中部スーダン砂漠の稲作開発予定地において, 肥料要素試験, 窒素適量試験および窒素施用時期試験などを行った結果, 次のことが判明した.
1.この地の稲作には窒素が特に必要であって, 燐酸・加里および硫黄の効果はみられなかった.
2.窒素肥料のみで, この地の稲作は可能であるとみられるが, 実際の栽培では, 燐酸を窒素の半量ほど加えるがよいとみられた.
3.加里の効果のなかったのは, この地の表土と灌がい水に加里が多量に含まれていることによるが, この事実は熱帯の水田では, 特殊な水田を除けば, 一般に認められることである.
4.第1図および第2図に示すように, 収量は施用窒素量の増加に伴って増大した.しかし, この試験の範囲内では, 150kg/ha窒素が収量の有意差検定からも経済的見地からも, 適量であると認められた.
5.少量の施用窒素の場合には, 差はみられなかったが, 多量の窒素を施すと, 基肥全量施用より分施が有利であり, 特に基肥と頴花分化期の追肥の二回分施が最適であろうとみられた.
6.要するに極度の高温乾燥下においても, 稲作上の肥料反応には, 著しい特異性はみられないと云えよう.
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