*Aが9名、
*A/*Bが3名であり、
*B/*Bの遺伝子型は見られなかった。
*A/*Bの遺伝子型をもつ患者群は、
*A/*Aの遺伝子型をもつ患者群に比べて、経口投与後のクリアランス(CL/F)、および消失速度定数(ke)が有意(P<0.01)に低下し、定常状態における平均血漿中濃度(Css)は有意に(P<0.01)上昇した(CL/F, 0.118±0.013 v.s. 0.196±0.011 l/hr/kg; ke, 0.176±0.038 v.s. 0.315±0.021 hr-1; Css, 1344±158 v.s. 854±44 ng/ml)。147名の日本人健常人における
*A/*A、
*A/*B、
*B/*Bの各遺伝子型の頻度はそれぞれ、71.4%、25.9%、2.7%であった。【結論】GSTA1の遺伝的多型が造血幹細胞移植におけるブスルファンの体内動態に影響を及ぼすことが示唆された。変異型アリルである
GSTA1*Bは日本人において広く分布しており、遺伝子型に基づく投与量調節の必要性が示唆された。今後は
*B/*Bの遺伝子型をもつ患者群も含め、より多くの症例での検討が必要であると考えられた。
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増田 智先, 後藤 真樹, 橋田 亨, 田中 紘一, 乾 賢一
セッションID: 8S2A-7
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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岩井 めぐみ, 廣内 幹和, 鈴木 洋史, 西里 洋平, 井戸田 昌也, 小澤 正吾, 家入 一郎, 大坪 健司, 杉山 雄一
セッションID: 8S2A-8
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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近年、種々のトランスポーターが、薬物を含む異物の体内動態の規定因子となっていること、またそれらについて遺伝的多型の存在が明らかになりつつあるが、その機能解析は定量的な意味で未だ十分であるとはいえず、これまで、遺伝的多型が臨床現場においてどのようなインパクトを持つのかは不明であった。organic anion transporting polypeptide 2 (OATP2/SLC21A6)は肝臓血管側膜特異的に、一方、multidrug resistance-associated protein 2 (MRP2/ABCC2)は主に、肝臓の胆管膜上に発現が認められる。両トランスポーターの基質認識性には広範でかつ大幅な重複が見られ、estradiol-17β-D-glucuronide (E
217βG), pravastatinといった様々な基質の血中から胆汁中への経細胞輸送に重要な役割を果たしていることが知られている。我々は、日本人における両トランスポーターの遺伝的多型の情報をもとにSNPs体発現系を構築・機能解析し、その影響について考察を加えた。その結果、MRP2においてS789FあるいはA1450Tの変異を持つ場合、細胞全体の発現量の減少及び局在の変化が観察され、結果として胆汁排泄に寄与しうるMRP2蛋白量の低下が予想されるが、臨床での解析はなされておらず、さらなる解析が必要とされる。OATP2においては、N130D, V174A の変異をあわせ持つ場合、細胞膜局在には変化がないものの、輸送活性の大幅な減少がおこることが観察された。この結果は、家入らの報告で、このハプロタイプ(*15)を有する日本人健常者において、pravastatinの腎外クリアランスの有意な減少が見られるという臨床での結果と定量的にも矛盾しないものである。以上より、両トランスポーターの遺伝的多型による局在・機能の変化が、臨床において薬物動態の変動につながる可能性を初めて実証できたと考えられ、今後更なる解析を進めていく予定である。
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渡辺 稔之, 大橋 芳彦, 小坂 俊幸, 矢本 敬, 真鍋 淳, 高崎 渉
セッションID: 9S2B-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【背景】我々はこれまでに,イヌ(ビーグル)肝cytosol(Cs)において1,2-dichloro-4-nitrobenzeneに対するglutathione S-transferase(GST)活性(GST-D活性)をほとんど示さないlow GSTイヌが存在すること,low GSTイヌ以外のイヌにも本活性には顕著な個体差が認められ,本活性を指標にイヌを低(0-10 nmol/min/mg p.),中(10-80 nmol/min/mg p.),高(80 nmol/min/mg p.以上)活性群の3群に分類できることを見出した.また,酵素反応速度論的解析からこの個体差は本活性を特異的に触媒するGSTYdfYdfの発現量の個体差によると推察した.本演題ではGST-D活性と発現量が相関するタンパク質を二次元電気泳動によりスクリーニングした結果を報告する.【方法】低,中,高活性群のイヌ肝Cs(8例/群)中のタンパク質を二次元電気泳動で分離した.GST-D活性と発現量に有意な相関の認められたタンパク質のスポットをゲルから切り出し,トリプシン処理後PMF法で同定した.【結果】低活性群と高活性群,低活性群と中活性群,中活性群と高活性群の比較で,有意に発現量の異なるタンパク質のスポットがそれぞれ14,2,3スポット見出された.このうち2つは発現量とGST-D活性の間に有意な相関が認められた.次に,低活性群と高活性群の比較で発現量に有意な差が認められた14スポットのうち,上記の2スポットを含む切り出し可能な12スポットの同定を試みた.その結果,GST-D活性と発現量が有意に相関した2スポットはいずれもthetaクラスに属するGST分子種,YdfYdfと同定された.それ以外の10スポットはいずれもGSTYdfYdfとは無関係なタンパク質として同定された.【結論】二次元電気泳動によるタンパク質発現解析により,イヌではGSTYdfYdfの発現量に個体差が認められることが明らかとなった.また,low GSTイヌはGSTYdfYdfをタンパク質レベルで欠損していることが明らかとなり,GSTによる解毒代謝能の欠損モデルとしての有用性が示唆された.
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山崎 浩史, 藤枝 正輝, 冨樫 正浩, Ujjin Pailin, 中山 佳都夫, 斎藤 鉄也, 鎌滝 哲也
セッションID: 9S2B-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】トリメチルアミン(TMA)は,肝によって臭いの少ないTMA N-oxide(TMAO)に大部分が変換され,主に尿に排泄される.この肝の変換酵素であるフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO3)の遺伝的多型に伴う機能低下によって,未変化体TMAが尿,汗および呼気などに排泄され,不快な体臭を引き起こす.魚臭症候群(TMA尿症)に関しての欧米での広範な研究に対し,アジアでのTMA尿症の報告例はほとんどない.そこで,本疾患に対する科学的対処方法を確立することを目的とし,タイ人と日本人における尿中のTMA排泄を測定し, 食品成分のTMA排泄に及ぼす影響やFMO3の遺伝子多型を調べた.【方法】タイ人男性1名は,呼気の臭気の判定から医師によって,TMA尿症と診断された.日本人は,自己申告によって, TMA尿症が疑われる被験者と健常対照群を用いた.GC-FIDを用いて尿中の総TMAとTMAを測定し,TMA代謝効率をTMAO/(TMA+TMAO)とした.【結果および考察】タイ人6名および日本人健常人20名のTMAの代謝効率は95%以上であった.一方,魚臭症候群と診断されたタイ人の尿中TMA代謝効率は91%であった.尿での代謝効率が70-90%を示し,魚臭症候群が疑われる日本人7人を見出した.血液検査の結果,乳酸脱水素酵素値と尿中TMA代謝効率とに逆相関が認められた.経口摂取した活性炭や銅クロロフィリンがTMA代謝効率を改善させることも見出した.タイ人魚臭症候群患者は,FMO3のTMA N-酸化反応のVmax/Kmを低下させる新規遺伝子変異(G265A)のヘテロ接合体であった.日本人から新規C613T変異遺伝子を検出した.以上の結果から,青年期から発症する魚臭症候群は,肝機能障害,食事およびFMO3新規遺伝子多型の影響など,複合した原因による可能性が示唆された.
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細川 正清, 柳沼 祐美子, 渡辺 菜採子, 大門 美里, 山本 奈央子, 塚田 英子, 大畑 淑子, 佐藤 哲男, 千葉 寛
セッションID: 9S2B-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】カルボキシルエステラーゼ(CES)は、エステルやアミド型プロドラッグの代謝活性化において重要な役割を果たしているため、本酵素の個人間での差異はプロドラッグの体内動態に影響を及ぼすものと考えられている。演者らは、これまでヒト肝および小腸CESに個人差があることを報告しており、さらに個人差の主要な原因は発現調節であることを示唆してきた。そこで、本研究においては、発現調節における個人差の原因を調べるための基礎的検討として、ヒトCESの発現調節機構の解明を試みた。【結果・考察】ヒト肝および小腸にはそれぞれ基質特異性が異なるCESアイソザイムが発現している。そこで、肝に主要に発現しているCES HU1(CES 1A1)および小腸に主要に発現しているCES HU3(CES 2A1)のそれぞれのゲノムをクローニングした。その結果、CES HU1にはinverted duplicationを示すCES HU1aとHU1bの2つの遺伝子が存在していることが明らかとなった。この2つのCES遺伝子は両方とも全てのexonを含んでいるが、転写調節領域に差異が認められ機構が異なっていることが明らかとなった。そこで、ヒト肝におけるmRNAをReal-Time PCR法により定量したところ、ヒト肝においてはHU1aの方が高い発現量を示した。また、HU1bに関しては発現量が著しく低い個体が存在したため、現在発現調節領域における遺伝子多型と発現量の関係について調べているところである。また、 CES HU3の発現調節機構はCES HU1とは異なっており、さらに約1kbp離れた2ヶ所の転写開始点が存在していた。そこで、Northern Blotで調べたところ、ヒト小腸においては少なくとも長さの異なる2種類のmRNAが発現していることが明らかとなった。さらに、この2つの転写開始点にはそれぞれ異なる転写因子が結合する基本プロモーター領域が存在しており、転写調節機構に差異がある可能性が示唆された。
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比知屋 寛之, 蔵本 詩乃, 山本 重雄, 浅岡 一雄, 宮田 篤朗, 成松 鎭雄
セッションID: 9S2B-4
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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医薬品開発に際し, 薬効及び毒性評価に用いる動物種はヒトに近いものが望ましく, ヒトと同じ霊長類に属するサルのヒト代替実験動物としての有用性は高いと思われる. 我々はサルの薬物代謝機能研究の一環として, 小型で取り扱いが容易なマーモセットの肝臓内の CYP2D 酵素に焦点を当て, 詳細な検討を行った. まず, 鹿児島大学より供与されたマーモセット肝臓より単離した既知の CYP2D19 酵素 cDNA に加えて, その推定アミノ酸配列で 33 残基異なる新規 CYP2D30 酵素の cDNA を京都大学より供与された同種の肝臓より各々単離した. 次に各 cDNA を酵母に発現させ, そのミクロゾーム画分 (Ms) を用いて bufuralol (BF) 1" 位水酸化活性を測定した結果, r2D30 はnmol CYP 当たりで r2D19 の約 4 倍高く, また BF の 4 種の代謝物ジアステレオマー生成における立体選択性が異なることが示された. そこで, これらの相違に及ぼすアミノ酸残基の影響を明らかにするため, 両マーモセット CYP2D 酵素間で異なる基質認識部位 (SRS) 内 のアミノ酸残基に着目し, その機能を検討した. 2D19 のアミノ酸残基を相当する 2D30 のアミノ酸残基に置換した変異型 2D19 (E108Q, L119V, S243F, H296R 及び P477H) 及び両マーモセット CYP2D 酵素のcDNA 断片を含むキメラ酵素を作製し, 上記同様発現酵母 Msを用いて BF 1" 位水酸化活性を測定した. その結果, SRS-1 内の L119V が r2D30 とほぼ同程度の活性を有し, 速度論的解析においても L119V のみ Vmax 値の上昇が認められた. 変異型 2D30 及びキメラ酵素の結果も併せて報告し, 考察を加える.
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石井 祐次, 竹田 修三, 二神 咲子, 岩永 恵, 武田 志穂, 西村 嘉雄, 永田 清, 山添 康, 小栗 一太, 山田 英之
セッションID: 9S2B-5
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】演者らは、これまで、第一相反応に関わるシトクロムP450 (P450)と、第二相反応に関わるUDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT) がタンパク質-タンパク質相互作用を示すこと明らかにしてきた。しかしながら、P450と、UGTの機能的相互作用については明らかではない。本研究では、P450とUGTの機能的連関を通じた薬物代謝反応の制御について検討した。
【方法】UGT2B7安定発現細胞をCOS-1細胞系に樹立し、CYP3A4発現ベクターによる共発現を行った。この細胞よりミクロゾームを調製し、モルヒネを基質としモルヒネ-3-グルクロニド (M-3-G)生成活性を指標として、CYP3A4の共発現の有無が速度論的パラメーター (Km、Vmax)に及ぼす影響を比較した。また、ヒト肝臓を用いて、速度論的パラメーターを解析するとともに、非特異的なタンパク質である牛血清アルブミン (BSA)の添加による影響も併せて検討した。
【結果および考察】CYP3A4の共発現によりM-3-G生成活性のKm値は、UGT2B7単独発現に比較して、約9倍大きな値になった。一方、Vmax値は同程度であった。このCYP3A4共発現系でのKm値は、ヒト肝臓ミクロソームのそれと遜色ないものであった。いずれの系においても非特異的タンパク質のBSA添加による影響は、ほとんどなかった。このように、CYP3A4とUGT2B7は機能的な相互作用をすることが示唆され、薬物代謝反応を制御しているものと推察された。UGTがP450機能に与える影響についても併せて発表する予定である。
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松永 民秀, 丸山 昌孝, 原田 恵里, 宮里 賢二, 杉原 伸宏, 伊勢 裕彦, 今村 哲也, 根岸 直樹, 池田 宇一, 佐々木 克典, ...
セッションID: 9S2B-6
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】肝不全に対して肝移植が標準的な治療法として認識される一方で、深刻なドナー不足が大きな問題となっている。一方、胚性幹細胞(ES細胞)はあらゆる細胞に分化可能であり、高い増殖性を示すことからES細胞を利用する再生医療はこの問題を解決する革新的な医療と期待されている。しかし、臓器レベルで実現するためには、肝細胞への分化とその機能獲得に関する知見を数多く蓄積することがまず重要なステップとなる。本研究においては、マウスはES細胞をヒトについては組織幹細胞の一つである肝芽細胞を多く含む胎児肝細胞を用い、幹細胞の肝細胞への分化過程における機能獲得を明らかにするため、薬物代謝酵素を中心とした薬物動態因子の発現変動について検討した。【方法】マウスES細胞より得られた胚様体(EB)をプレートに接着後、培養することにより分化させ、6日おきに総RNAを回収、RT-PCR法により肝実質細胞マーカー及びシトクロムP450(CYP)の発現解析を行った。正常ヒト胎児肝細胞は大日本製薬から市販されている初代肝細胞(6胎児肝混合、胎齢約13週)を購入し研究に用いた。【結果・考察】マウスEBにおいてCyp3a11及びCyp7a1は肝実質細胞マーカーの多くが検出された培養30日目から発現していた。一方、Cyp1a2は培養初期からすでに発現しており、その発現量は培養と共に減少した。また、ヒト胎児肝細胞では、胎児特異的な分子種であるCYP3A7のみならず、成人肝の主要な分子種であるCYP3A4の発現も確認された。しかし、CYP3A4はデキサメタゾンで顕著に誘導されたが、成人肝において強力な誘導剤であるリファンピシンでは殆ど誘導されなかった。以上の結果より、分化の段階でCYPの発現は一様でなく、分子種により発現調節が異なることが示唆された。
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松下 泰雄, 岩田 率, 山乙 教之, 広野 修一
セッションID: 8S3-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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中川 勉, 岸野 吏志, 菅原 満, 宮崎 勝巳
セッションID: 8S3-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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馬場 隆彦, 戸内 明, 山口 嘉隆, 吉川 剛兆
セッションID: 8S3-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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伊藤 隆志, 増田 宏之, 高橋 雅行, 小田切 優樹, 杉山 雄一
セッションID: 8S3-4
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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医薬品探索過程において,探索検体compound Aの体内動態にラット系統差が存在し,同投与量をSlc:SDラットとCrj:CD(SD)IGSラットに投与した場合,CDラットの血漿中濃度が7-10倍高濃度を示す現象が認められた.肝臓が主要な処理臓器であることから肝臓への取込み過程が上記の系統差に関与していると考え,肝臓への取込みクリアランスを求めたところ,CDラットに比べSDラットにおいて肝臓への取り込みが著しく速いことが明らかとなり,これが系統差に関与している可能性が示唆された.そこで有機アニオントランスポーターに着目し,これらの肝臓での発現量,基質認識性について検討を行ったところ,RI標識compound AはOatp1,2,4の基質にはなるものの,既知のアニオントランスポーターはSDラットとCDラットでほぼ同程度発現していること,その機能に関しても系統差は存在しないことが確認され,これらの既知トランスポーターがcompound Aのラット体内動態の系統差に関与している可能性は少ないことが示唆された.一方,遊離肝細胞を用いた実験から,SDおよびCDラット肝細胞の14C-compound A取込み活性には本質的な差がなく,各系統のラット血漿存在下においてのみ,取込み活性に系統差が現れることが確認された.このような,化合物の取込み過程に対する血漿の影響はin situでも同様に確認された.Compound Aの両ラット血漿における血漿蛋白結合を超遠心法で確認した結果,蛋白結合の解離定数に約15倍の差があることが明らかになり,血漿中濃度推移のラット系統差はほぼ説明可能となった.主結合蛋白と考えられるアルブミンの遺伝子配列を検討したところ,SDラットなどの低蛋白結合率を示す3系統のラットにはalbuminのsite Iおよびsite II付近にアミノ酸変異が認められた.以上の結果よりalbuminの変異に起因する血漿蛋白結合の系統差が薬物動態のラット系統差の原因であることが推察された.
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安楽 誠, 篠原 有祐美, 新塘 里奈, 北村 健一郎, 丸山 徹, 冨田 公夫, 小田切 優樹
セッションID: 8S3-5
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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堺 政和, 坂本 裕一郎, 中城 圭介, 小田切 優樹, 堀内 正公
セッションID: 8S3-6
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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小松 晃之, 土田 英俊
セッションID: 8S3-7
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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大野 泰雄
セッションID: F-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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上田 信彦
セッションID: F-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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長塚 伸一郎
セッションID: F-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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武田 洋
セッションID: F-4
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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立石 満
セッションID: F-5
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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野口 英世
セッションID: F-6
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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池田 敏彦
セッションID: F-7
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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山田 一磨呂
セッションID: F-8
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【緒言】
現在、痛風高尿酸血症治療薬としては、尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロンやプロベネシド及び尿酸産生抑制薬であるアロプリノールが臨床応用されている。アロプリノールは、その活性代謝物オキシプリノールとともにキサンチンオキシダーゼ(XO)活性を阻害し血清尿酸値を低下させる。オキシプリノールのt1/2は30時間前後であり且つ腎臓から排泄されるため、腎機能低下患者においては血漿中濃度の著しい上昇を認め、皮疹やStevens-Johnson症候群等の副作用が報告されている。したがって、アロプリノールは患者の腎機能に応じた減量等の慎重投与がなされている。アロプリノールの薬物治療の問題点を改善するために、現在、非腎排泄型の新規XO阻害薬 1-(3-Cyano-4-neopentyloxyphenyl) pyrazole-4-carboxylic acid (Y-700) を開発中である。1)
今回 14C標識Y-700 をラット、イヌおよびヒトに経口投与したときの薬物動態について検討したので報告する。
【試験方法】
1. 動物試験:雄性SDラット(n=4)および雄性ビーグル犬(n=3)を用いた。14C標識Y-700(放射化学的純度 97.1%、比放射能 0.505 MBq/mg)を単回経口投与(1 mg/kg)したときの血漿、尿および糞中試料を測定した。次いで、雄性SDラットおよび有色ラットを用いて組織内分布を検討した。
2. ヒト試験:健常成人男子(n=6)に14C標識Y-700(放射化学的純度 99%以上、比放射能 0.608 MBq/mg)を単回経口投与(20 mg)したときの血漿、尿および糞中試料を測定した。試験は英国で実施した。
3. 試料測定:試料中の放射能は、液体シンチレーションカウンターあるいは放射能検出器を備えたHPLCを用いて測定した。
【結果および考察】
? ラットおよびイヌにおけるマスバランス試験
ラットにおける投与後120時間までの尿中および糞中排泄率は、それぞれ21.8%および79.8%であった。イヌにおける投与後120時間までの尿中および糞中排泄率は、それぞれ2.9%および96.3%であった。いずれの動物においても主排泄経路は糞中であった。未変化体の尿中排泄率はラットで1.1%、イヌは検出限界未満であった。いずれの動物においても血漿中には未変化体のみ存在し、代謝物は検出されなかった。
? 分布試験
有色ラットにおける組織内濃度は、肝臓>腎臓>血漿>>>眼球の順であり、SDラットと差は認められなかった。眼球の放射能濃度は、血漿の1/10 以下であった。
? 投与放射能の算出と規制当局への対応
分布試験の成績を National Radiological Protection Board (NRPB)に提出して投与放射能量を算出した。その結果、ca 3 MBq (ca 85 Ci)と計算された。被験者一人当たりの被爆量は500 Svであり、International Commission on Radiological Protection’ (ICRP) Guidelines の Category IIa 試験(0.1-1 mSv)に分類された。Investigator’s Brochure等の資料をAdministration of Radioactive Substances Advisory Committee (ARSAC)に申請してマスバランス試験の許可を得た。ARSAC承認からマスバランス試験終了までの期間は3ヶ月間であった。
? ヒトにおけるマスバランス試験
血漿中放射能濃度の tmaxは 1.0-4.0 時間、t1/2は14.4-33.6時間であった。投与後192時間までの尿中および糞中排泄率は、それぞれ45.2%および50.9%であった。投与後24時間までの血漿中には未変化体のみが検出された。尿中には主に未変化体のグルクロナイドが排泄され(22.1% of the dose)、未変化体は検出されなかった。糞中には未変化体が主に排泄された(29.8% of the dose)。
? 単回投与試験(非標識体)2)
健常成人男子(Y-700 n=7, placebo n=3)に Y-700 を経口投与(5-200 mg)したときの血漿中未変化体濃度は用量依存的に増加した。投与後 1-2時間に最高血漿中濃度を示し、t1/2は20.3-24.9時間であった。CL/F、Vss/FおよびCLRは、それぞれ11.82-23.88 mL/min、 19.16-41.74 Lおよび0.04-0.12 mL/minであった。血清尿酸値は用量依存的に低下し、その作用は強力且つ持続的であった。
痛風患者の約30% に何らかの腎障害を認め、さらに、腎機能が低下すると高尿酸血症が高頻度に出現する。前述のように、アロプリノールは患者の腎機能に応じた減量等の慎重投与がなされている。マスバランス試験の結果、ラット、イヌのみならずヒトにおいても、Y-700は、「非腎排泄型」の薬物であることが明らかとなった。また、ヒト特有の代謝物も検出されなかった。Y-700はアロプリノールとは異なり、腎機能低下患者でも投与量を調整することなく安定した尿酸低下作用を示す可能性が示唆された
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山中 陽介, 小林 カオル, 細川 正清, 山本 幸男, 根岸 正彦, 千葉 寛
セッションID: 8B09-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】核内オーファンレセプターであるCARは、CYP2Bをはじめとする薬物代謝酵素の誘導に重要な役割を果たす。一方、CYP2Bの代表的な誘導剤であるTCPOBOPは、マウスCAR (mCAR) のリガンドとしてCyp2b10を誘導するものの、ヒトCAR (hCAR) のリガンドとはならない。また、hCARを活性化するリガンドもほとんど知られていない。そこで本研究では、hCARを活性化するリガンドを見いだすことを目的とし、ヒト初代培養肝細胞においてCYP2B6を誘導することが報告されているHMG-CoA還元酵素阻害薬について、hCARの活性化作用の有無をレポータージーンアッセイにより検討した。【方法】hCARの活性化に関する検討は、ヒト肝がん由来細胞株であるFLC7細胞を用いたレポータージーンアッセイによりおこない、5種のHMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、シンバスタチン)による影響を調べた。 【結果および考察】検討した5種のHMG-CoA還元酵素阻害薬のうち、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンおよびシンバスタチンは、濃度依存的なhCARの活性化作用を示した。一方、プラバスタチンによる活性化作用は認められなかった。4種のHMG-CoA還元酵素阻害薬によるhCARの活性化作用はhCAR依存性の不活性化リガンドであるアンドロスタノールにより阻害された。これらの結果より、プラバスタチン以外の4種のHMG-CoA還元酵素阻害薬(アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンおよびシンバスタチン)がhCARのリガンドとなる可能性が示唆された。また、mCARに対してもフルバスタチン、セリバスタチンおよびシンバスタチンは転写活性化作用を示したことから、これら3種のHMG-CoA還元酵素阻害薬がmCARのリガンドとなる可能性も示唆された。
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関谷 裕次, 高田 智成, 荒津 佑輔, 永田 清, 山添 康
セッションID: 8B09-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】CYP3A4活性は薬物や外来異物により誘導され、併用による薬物相互作用の原因ともなっている。近年、CYP3A4の誘導には核内レセプターであるpregnane X receptor (PXR)のみならず、constitutive androstane receptor (CAR)も関与することが明らかとなっている。しかしながら、そのメカニズムやPXRとの相互作用に関してはまだ不明な点が多い。本研究ではCYP3A4誘導へのCARの関与を明らかにすることを目的とした。
【方法】
CYP3A4遺伝子のプロモーター領域およびエンハンサー領域に存在する核内レセプターの予想結合部位に欠失および変異を施した各種
CYP3A4レポーターコンストラクトを作成して、HepG2細胞に導入し、hCAR有無によるレポーター活性の変動を調べた。また、hCAR有無による各種誘導薬物の誘導パターンへの影響も検討した。
【結果・考察】本研究室では、これまでにhPXRによる
CYP3A4遺伝子の転写活性化には、ER-6やdNR-1以外のシスエレメントとして新規のmIE3A4が重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。本研究ではhCARによる
CYP3A4遺伝子の転写活性化について検討したところ、ER-6の欠失はさほど影響がなかったのに対し、dNR-1あるいはmIE3A4を欠失させると、hCARによる活性が著しく減少した。従って、hPXRと同様にhCARの転写活性化にこれまでに報告のあるdNR-1だけでなく、mIE3A4も関与し、転写を活性化していることが示唆された。また、HepG2細胞を用いての誘導薬物の処理においては、hCARの常在的な活性が存在するため、遺伝子導入による誘導への寄与を明確に判断することは難しいが、誘導薬物間で異なる誘導パターンを示した。
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北村 繁幸, 岡山 幸誠, 原田 亜紀子, 杉原 数美, 太田 茂
セッションID: 8B09-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】インディルビンはTCDDより強いAhRに対する結合性を示し、ヒト尿中より検出されたことより、内在性リガンドとして注目を集めている。本研究では、インディルビンのマウスin vivoでのチトクロームP450の誘導と本化合物の代謝による誘導効果への影響について検討した。【方法】誘導実験では、50mg/kgでインディルビンあるいはインジゴをマウスに経口投与し、肝ミクロゾームにおける薬物酸化活性を測定した。インディルビンのin vivo代謝実験では、ラットに皮下あるいは腹腔内投与し、血液、胆汁、尿および糞中インディルビン量を、in vitro代謝実験ではラット単離肝細胞あるいは肝ミクロゾームとインディルビンを反応させ、残存したインディルビン量をHPLCを用いて測定した。AhR結合活性はAhRを組み込んだイーストを用いて行った。【結果】1)インディルビンはマウス肝ERODおよび MROD活性を亢進した。しかし、その程度はTCDDに比べてかなり低かった。2)ラットに投与したインディルビンは血中より、非常に早く消失した。3)ラット単離肝細胞に対しても、インディルビンは誘導効果を示したが、本単離細胞によっても本化合物はすみやかに消失した。4)インディルビンはラット肝ミクロゾームによって、速やかに代謝分解され、その効果は3-methylcholanthrene誘導ラット肝で最大であった。5)インディルビンの肝ミクロゾームによる反応物はイーストアッセイにおける結合活性が著しく低下した。【結論・考察】インディルビンは強力なAhR結合活性を示すが、生体内で迅速に不活性な化合物に変化することで、内在性リガンドとしての機能を果たしていると考えられる。しかし、詳細な代謝・分解機構あるいはダイオキシンの毒性軽減効果に関しては今後の検討を要する。
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糠谷 学, 高橋 芳樹, 斎藤 鉄也, Frank J Gonzalez, 鎌滝 哲也
セッションID: 8B09-4
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】ダイオキシン類や3-メチルコランスレン (MC) などの多環芳香族炭化水素 (PAH)は,脂質代謝異常および脂肪肝を引き起こすことが報告されている.そこで,我々はこれらの化合物による脂質代謝異常の原因を明らかにするために,DNAマイクロアレイを用いて無処置のマウスとMCを投与したマウスの肝における遺伝子の発現パターンを比較した.その結果,多くの脂質代謝酵素遺伝子の発現がPAHにより抑制されることを見い出した.また,これらの遺伝子は共通して核内受容体であるペルオキシソーム増殖薬受容体(PPARa) の標的遺伝子であったことより,PAHによる脂質代謝酵素遺伝子の発現抑制はPPARaシグナル伝達の抑制により生じている可能性が考えられた.そこで本研究では,PAHによるPPARaシグナル伝達の抑制機構とその分子機構について検討した.【結果および考察】PAHによりPPARaシグナル伝達が抑制されるか否か検討するために,PPARa結合配列を組み込んだレポータープラスミドを用いてレポーターアッセイを行なった.その結果,MC処置によりPPARa結合配列に対するPPARaの転写活性が抑制された.このことより,PPARaシグナル伝達はMCにより抑制されることが示唆された.また,このMCによるPPARaシグナル伝達抑制の原因について検討するためにPPARaおよびPPARaと2量体を形成するレチノイドX受容体(RXRa)のmRNAおよびタンパク質量について検討したところ,MCによりRXRaのmRNAおよびタンパク質量が減少することが明らかとなった.以上のことより,PAHによるPPARaシグナル伝達の抑制の原因はRXRaの発現抑制によるものであり,この抑制がPAHによる脂質代謝異常の原因である可能性が示唆された.
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柴原 憲仁, 都出 健治, 山崎 浩史, 永島 理香子, 伊藤 圭介, 岩野 俊介, 高橋 芳樹, 斎藤 鉄也, 渡辺 昌, 鎌滝 哲也
セッションID: 8B09-5
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
会議録・要旨集
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【目的】ダイオキシン類や多環芳香族炭化水素(PAH)類に曝露された培養リンパ球ではaryl hydrocarbon hydroxylase(AHH)活性が上昇し, その誘導能は大きく三群に分かれること, さらにAHH活性の高誘導能群は肺がんリスクが有意に高いことが報告されている. また, ダイオキシン類やPAH類に曝露されたリンパ球ではCYP1A1やCYP1B1などのCYP1ファミリーが顕著に誘導されることが知られている. これまで, CYP1ファミリーのなかでもCYP1A1はAHH活性の本体であると考えられてきた. AHH活性の誘導能との関連からCYP1ファミリーの誘導能を検討することはダイオキシン類などのがん原物質に対する個人の感受性を評価する上で重要であると考えられる. しかし, ダイオキシン類の曝露が実際にどの程度個体に生体応答を引き起こしているかを定量的に評価する方法は確立されていない. そこで本研究では, ヒトにおけるダイオキシン類曝露による生体応答をCYP1ファミリーを中心として定量的に評価できる方法を確立することを目的とした.
【方法】日本人72名の血液検体よりtotal RNAを抽出しLightCycler
TMを用いて定量的RT-PCRを行った. 塩基配列解析法は直接塩基配列決定法を用いた.
【結果】全検体より抽出したtotal RNAより定量的RT-PCRを行いリンパ球中におけるCYP1A1 mRNAおよびCYP1B1 mRNAの発現を検討したところCYP1B1 mRNAはほぼ全ての検体において発現が認められたがCYP1A1 mRNAは検出限界以下であった. また, 血中ダイオキシン濃度とCYP1B1 mRNA発現量との相関を調べたところ, その誘導能には個人差が存在し三群に分類されることが明らかとなった. これらのことよりリンパ球中におけるAHH活性の本体はCYP1A1ではなくCYP1B1である可能性が示唆された. さらに, CYP1B1 mRNA発現量の個人差に影響を与える原因を解明するため全検体のゲノムを用いて
CYP1B1遺伝子の5'-上流約-5kから3'-UTRまでの塩基配列を解析したが, CYP1B1 mRNAの発現量と相関する変異は存在しなかった. 現在, CYP1B1 mRNA発現量の個人差に影響を与える他の要因について検討している.
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土屋 佑樹, 中島 美紀, 加藤 美紀, 横井 毅
セッションID: 8B10-1
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】CYP1B1は肝以外の臓器において広く発現が認められており、TCDDを代表とする多環芳香族炭化水素の暴露により誘導されることが知られている。本研究では
CYP1B1遺伝子発現に関与する転写調節因子の作用について明らかにすることを目的とした。
【方法】ヒト
CYP1B1遺伝子の5’-上流約2.3 kbまでに、XREのコア配列が8つ存在する。各領域について段階的に欠損させたレポータープラスミドを作製し、HepG2細胞を用いてルシフェラーゼアッセイを行った。また、ヒト
CYP1B1遺伝子の各XREを含むオリゴヌクレオチドをプローブとし、HepG2細胞核抽出液を用いてゲルシフトアッセイを行い、各領域に結合する転写調節因子の検討を行った。
【結果および考察】ルシフェラーゼアッセイの結果、ヒト
CYP1B1遺伝子5'-上流-910/-852の領域で強力なエンハンサ_-_活性が認められた。また、ゲルシフトアッセイの結果より-834 bpのXRE2と-853 bpのXRE3で核内因子の結合が認められ、AhR特異的抗体を用いたスーパーシフトアッセイによりこの因子がAhRであることが示された。そこでXRE2およびXRE3にそれぞれ変異を導入したレポータープラスミドを用いてルシフェラーゼアッセイを行ったところ活性の減少が認められ、これらXRE配列は共にTCDDによる誘導能だけでなく、CYP1B1の常在的な発現にも関与していることを明らかにした。また、XRE2の近傍-824 bpに転写因子Sp1が結合することが見出され、XRE2、XRE3およびSp1様配列を含む領域で強い転写活性化が認められた。従ってこれらシスエレメントに結合する転写因子が相互に作用してCYP1B1の発現に関与していることが示唆された。
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木村 美由紀, 山崎 浩史, 藤枝 正輝, 清谷 一馬, 室井 麻美, 猿渡 淳二, 中川 和子, 石崎 高志, 鎌滝 哲也
セッションID: 8B10-2
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】 カフェインは CYP1A2 および NAT2 などの薬物代謝酵素の表現型を評価することができるプローブドラックとして古くから利用されてきた.我々はカフェインの 2 次代謝反応の 1 つである 1,7-Dimethyluric acid (17U) 生成反応に CYP2A6 が関与することおよび
CYP2A6 遺伝子多型が本反応に大きな影響を及ぼすことを明らかにした (第 17 回本年会).本研究ではカフェインテストを用いた CYP2A6 のフェノタイピングが可能であることを見出したので報告する.【方法】 健常人ボランティアよりインスタントコーヒー飲用前後の尿を採取した.尿中カフェイン代謝物を HPLC 法により定量し,CYP2A6 酵素活性の指標となる CYP2A6 index を算出した.被験者の末梢血より DNA を調製し,
CYP2A6 遺伝子型を PCR-RFLP 法,アリル特異的 PCR 法またはハイブリダイゼーションプローブ法により判定した.【結果および考察】 CYP2A6 index には約 12 倍の個人差が認められた。全欠損型変異である
CYP2A6*4 をホモまたはヘテロ接合体で有する被験者の CYP2A6 index は,野生型である
CYP2A6*1 をホモ接合体で有する場合と比較して有意に低値を示した.このことから,カフェインテストを利用して日本人の CYP2A6 フェノタイピングができることが示唆された.CYP2A6 はテガフールおよびファドロゾールなどの抗がん薬の代謝的活性化および解毒化にそれぞれ関与する.したがって,カフェインテストを利用した簡便なフェノタイピングは,これらの抗がん薬の投与設計に応用できる可能性が考えられた.
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清谷 一馬, 藤枝 正輝, 山崎 浩史, 島田 力, Guengerich FP, Parkinson A, 中川 和子, 石崎 高志, 鎌 ...
セッションID: 8B10-3
発行日: 2003年
公開日: 2004/01/08
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【目的】CYP2A6は臨床的にも毒性学的にも重要なCYP分子種である.これまでに,in vivoおよびin vitroにおいてCYP2A6の活性には大きな個人差が存在することが報告されており,その一部は現在までに報告されている既知のCYP2A6遺伝子多型で説明することができる.しかしながら,その個体差のすべてを既知のCYP2A6遺伝子多型だけで説明することはできず,新規CYP2A6遺伝子多型が存在する可能性が考えられる.そこで本研究では,新規CYP2A6遺伝子多型を探索することを目的とした.【方法】日本人33名および欧米白人28名のCYP2A6遺伝子の全9エクソン領域,エクソン-イントロンジャンクション,5’-上流領域および3’-非翻訳領域をダイレクトシークエンス法により網羅的に解析した.【結果および考察】4種類のアミノ酸置換 (G5R,S29N,K194EおよびR203S) を伴う変異 (13G>A,86G>A,2134A>Gおよび2162C>T),1種類の5’-上流領域の変異 (−395G>A),1種類のサイレント変異,4種類の3’-非翻訳領域の変異および11種類のイントロン領域の変異の計21種類の一塩基置換型多型(SNP)を見出した.アミノ酸置換を伴う変異および5’-上流領域の変異についてハプロタイプ解析を行い,CYP2A6*13-*16および*1Cの5つの新規CYP2A6アリルを見出した.また,これらのアリル頻度には人種差が存在することが示唆された.このうち,CYP2A6*15および*16について,大腸菌発現系を樹立し機能解析を行なった.CYP2A6.15 (K194E) およびCYP2A6.16 (R203S) のクマリン7-水酸化酵素活性に対するVmax/Km値は野生型の約半分であった.
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