(1)
Passiflora edulis (紫花品) の気孔は, 幼軸, 子葉, 葉身裏面, 葉柄, 茎, 茎巻ひげおよび外果皮に分布する.しかし, 葉身上面および葉旅には気孔はない.
(2)
P.edulisの気孔の構造は2個の腎臓形の孔辺細胞からなる第2の型である.幼軸, 子葉, 葉身の気孔副細胞はそれぞれ各部の表皮細胞と同形同大で2個であるが, 葉柄, 茎では通常4個で小形である.
茎巻ひげでは副細胞の数および形状には前記2型が併存し, 外果皮上では, 副細胞は通常6個で, 小形の外果皮表皮細胞と同形である.
(4) 幼軸, 子葉, 葉身, 茎, 茎巻ひげ, 外果皮の気孔分布は均等である.葉柄では, 基部にはほとんど欠除し, 先端に移行するにしたがい分布は密となる.また葉柄下面は上面より密度大である.
茎では, 2年生以上の老茎では周皮形成の為に, 残存表皮の偏在する結果, 気孔分布は不均等となる.その程度は老茎ほど甚だしい.
(4) 葉身および外果皮の気孔の配列は任意の方向をとる.しかし, 他の器官または部分では一定方向をとる.すなわち, 子葉では子葉長軸の方向をとり, その他では, 導束に平行な方向に配列される.
(5) 気孔分布密度は, 葉身, 子葉下面, 同上面, 1年生茎, 幼軸, 茎巻ひげ, 外果皮, 葉柄の順に小さくなる.1mm
2中の気孔の数はそれぞれ352.2, 188.0, 55.2, 44.8, 27.2, 20.0, 15.1および (3~5) である.
(6) 茎肥大成長に伴う周皮形成は表皮から発生しかつ部分的であり, 表皮は長年にわたつて部分的に残存する.ゆえに6年生以上の老茎もなお, 気孔を保有する.しかし周皮形成の進むに従い, 漸次気孔は機械的に破壊されて行く.
(7) 気孔の大きはさ, 存在する器官または部分によつて異なる.茎表皮では, 気孔は茎の肥大成長に伴てつ漸次大きさを増加する.
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