熱帯農業
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26 巻, 4 号
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  • 第3報サトウキビの乾物生産と最適葉面積指数について*
    島袋 正樹, 工藤 政明, 玉城 光一, 宮城 幸照
    1982 年 26 巻 4 号 p. 193-197
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    沖縄で標準栽培されたサトウキビ品種個体群において, 最適葉面積指数を推定した結果, 品種間差および栽培型間差が認められた.葉面積指数が大となっても純同化率の低下率が小さい品種は最適葉面積指数が大となり, 最大CGRも高くなると考えられた.葉身傾斜角と葉高はその関連形質と考えられた.
  • Vフィリピン国の果樹の栽培技術の推移
    岸本 修, 石畑 清武
    1982 年 26 巻 4 号 p. 198-207
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    自給的農業を営む北部離島のバタネス, 1975年から日本向け輸出が始まったマニラ周辺のマンゴー果樹園, 多国籍企業も参加し最先端の技術を駆使するミンダナオのバナナのプランテーションの3地域を, アンケート調査などにより, 果樹栽培の発展過程を検討した.
    自給的果樹農業では, 現在も無農薬, 無化学肥料の栽培であった.各農家には, 四季成り性のココヤシ, バナナ, パパイア, パイナップルが多く植えられ, 一季成り性のマンゴー, アボカドなどは少なかった.
    輸出用マンゴー園に普及した最初の技術は, 農薬散布による果実品質の向上で, 数年を経ても肥料は調査果樹園の半数ほどで施用されているのみであり, 整枝せん定は, 木を引き倒して樹高を低下させる段階であった。
    バナナのプランテーションでは, 農薬, 肥料の完全施用とともに, 徹底したせん定としての吸枝の除去 (remove of sucker) が実施されていた.
    以上の調査から, 輸出用の果樹栽培の発展過程は, 農薬, 肥料, 整枝せん定の順序となっていた.国際協力には, こうした各発展段階の技術をセットとして提供することが望ましい.
  • 第14報サトウキビ諸形質の地域間変動
    永冨 成紀, 羅 傳成, 前田 浩敬
    1982 年 26 巻 4 号 p. 208-217
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    サトウキビの世界の代表的26品種を供試し, 種子島 (温帯) と台湾 (亜熱帯) の両地域において共通栽培して, 諸形質の地域変動および品種群の生態型反応を解析した.
    栽培地が移れば同化系 (Source) は光環境に適応した形態変化を示し, 茎型 (Sink) もそれに対応して同一傾向の地域順応を現わし, かつSourceと機能的に対応するSinkとの間には高い正の相関々係があった.他方, 品種生態型とその育成地の緯度との間にも密接な関連性を認め, これは育成地の環境に対する地域適応と考えられた.作物の地域順応ならびに地域適応型の両観点から, 生態育種における品種の適性判定に役立つ示標形質を明らかにした.
  • 第15報サトウキビ品種の地域生態型の分類
    永冨 成紀, 前田 浩敬, 羅 傳成
    1982 年 26 巻 4 号 p. 218-228
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    種子島と台湾両地域において夏植で共通栽培されたサトウキビ26品種を供試して, 品種生態型の分類および品種群の地域生態型反応を検討する目的で, 主成分分析を適用し解析した.
    分析は, 葉部, 茎部, 収量および蔗汁質に関する30, 21, 17, 12, 8形質を選択したが, 必要最少限度の形質は12形質であった.地域ごとの分析の結果, 第1主成分は地域適応型, 第2主成分は収量性と関連し, 2地域を通じて共通した成分が得られた.第1, 2, 主成分によって品種の分類を試みたところ, (A) 熱帯型, (B) 亜熱帯型, (C) 温帯型, (D) 少収型, (E) 多収型の5群に類別された.両地域プールした分析では4群に分類され, 栽培地域を温帯から亜熱帯へ移動した場合の品種群の地域生態反応には, 各群内で類似の方向性が認められた.
  • 第16報サトウキビ収量構成要素の解析
    永冨 成紀, 前田 浩敬, 羅 傳成
    1982 年 26 巻 4 号 p. 229-238
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    サトウキビの最終産物である可製糖量の増収要因を究明するために, 回帰分析および径路分析を適用して, 温帯および亜熱帯における高糖, 多収性品種の理想型 (ideotype) を解明した.
    供試した26品種を生態型に分類して葉面積当りの原料茎重の生産効率を検討すれば, 温帯では温帯型品種の生産効率が最も高く葉面積 (LAI) 拡大の潜在力も高く, 次いで亜熱帯, 熱帯型であった.亜熱帯においては亜熱帯, 温帯, 熱帯の各品種群の順であった.径路分析により明らかになった温帯の高糖多収性品種の理想型は弱光, 斜光条件下で受光態勢にすぐれ生産効率の高い草型で, 葉数増により葉面積の拡大を計り, 早期伸長性, 茎数型の栄養生長期間の短かい品種であった.亜熱帯では地域性に立脚した草型鉢要しないが, 長い生育期間を通じて葉面積の拡大と維持が必要であり, 茎の伸長性に富む茎重型品種を理想とする.
    各地域における今後の生態育種の方向性が詳細に論考された.
  • 3.スーダンの極度の高温乾燥下における稲の肥料反応
    松島 省三, 池和田 寿, 前田 昭男, 本間 進, 二木 光
    1982 年 26 巻 4 号 p. 239-247
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    中部スーダン砂漠の稲作開発予定地において, 肥料要素試験, 窒素適量試験および窒素施用時期試験などを行った結果, 次のことが判明した.
    1.この地の稲作には窒素が特に必要であって, 燐酸・加里および硫黄の効果はみられなかった.
    2.窒素肥料のみで, この地の稲作は可能であるとみられるが, 実際の栽培では, 燐酸を窒素の半量ほど加えるがよいとみられた.
    3.加里の効果のなかったのは, この地の表土と灌がい水に加里が多量に含まれていることによるが, この事実は熱帯の水田では, 特殊な水田を除けば, 一般に認められることである.
    4.第1図および第2図に示すように, 収量は施用窒素量の増加に伴って増大した.しかし, この試験の範囲内では, 150kg/ha窒素が収量の有意差検定からも経済的見地からも, 適量であると認められた.
    5.少量の施用窒素の場合には, 差はみられなかったが, 多量の窒素を施すと, 基肥全量施用より分施が有利であり, 特に基肥と頴花分化期の追肥の二回分施が最適であろうとみられた.
    6.要するに極度の高温乾燥下においても, 稲作上の肥料反応には, 著しい特異性はみられないと云えよう.
  • 南坊 進策
    1982 年 26 巻 4 号 p. 248-258
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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