熱帯農業
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38 巻, 2 号
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  • 本村 恵二, 松園 達也, 石嶺 行男, 赤嶺 光
    1994 年 38 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    イネにおける雄性不稔細胞質を分類するために, 野生稲由来の12細胞質雄性不稔系統RT2S, RT4S, RT7S, RT18S, RT41S, RT80S, RT81S, RT124S, RT132S, RT134S, RT142SおよびRT153Sが被検定親として供試された. また, 検定親として5稔性回復系統RT61F, BTF, RT98F, RT100FおよびRT102Fが用いられた. いずれも連続戻し交雑法により育成された台中65号の同質遺伝子系統であり, RT61FおよびBTFは同一の稔性回復遺伝子をもつが, 他の稔性回復系統はそれぞれ異なる1対の遺伝子をもっている. これらの間で交雑を行い, F1の花粉および種子稔性を調査して細胞質の分類を行った. ただし, 花粉の稔・不稔の判定は一部を除いて困難であったため, 分類には主として種子稔性が用いられた. 種子稔性は不稔 (10%以下) , 低稔 (10~50%) , 高稔 (50~90%) , 正常稔 (90%以上) の4段階に分けられた.
    その結果次のように分類できた. (1) RT18SおよびRT153Sはすべての稔性回復系統とのF1で正常稔を示した. (2) RT4Sはすべての交雑で完全不稔を示した. (3) RT2S, RT7S, RT41S, RT132SおよびRT134Sは, RT61FおよびBTFとの交雑で不稔, RT98F, RT100FおよびRT102Fとの交雑で高稔を示した. (4) RT80SおよびRT124Sの2系統はRT61FおよびBTFとの交雑で完全不稔, RT98Fとの交雑で高稔, RT100Fとの交雑で低稔, RT102Fとの交雑で完全不稔に近い稔性を示した. (5) RT81SおよびRTI42Sの2系統はRT61FおよびBTFとの交雑でともに完全不稔を示し, RT98Fとの交雑で低稔, RT100FおよびRT102Fとの交雑で完全不稔に近い稔性を示した. 以上は種子稔性による分類であったが, 花粉稔性ではRT18SおよびRT153SのF1は配偶体型の細胞質に特有の半稔性を示したのに対してその他の系統のF1は全て種子稔性に関係なく完全稔を示した.
  • チャカタカーン ソムチャイ, 田辺 猛, 太田 保夫
    1994 年 38 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    アブシジン酸 (ABA) の種子浸漬濃度の相違がアマランサスの生育・収量に及ぼす影響について検討した.
    ABAの処理濃度は0, 0.1, 1, 10, 100および1, 000ppmの6段階とし, 種子浸漬処理を30時間行った.その結果,
    (1) 地上部の生長への影響についてみると, ABA低濃度処理区は, 種子発芽や生育初期の草丈, 生葉数, 生葉重, 基部茎径および主茎重が促進された.しかし, ABA高濃度処理区の1, 000ppm区では, 種子発芽や初期生育が抑制された.なお, 高濃度処理区では, 生育後期に急激に伸長し, いずれの区より生育が勝った.
    (2) 地下部の根系についてみると, いずれのABA処理区も対照区より根の生長は促進され, 処理濃度の高い区の根の生長や側根の発生が著しかった.
    (3) ABA種子処理は, アマランサスの葉の葉緑素濃度を高めた.なお, ABA処理濃度の高い区ほど葉緑素濃度が高く保持され, 生育後期の下葉の枯れ上がりも少なかった.
    (4) ABA種子処理は, 生育後期の基部茎径の肥大と根系の発達により倒状防止に効果的であることが示唆された.
    (5) アマランサスの穀実収量は, いずれのABA処理区も対照区より増収した.特に100, 1, 000ppm区は対照区より, 27.4%, 42.2%それぞれ増収した.
    以上の結果, 従来ABAは植物の生長を抑制するホルモンとされており, 本研究におけるアマランサス種子へのABA高濃度処理では, 発芽及び初期生育の生長抑制がみられた.しかし, ABA低濃度種子処理区では, 生育初期から生育後期まで地上部および地下部の生長を促進した.従って, ABAの植物に対する効果は生長抑制のみではなく, 低濃度の処理では生長を促進することのあることが明らかになった.
  • 第1報 インド, デカン高原バーティソル地域における改良営農技術の導入試験
    西村 美彦
    1994 年 38 巻 2 号 p. 103-112
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    グルバルガ県はインド, カルナタカ州のデカン高原に位置しバーティソル土からなる熱帯半乾燥地域にある.バーティソルは粘土を多く含み, 水の得られる雨期に圃場管理がやりにくいという営農にとっては問題土壌である.そのためここでの伝統的な農業は乾期のソルガムと1年通して栽培されるキマメ栽培が主流となっている.しかしこれだけでは小規模農家にとって十分な収入とはいえない.この伝統的農業に改良可能な技術を導入して増収をもたらすためには, 40%しかない雨期の作付けを増やすこと及び混作等による面積当たりの増収を図ることで可能となる.そこで同県ハルハタバード村で農家の畑を使って低コストの改良農法である改良バーテイソル営農技術 (IVMT) の導入試験を行った.試験農家圃場は同一集水系 (ウオータシェド) として降水の排水と土壌侵食を考慮して100cmベッドの広幅畦立てを圃場内に施し, 改良作付け体系を農家に導入した.そしてこの効果をしらべるため周辺の農家から同様な作付けをしている伝統的農法を調査し, IVMTとの生産面, 技術面を比較した.これによっと乾期ソルガムの前作に緑豆の栽培を導入した2毛作の場合132%の増収益があった.また混作としてキマメにゴマを導入した場合215%の増収益があった.さらにキマメの単作もIVMT農法で栽培した場合, 伝統的農法より239%の増収益があり, 経済的に一番有利であった.即ちIVMTが作付け体系による増収効果と栽培技術の向上をもたらすことが分かる.ただしIVMTは個々の技術が総合的にまとめられパッケージされたものであるために, 技術のどの部分が効果を発揮したかを知ることは作物の種類, 年の気候条件によっても異なり難しい.またIVMTの中心となっている集水系単位水管理と広幅畝立て法はトロピカルターの使用により初期投資として182ルピー/ha必要であることが分かり, これはキマメの栽培純利益の4.3%, ソルガムの7.7%に過ぎず, 容易に農民が受け入れ得る経費であることが分かった.
  • 石畑 清武, 伊藤 三郎
    1994 年 38 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    南九州で栽培しているアセロラの開花時に生長調節剤ジベレリン (GA) 及び4-chlorophenoxy acetic acid (4-CPA) が果実品質に及ぼす影響を検討した.
    果実の熟度別では, ビタミンC含量は未熟な果実 (淡緑色着色) 程多く含まれ, 熟度が進むほど低下した.ビタミンC含量の最大値は未熟果で, GA1OOppm処理のとき2, 965mg/100g, 適熟果 (赤色着色) で, GA処理100ppm処理のとき2, 590mg/100gであった.4-CPA処理では最大値が未熟果でみられ7.5ppm処理のとき2, 710mg/100gであり, 適熟果では5.0ppm処理のとき2, 105mg/100gであった.
    適熟果の果実重, 可食歩合, 果汁歩合及び糖度のそれぞれの最大値はGA100ppm処理で得られた.果実品質向上に及ぼす効果は4-CPA処理よりGA処理が大であった.アセロラは果樹類の中で非常に優れたビタミンC給源果であり, GA処理でその含量はより高められた.
  • 杉村 順夫, Democrito A. ROCAT, Jr., Christine D. SALUD, 鎌田 信夫
    1994 年 38 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    扇だたみ状の葉身を持つ‘Plicata’ココヤシの特性を, 普通品種の‘Laguna Tall’と比較して調査した.‘Plicata’では, 葉身は羽状に分れず, 小葉がお互いに合着・融合していた.部分的に独立した小葉が見られるが, 羽片融合した小葉の出現頻度は著しく高く, 81%~92%であった.合着・融合のパターンは対峙する左右の小葉間で異なっていた.葉における形態変化を除けば, 調査した他の形質はほぼ‘Laguna Tall’と同様であり, 幹の太さ, 葉痕間隔, 葉の大きさ, 小葉数とその大きさの分布には有意な差が認められなかった.
  • 花田 毅一, 香川 邦雄, 横山 靖子, 生地 陽
    1994 年 38 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    浮稲の生育中, 深水によって主茎の葉鞘が水没すると, その葉腋の分げつ芽の生長が抑制される.一方, サイトカイニンは不良環境下で抑制されている側芽の生長を促進すること, 特に生長を停止している側芽の細胞分裂を誘起して生長を促進することが知られている.著者らは水耕で生育中の浮稲幼植物に深水処理を施し, 同時に根からサイトカイニンの一種カイネチンを吸収させ (実験1) , また深水状態から減水して浅水状態に移し, 同時に根からカイネチンを吸収させて (実験2) , 深水下で抑制された分げっ芽の生長に及ぼすカイネチンの影響を観察した.浮稲品種Kanlang Phnomを用い, 筑波大学農林技術センターで2つの実験を行った.実験1では, 葉齢5以降第5葉葉鞘水没の深水条件下で, 水耕液中にカイネチンを10-5M, 10-6M及び10-7Mの3種の濃度で溶かして根から吸収させ, 6日後に分げつ (又は分げつ芽) 及び葉の生長を測定した.実験2では, 葉齢3から葉齢6まで深水処理を行い, 葉齢6の時減水して浅水状態とし, 同時に10-5M及び10-6Mの濃度でカイネチンを水耕液に加え, 6日後に分げつ又は分げつ芽の生長を測定した.両実験の結果, カイネチンの供給が深水下で分げつ芽の生長を促進し, また深水下で抑制されていた分げっ芽の減水後の生長を促進することが明らかになった.このカイネチンの効果は, 深水下で抑制されているが生長停止には至っていないとみられる分げっ芽と既に生長を停止していたとみられる分げっ芽の双方に及ぶことが観察された.
  • 第1報 特殊活性のケツルアズキの種子浸漬処理が, 芽生えの生育, 呼吸およびエチレン生成に及ぼす影響
    大山 龍一, 清水 裕一, 太田 保夫
    1994 年 38 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    電解質を加えた水を電磁波処理した特殊活性水は, 作物の生長促進および抑制, 並びに成熟促進などの効果が知られている.本報では, ケツルアズキを供試して, 特殊活性水の作用特性についてエチレン生成と関連して検討を行った.本実験ではケツルアズキの種子を特殊活性水で浸漬処理し, 25℃下で5日間培養した.暗黒条件では培養2日目に特殊活性水処理の芽生えが, エチレン生成量の増大を伴い, 胚軸と種子根の伸長を抑制, 胚軸+根重/全体重比を減少させた.しかし, 5日目には特殊活性水処理区の胚軸+根の重量は無処理区に勝った.
    光条件での培養では無処理区のエチレン生成量も多く, 特殊活性水処理によるエチレン生成の増大は有意差がなかった.また特殊活性水処理による芽生えの生長の差異はともに認められなかった.
  • チャカタカーン ソムチャイ, 豊原 秀和, 西山 喜一, 田辺 猛
    1994 年 38 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    子実用アマランサス2種 (Amaranthus caudatus, A. hypochondriacus) を用い, 窒素およびリン酸施肥量の相違が生育・収量に及ぼす影響について, 深さ80cm, 幅100cm, 長さ200cmの枠を用い, 土耕法で実験を行った.
    実験区分は対照区 (10a当たり成分量でN: P: Kが8: 8: 8Kg.) , 窒素多量区 (16: 8: 8Kg) , リン酸多量区 (8: 16: 8Kg) の3区とした.
    その結果は, A. caudatusおよびA. hypochondriacusの両種とも, リン酸多量施用が窒素多量区および対照区より地上部の生長促進に大きく影響し, 主穂内の枝梗数を増加した.また, 両種の主穂子実収量にも, リン酸多量区が最も影響し, 窒素多量区および対照区より増収した.一方, 一株粒重では, A. hypochondriacusはリン酸多量区, 窒素多量区, 対照区の順であったが, A. caudatusでは窒素多量区の側枝穂の粒重が最大であったため, 窒素多量区, リン酸多量区, 対照区の順となった.
  • 杉村 順夫, Democrito A. ROCAT, Jr., Christine D. SALUD, 鎌田 信夫
    1994 年 38 巻 2 号 p. 145-147
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 杉村 順夫, 渡辺 哲, Democrito A. ROCAT, Jr.
    1994 年 38 巻 2 号 p. 148-150
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 杉本 明
    1994 年 38 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 山川 理
    1994 年 38 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 安富 徳光
    1994 年 38 巻 2 号 p. 162-169
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 38 巻 2 号 p. 170-173
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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