1.インド・アッサムにおけるチャの栽培種について, 肉眼的観察によつて形態の異なるもの12種 (アッサム種) を選択し, さらにナガタイプや中国種などを供試材料として葉の形態学的比較調査をおこなつた.
2.アッサム栽培種の葉の大きさは著しく変異に富んでいたが一般に中国種より大きい傾向にあつた.
3.葉形では長さと幅の比が2: 1からおよそ3: 1までで, 楕円形から倒披針形に近い連続的の変異を示し, ナガタイプおよび中国種は長楕円形に近い形状を示した.日本に生育する中国種もかなりの変異がみられ, 葉形の上からはアッサム栽培種と中国種の明確な区別は困難であつた.
4.ナガタイプは台湾産野生チャと葉形がまつたく類似していた.この両種は地理的分布からみて東西にかけ離れているが, おおむね緯度線で一致している.
5.側脈数について, 一般に中国種は5~10対を有し, アッサム栽培種は9~12対でほとんど葉の大きさに比例して多少がきまつている傾向にある.葉尖についてはナガタイプや中国種は顕著な鋭尖頭であるが, アッサム栽培種はほとんど尾状を有した鋭尖頭ないし鋭頭であつた.また葉脚についてアッサム栽培種は鋭脚ないし鈍脚で, ナガタイプや中国種は楔脚であつた.日本に生育する中国種にも鋭脚ないし鈍脚がある.
6.以上の結果, 葉の形態学的調査からはアッサム栽培種と一般の中国種とでは葉の大きさの差異を除いて, とくに著しい差異は認められなかつた.しかし供試した材料はアッサム雑種とも考えられるので, 今後は野生チャとしてのアッサム種との比較を試みなければならない.
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