インドにおけるイネノシントメタマバエの発生と加害の実態について調査した.タマバエの被害は中央稲研究所で59%, Chakli農場で85%以上であった.しかし, 一般農家ほ場では本虫の被害は少なく0~3%程度であった.試験ほ場の被害が著しいのは, 栽植密度が高いため単位面積当りの茎数が多いこと, タマバエ感受性系統イネが大規模に栽培されていること, 一年中イネが栽培されているのでタマバエが年中発生していることなどがその理由であろう.調査各地ともタマバエが主要害虫であった.中間寄主植物は
Mnesethia laevisと野生稲が重要で, 前者ではタマバエは6~7月に羽化し, 7月上旬が発生ピークであった.野生稲はタマバエ常発地に自生しており, 本虫の発生と関連深いことがわかった.栽培条件によりタマバエの発生を或る程度抑圧できる可能性が示唆された.また, 乾期から雨期はじめにかけてタマバエの生態学的研究が重要であることを指適した.
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