熱帯農業
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37 巻, 4 号
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  • 米田 和夫, 百瀬 博文, 窪田 聡
    1993 年 37 巻 4 号 p. 259-263
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    コチョウランの花粉塊をシリカゲルとともに密閉し, あるいはアセトン, ニトロメタン, tert-酢酸ブチル, エチルエーテル, キシレン, トルエン, ニトロエタン, ベンゼン, n-ペンタンのいずれかの9種類の有機溶媒中に浸漬貯蔵し, その生存と表面構造および貯蔵花粉塊を用いた交配による種子形成ならびにプロトコーム形成に対する影響について検討した.
    1. ニトロエタン, アセトンに8カ月間以上貯蔵した花粉塊の生存は約40%を維持していた.
    2. シリカゲルに貯蔵した花粉塊は2カ月後から急激に生存率が低下し, 6カ月後には完全に枯死した.
    3. 貯蔵期間が長く, 生存率の低下した花粉塊の表面構造は新鮮花粉塊に比べて平坦状となった.
    4. 1年間以上, tert-酢酸ブチルやベンゼンに貯蔵した花粉塊を用いた交配により, 結実が認められた.これらの莢の肥大は新鮮花粉塊のものに比べて若干劣っていた.
    5. エチルエーテル, アセトン, tert-酢酸ブチルで16カ月間貯蔵した花粉塊による交配から得られた種子はプロトコームを形成した.
    6. 以上により, コチョウランの花粉塊保存については, 従来のシリカゲル・低温貯蔵よりも有機溶媒貯蔵の方が生存, 結実, 種子発芽からみて, tert-酢酸ブチル, ベンゼン, エチルエーテルなどで1年間以上であり, 優れていることが明らかになった.
  • 杉村 順夫, 鎌田 信夫, ロカット デモクリト A., サルド クリスティーン D., セニーサ ミルナ S.
    1993 年 37 巻 4 号 p. 264-268
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ココヤシ品種‘Spicata’は花序の1次分枝を欠き, 主軸に多数の雌花を着生する.収集した‘Spicata’を北ミンダナオ島で育成し, 早晩性, 雌花の着生数, 花序の出現数, 果実の収量, コブラ重, コプラの脂肪含量とその脂肪酸組成について調べた.1花序に着生する雌花数は著しく多いが, 結実率が低く成熟果実まで発達する数は限られていた.平均して, 花序当り125個の雌花が着生して, 4.5個の果実しか収穫できない.この特徴を除けば, 他の特性は普通品種である‘Laguna’と顕著な差がなかった.‘Spicata’の個体当りの年間油脂生産量は10~15kgであると推定される.
  • チャカタカーン ソムチャイ, 西山 喜一, 田辺 猛
    1993 年 37 巻 4 号 p. 269-276
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    C4植物であるアマランサスについて高い土壌水分条件下における適応能力を知るために下記の実験を行ない, 休耕田の転作作物としての適応を検討した.
    供試した種類はGrain AmaranthusのAmaranthus caudatusA.hypochondriacus 2種とVegetable AmaranthusのA.tricolor 1種, 計3種であった.これら3種につき1/2000a Wagner's potを用い, 播種から収穫までの土壌水分を60~70%, 80~90%および95~100%の3段階に設定して栽培し, 地上部および地下部の生育並びに収量について調査した.
    結果は次の通りであった.
    1) A.hypochondriacusおよびA.tricolorの両種は, 土壌水分条件の差が根系の発育に大きな影響を及ぼした.また.土壌の高い水分条件下でも良い生育と収量が得られたため, 環境変化に対する適応性の高い種類と考えられ, 休耕田の転作作物として導入できると推察した.
    2) 一法, A.caudatusでは根系の発育に変化が少なく, 土壌水分が高くなると生育・収量ともに低下することが知られ, 休耕田の転作作物としては不適と判断した.
  • 高垣 美智子
    1993 年 37 巻 4 号 p. 277-283
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    播種後100日のトウガラシ属4品種を用いて, 屋外の人工気象室内を使用して, 夜温を一定 (22℃) として昼温 (6: 00~18: 00) を3段階 (37℃, 32℃, 27℃) に変えた処理を7日間与え, 昼温が相対生長速度, 純光合成速度および蒸散速度におよぼす影響を調査した.
    蒸散速度は, 昼温が高くなると大きくなった.純光合成速度は, 蒸散速度の変化と対応せず, 昼温と果実生長の両方の影響を受けていたと考えられた.
    昼温の変化に伴う相対生長速度の変化は, 品種により異なっていた.昼温が高くなったとき生殖生長と栄養生長のどちらに生長が偏るかは, 器官によるsink能の差異によっており, 果実の生育段階と大きさによる影響が最も大きかった.未成熟果実を付けた植物体では, 果実の小さな品種は栄養生長に偏り, 果実の大きな品種は果実の生長に偏った.
  • スサント スラメト, 中島 芳和, 長谷川 耕二郎
    1993 年 37 巻 4 号 p. 284-289
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ハウス栽培土佐ブンタン幼樹の花および果実にジベレリン (GA) , ベンジルアミノプリン (BA) およびコハク酸ディメチルヒドラジド (SADH) を単独またはそれらを幾らかの組み合わせにして1990年と1991年に散布した.散布濃度 (ppm) はGA20, BA200およびSADH1000であった.GA+BA液を開花後1ないし2か月目に散布した果実は大きかったが, 同じ時期のGA, BAおよびSADHの単独散布では, 果実に対する肥大効果は無かった.果柄部のネック形成はGA散布と関連していた.GAおよびSADHの単独散布は果肉品質に効果的でなかった.開花後2か月目の果実にBAを散布すると果汁の全可溶性固形物含量はやや増加した.酸含量は全ての実験の処理間に有意差を示さなかった.
  • 山西 オズワルド潔, 中島 芳和, 長谷川 耕二郎
    1993 年 37 巻 4 号 p. 290-297
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ビニルハウスの中で成育している3年生の土佐ブンタン幼樹の主枝を1990年11月中旬に細い針金で括約した。括約処理は1, 3および20か月継続した.1991年には処理樹の花房数, 花らい数および開花数は無処理樹よりもかなり多かったが, 括約処理の区の間には有意差は無かった.1992年には, それらの生殖器官数は20か月処理区で他の区よりも多くなった.結果率は無処理樹よりも処理樹で低かったが, 括約処理の区の間には有意差はなかった.針金リングを外した後の凹みは1か月および3か月処理とも主枝の急速な肥大に伴って5月下旬までに回復した, 一方, 20か月処理の主枝肥大は他区の主枝肥大に比べて劣った.8月下旬に採取した春葉の糖, 全炭水化物含量およびC-N率は括約処理の期間が長くなるにつれて高くなった, 20か月処理の果実は他区に比べて果重が低く, 果形が腰高で, 果皮の催色が速く, 果汁の全可溶固形物含量が高かった。
  • コリム モハマッド アブドゥル, 縄田 栄治, 重永 昌二
    1993 年 37 巻 4 号 p. 298-304
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    六倍体ライコムギ (XTriticosecaleWittmack) の異なる生育段階における耐塩性を検討するため, 2品種‘Welsh’および‘Currency’を用い, 幼苗期, 分げつ期, 穂ばらみ期, 出穂期および乳熟期に0, 100および200mMのNaCl水溶液をかん水処理するポット試験をガラス室内で実施した.その結果, どの処理の場合も‘Currency’の方が‘Welsh’よりも子実収量が高かった.処理区の子実収量を対照区の子実収量の百分率で表した指標で比較すると, 分げつ期および乳熟期に100mMのNaCl水溶液で処理した場合には, ‘Currency’は‘Welsh’よりも耐塩性が高かった.また200mMのNaCl水溶液を分げつ期以外のどの生育段階に処理した場合も, ‘Currency’は‘Welsh’よりも耐塩性が高かった.穂ばらみ期および出穂期に100mMまたは200mMのNaCl水溶液で処理した個体は, 子実収量に関して高い感受性を示した.幼苗期に200mMのNaCl水溶液で処理した個体も子実収量に関して感受性を示した.いずれの濃度による処理の場合も, 乳熟期における処理は収量への影響が最も小さかった.塩水処理により葉中のNa, KおよびClイオンの濃度の増加がみられたが, これらの濃度は一般に早期生育段階において高い傾向を示した.
  • チナウォン ソンバット
    1993 年 37 巻 4 号 p. 305-307
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 後藤 隆郎
    1993 年 37 巻 4 号 p. 308-315
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 杉村 順夫
    1993 年 37 巻 4 号 p. 316-321
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 西沢 利栄, 土谷 彰男, ピント マリア・マダレーナ・ヴィエイラ
    1993 年 37 巻 4 号 p. 323-330
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 廣瀬 昌平
    1993 年 37 巻 4 号 p. 330-334
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    In Indonesia, it is estimated that there are about 20 million hectares of Alang-alang land, which were caused by shifting cultivation and a decline of soil fertility under growing population pressure. If Alang-alang land can be utilized for extending arable land, this approch expects to be an alternative to extend the transmigration sites without clearing the virgin forest. In this report, some technologies for eradicating Alang-alang grass and rehabilitating that land as a permanent field were discussed by taking the case of South Kalimantan.
  • 井上 真
    1993 年 37 巻 4 号 p. 334-336
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    In the tropical forest areas the endogenous development mechanisms would be hardly formed, because the areas have been under the influence of exogenous economic forces as the areas have been the periphery regions in the periphery countries. The patterns of changes in forest utilization in the tropics, however, do not seem to be uniform. This paper describes and considers the changes in swidden agriculture and the customary law concerning the utilization of the forest products, based on the field surveys at the Kenyah Dayak and the Buginese villages in East Kalimantan, the Wana villages in Central Sulawesi and a village in Siberut island.
    Traditional types of swidden agriculture, which produce subsistence crops under the condition of the low population density, whether recurrent type or pioneer type, seem to change toward unsustainable land utilization in the course of economic development along with population increases and the infiltration of cash economy, because the practices concerning the use of swiddens are not so strict as customary law would imply.
    In utilizing the forest products, it is crucial whether the customary law has developed well or not before going through the economic development. The areas where the customary law have developed well will possibly develop endogenously, or form the conditions, suitable to peculiar ecosystems, for everybody as individual human being to make good use of the possibilities through satisfying the basic human needs based on their own tradition, referring to exogenous knowledge, technology, institution, etc.. Even in the society with elaborately developed customary law, however, it is uncertain how long the customary law will be effective, because of the contradiction with the national law and the influence of radical economic development. It seems necessary to form the system where forest dwellers could manage the forests with the assurance of the long term right of utilization.
  • 1993 年 37 巻 4 号 p. 337-340
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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