シリカゲルを用いた種子の乾燥処理が, 乾燥後のTTC呈色反応, 発芽率, 種子活力及び種皮裂傷に及ぼす影響を調査した.供試材料として, ダイズ品種“タマホマレ”を用いた.乾燥処理を行う前に, 種子の水分含量を約14%に調整し, その後5通り (重量比5: 1, 10: 1, 20: 1, 30: 1, 50: 1) の種子とシリカゲルの比率を用い乾燥処理を行った.種子の水分含量が6%になった時点で, 前記の4つの項目について調査した.
種子とシリカゲルの比率の違いにより種子の乾燥速度は有意に変化した.すなわち5: 1で最も速く, 種子とシリカゲルの比率が大きくなるに従って遅くなった.TTC呈色反応と発芽率は, どの処理間においても有意差は認められなかったが, 種子活力は5: 1, 10: 1, 50: 1において有意に減少した.また, 種皮裂傷は, どの処理においても有意に増加した.しかし, 種子活力と種皮裂傷との間に相関は認められず, 活力の低下には, より本質的な要因, 例えば乾燥期間中の種子内の微細構造の変化などが関与している可能性が示唆された.
以上の結果より, 種子の発芽力と活力とを考慮すると, 20: 1または30: 1の比率がダイズ種子の乾燥処理を行う際, 最適な種子とシリカゲルの比率といえる。この方法による種子乾燥は, 湿潤熱帯の種子乾燥に関する種々の問題を解決するために有用であると考えられる.
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