イソド稲に対する窒素肥料の種類が生育収量におよぼす影響とその適応土壌条件について, 1962~1963年セイロン農務局植物部で行なった.結果の概要は次のごとくである.
1.強酸性ラテライト性土壌においては, 硫安の肥効がほとんど認められず, 尿素が明らかに勝さった.
2.塩基置換容量の小さい酸性ラテライト性土壌では, 水稲に対する窒素施用の効果が少さく, とくに酸性窒素肥料は土壌中に生成する硫化水素による根系障害によって肥効は極めて少ない.他方, 酸性ラテライト性土壌でも塩基置換容量が大きい場合は, 窒素施肥の効果が大きく, 肥料の種類による差も小さい.
3.強酸性ラテライト性土壌や砂質老朽化水田土壌では, 硫安の施用によって土壌が酸性化し硫化水素の生成が促進され, 水稲根の生理的活力が低下し, 窒素の吸収が劣り, 稲体炭水化物代謝が乱されることが明らかにされた.
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