熱帯農業
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46 巻, 3 号
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  • Joko PITONO, 津田 誠, 平井 儀彦
    2002 年 46 巻 3 号 p. 129-135
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    カシューナッツはインドネシアにおける重要な換金作物であるが, 栽培の拡大は苗の干ばつ害によって阻害されている. 干ばつ抵抗性検定のために木部機能維持能力の違いが使えるかどうかを検討するため, 多収10系統を用い木部機能不全感受性が系統間で差があるかどうか, および感受性と木部導管直径との関係を調べた. 感受性は茎の木部の通水コンダクタンスが50%に低下するために必要な茎に与える圧力 (P50) で評価した. P50は最も小さい0.32MPaの系統Wonogiriから最も大きい1.5MPaの系統A3-1まで系統間差があった. 平均導管直径は系統間で差がなく, 感受性評価の指標に使うにはさらに検討が必要だと考えられた. A3-1のように木部機能維持能力の高い系統が認められたことから, この能力はカシューナッツの干ばつ抵抗性の早期検定法の1つであることが示唆された.
  • 宮川 修一
    2002 年 46 巻 3 号 p. 136-142
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    天水依存のために低収不安定とされる東北タイの稲作農村334ヶ村において, 既往の救荒食の種類と分布を調査した.同地域でもっとも一般的に利用されてきたのは, Dioscorea hispida Dennst, その他のヤムイモ類ならびにタロイモであり, その利用村数はいずれも70%以上であった.さらにこの3種の組み合わせは, 救荒食を利用した経験のある農村の57%で得られた.これ以外にタケの種子, 米ぬかなどが見られたが, その利用例は極めて希であった.D.hispidaの利用が見られない村は東北タイ南部に多かったが, これはD.hispidaの分布の差によるものか, あるいは住民の嗜好の違いによるものかは明らかでない.
  • (1) ホームガーデンの機能の変化
    久保田 尚浩, Herri Y. HADIKUSUMAH, Oekan S. ABDOELLAH, 杉山 信男
    2002 年 46 巻 3 号 p. 143-151
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ホームガーデンの規模や役割が過去20年間にどのように変化したかを明らかにするため, 西ジャワのスラジャンベ村で, 1999年に, 養魚池を持つホームガーデンと持たないもの各々5園について, ホームガーデンや養魚池の大きさ, 植物の利用, 営農の状況などを調査し, 同様な調査を行った1980年の結果と比較した.一般に, ホームガーデンの面積は, 養魚池を持つ園が持たない園よりも大きかった.養魚池を持つホームガーデンの面積は20年前と大差なかったが, 持たない園は20年前よりも減少していた.水田や畑地の所有面積は, 1980年よりも著しく小さくなり, 特に養魚池を持たない園での低下が顕著であった.家屋は, 1980年には木材と竹で造られたものがほとんどであったが, 1999年には8割がブロックや木材で建設されていた.園当たりの平均植物種数には, 20年間に大差がなかったが, 養魚池を持たないホームガーデンでは, その数が減少したのに対し, 持つものでは逆に増加した.果樹と観賞植物はホームガーデンを構成する最も主要な植物であったが, 観賞植物の種数は園間での差が大きかった.このように, ホームガーデンの構造は養魚池の有無に関わらず, この20年間に大きく変化していることが明らかとなった.調査結果をもとに, これらの変化の原因を考察した.
  • (2) ホームガーデンにおける植物利用の変化
    久保田 尚浩, Herri Y. HADIKUSUMAH, Oekan S. ABDOELLAH, 杉山 信男
    2002 年 46 巻 3 号 p. 152-161
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    要約 西ジャワのスラジャンベ村で, 1999年の乾季に, 養魚池を持つホームガーデンと持たないホームガーデン各々5園における植物利用の実態を調査し, 1980年の結果と比較した.両年の調査で観察された有用植物の総数は169種で, このうち1980年には100種, 1999年には129種が観察された.1999年における用途別 (果樹, 野菜, デンプン作物, 香辛料植物, 薬用植物, 工芸作物, 観賞植物, その他の植物) の植物種数は, 観賞植物が最も多く, 次いで果樹, 野菜, その他の植物, 薬用植物の順で, 一方デンプン作物, 香辛料植物および工芸作物は少なかった.両年とも, ホームガーデンを構成する最も主要な植物は果樹と観賞植物であった.観賞植物の種数は, 野菜と同様1980年よりも1999年に多かったが, 工芸作物とデンプン作物, 特に工芸作物の種数は1980年よりも著しく少なかった.香辛料植物, 薬用植物およびその他の植物には両年に大差なかった.1園当たりの総栽植本数は, 園間での差が大きかったが, 養魚池を持つホームガーデン (221.2) が持たないホームガーデン (161.2) よりも多かった.栽植密度 (本数/m2) は, 養魚池を持つホームガーデンが1.042であったのに対し, 持たないホームガーデンでは0.733であった.以上の結果から, 果樹とその他の植物以外の植物の利用は, 養魚池の有無に関係なく20年前と大きく異なり, 特に野菜, 工芸作物および観賞植物に大きな違いがみられた.
  • S. M. Nurul AMIN, 内田 直次, 東 哲司, 畠中 知子, 安田 武司
    2002 年 46 巻 3 号 p. 162-165
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    異なる3段階の窒素施肥量下で水耕栽培したインド型イネ8品種の光合成能力とRubisco含量との関係を調べた.酸素電極法による最大光合成能力とRubisco含量との間には, 含量が2gm-2以下では比例関係があり, それ以上の含量では飽和する傾向がみられた.Pokkali, BaisbishとIR442-2-58はRubisco量当りの光合成能力が高い品種であった.比例域での回帰分析の結果, イネ葉の最大光合成能力に対するRubiscoの効率には品種間差異があり, その効率が高い品種群と低い品種群とに大きく区分された.
  • Selina AHMED, 樋口 浩和, 縄田 栄治, 桜谷 哲夫
    2002 年 46 巻 3 号 p. 166-174
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    リョクトウの光合成・水分生理に及ぼすABA, エチレン及び湛水処理の影響を明らかにした.栄養生長期及び生殖生長期に, 8日間の湛水処理を行い, 処理期間及びその後の8日間, 光合成速度 (P) , 蒸散速度 (Tr) , 気孔コンダクタンス (gs) , クロロフィル蛍光 (Fv/Fm) 及び水ポテンシャル (ψl) の測定を行った.また, 湛水処理開始時に, ABA及びエチレンの処理を湛水処理個体と無処理個体に行い, その後の16日間, 同様の測定を行った.水ポテンシャルは処理による影響を受けず, 他の項目の処理による影響に, 植物の水分状態が関係していないことが示された.湛水処理及びエチレン処理により, 処理後1日目の光合成速度は低下し, 蒸散速度と気孔コンダクタンスの変化より早かった.このことは, 光合成速度の低下が気孔閉鎖とは独立であることを示している.また, Fv/Fmは同時に低下していたため, この初期の光合成低下は光化学系IIに対する阻害によるものと考えられる.一方, ABAも処理直後から光合成速度を低下させたが, この場合は蒸散速度と気孔コンダクタンスの低下と同調していた.また, Fv/Fmは処理直後には低下していないため, ABAによる光合成低下は, 気孔閉鎖によるものと思われた.その後の実験期間中, 外生植物生長調節物質と湛水処理は, ABAのFv/Fmに対する処理効果が湛水処理でマスクされた, あるいは, エチレンの光合成速度に対する処理効果が湛水処理により増幅された等, 様々な交互作用を示した.以上の結果は, 湛水による光合成抑制には, 気孔閉鎖と気孔に関係しない要因とが関与していることを示唆している.湛水時には, 植物体内でABAとエチレンの生合成が促進されることが知られており, この2つの植物ホルモンが, 湛水による光合成抑制に関与している可能性が高い.特に, 湛水処理直後の光合成低下には, エチレンによる光化学系IIの不活性化が大きく関与していると思われる.
  • 角 明夫, 片山 忠夫, 箱山 晋, 鈴木 義則
    2002 年 46 巻 3 号 p. 175-182
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    オオムギとソルガムを用いて, 乾物生産と土壌水分含量との関係に及ぼす灌漑水NaCl濃度の影響を検討した.乾物生産に対する灌漑水NaCl濃度の阻害的影響は, 土壌水分の不足と過剰の両条件下で強く顕れた.土壌水分を低く管理した場合には, 有効土壌水分中のNaCl濃度の上昇が著しく, また灌漑水NaCl濃度の違いに基づくその差異が大きく顕れたためと判断した.一方, 土壌水分の過剰条件下で認められた灌漑水NaCl濃度の阻害的影響の増大には, 土壌へのNaClの蓄積が速く行われたこととそれに伴う根の生理的活性の低下が関係していると推測した.全乾物重が最大となる最適土壌水分は, 灌漑水NaCl濃度の増加に伴っていったん上昇するが, その後次第に低水分側へと移行した.これらは, 灌漑水塩分濃度の違いを考慮した土壌水分管理が必要であることを示している.
  • 平山 琢二, 平川 守彦, 城間 定夫
    2002 年 46 巻 3 号 p. 183-187
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    野草に豆腐粕を添加した飼料を給与した場合のヤギ (雄, 6頭, 平均体重: 14.2±2.2kg) の増体量, 飼料効率, 枝肉成績および枝肉中の脂質組成について豆腐粕無添加の場合と比較検討した.豆腐粕添加によりヤギの1日増体量および飼料効率は高くなった.枝肉歩留りは, 試験区間で有意差は認められなかったが, 中躯割合は豆腐粕給与区が野草給与区に比べ有意に高かった.筋肉中の脂質組成では, 三角筋, 胸最長筋, 大腿二頭筋のいずれにおいてもトリグリセライド割合が約65%以上を占め, 次いでリン脂質が約15%, 糖脂質が約5%およびコレステロールが約1%の割合であった.トリグリセライド含量は, いずれの筋肉においても豆腐粕添加区が野草給与区に比べ有意に高かった.しかし, リン脂質は逆にいずれの筋肉においても低かった.各筋肉内の脂質中のトリグリセライドの脂肪酸組成については, 野草のみを給与して飼養する場合に比べ豆腐粕を添加給与することで, 不飽和脂肪酸割合が高くなる傾向にあった.
  • 豊原 秀和, 吉松 円, 出田 まき, 室井 明子, 妙田 貴生, 小塩 海平, 菊池 文雄, 藤巻 宏
    2002 年 46 巻 3 号 p. 188-194
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ダイジョ (Dioscorea alata L.) は, 雌雄異株植物であるが, 種子による繁殖は確認されておらず, 通常は塊茎による無性増殖が行われている.それにもかかわらず, 塊茎や葉の形状あるいは植物体各部の色素の発現などに多様な変異が観察され, 染色体数についても3倍体 (2n=30) から8倍体 (2n=80) までの幅広い変異が報告されている.
    本研究では, パプアニューギニア (PNG) より導入した地方品種12点とその他の地域から収集し東京農業大学で保存栽培されていたダイジョ品種22点を供試して, 葉の形状の種内変異を解析した.
    分散分析および主成分分析により葉の形状の変異を解析した結果, 葉の大きさや形について多様な遺伝的変異があり, 一部の塊茎形状と葉形状との間に関連性があることがわかった.さらに, 染色体数の調査を行い, 4倍体 (2n=40) ならびに8倍体 (2n=80) の存在を確認し, 葉ならびに気孔の大きさと倍数性との関係も一部明らかにすることができた.
  • Masato KATORI, Kazunari NOMURA, Kazuo YONEDA
    2002 年 46 巻 3 号 p. 195-197
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 喜多 智子, 櫻井 昭夫, 鎌田 庸宏, 澤田 博
    2002 年 46 巻 3 号 p. 198-201
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 石畑 清武
    2002 年 46 巻 3 号 p. 202-212
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    要約日本国内の研究機関, 植物園及び一部の地域に導入して栽培・保存されている熱帯・亜熱帯果樹類を, 1998年10月から1999年6月に調査した.調査の結果それらの果樹類は39科, 78属, 134種, 563品種 (系統を含む) に及び, それらの科, 属, 種及び品種名をアルファベット順に示した.
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