熱帯農業
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47 巻, 1 号
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  • Faruque AHMED, 広田 修, 山田 洋, Md. Abiar RAHMAN
    2003 年 47 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    イネ科作物との間作のために, バングラデシュにおいて最も適したリョクトウ品種の選定を目的として, ポットを用いた種々の遮光条件下で生長・収量を調査した. 実験は野外において4段階の光条件 (100, 75, 50, 25%) で, 6品種 (Kanti, BARI-mung-3, BARI-mung-4, BARI-mung-5, BU-mung-1, BINA-mung-5) を用いた. 種子収量はKanti, BARI-mung-3, およびBARI-mung-4が全ての光条件で高かった. 種子収量は収量構成要素のうち, 個体あたり莢数との相関が最も高かった. 遮光条件下では個体当たりの莢数は減少するが, その減少率は高収量を得た3品種で小さく, 他の3品種で大きかった. 収量構成要素の莢あたり種子数と100粒重は遮光による減少は少なかった. 高収量を得た品種はいずれも莢形成期の単位RGR当たりの莢数が他の品種よりも大きく, 高収量品種の莢生産効率が高いことが示された. 莢数が少ない品種は100粒重が大きい傾向があり, 遮光による莢数の減少は収量低下に強く関係することが分かった. 25%の光条件下での収量低下率は高収量品種で51~56%であるのに対して他の品種は68~75%であった. よってトウモロコシのような草高の高い作物との間作に適したリョクトウ品種は莢数が多く, かつ100粒重が小さいKanti, BARI-mung-3およびBARI-mung-4のような品種であることが分かった.
  • Md. Amzad HOSSAIN, 南 峰夫, 根本 和洋
    2003 年 47 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    胚培養法を用いてトウガラシ属の種間雑種 (C.annuum xC. fyutescens) を作出するために, 未熟胚からの植物体再生に適した培地組成と胚の日齢について検討した.MS培地にカゼイン加水分解物とイースト抽出物を各500mgl-1, ココナッツウォーター150mll-1, GA30.5mgl-1, NAA0.05mgl-1を添加したM2培地が未熟胚からの植物体再生に最も効果的であった.有効成分を検討したところ, カゼイン加水分解物がスクロースと組み合わされたときに効果が有り, ココナッツウォーターはその効果を増加させる作用を持ち, 単独では効果がみられなかった.自殖胚では開花後21日以降の胚から再生が可能であったが, 種間雑種胚では28~33日齢の胚からのみ植物体が得られた.再生植物体の雑種性を両親に種特異的なRAPDバンドを併せ持つことで確認した.雑種植物の花粉稔性は約13%で両親と比べて著しく低かった.ここで報告した胚培養法はトウガラシ属における種間雑種の獲得に有用である.
  • 四方 篝, 松下 裕子, 縄田 栄治, 桜谷 哲夫
    2003 年 47 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    トウモロコシとの混作によるつる性ササゲの群落構造の変化が群落光合成能力にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的として圃場実験をおこない, 葉面積指数 (LAI) , 受光態勢, 光合成速度の3つの要因に基づいて解析した.ササゲ単.作区では条間70cm, 混作区ではササゲとトウモロコシを1条おきに交互に配置し, 疎植区では条間70cm, 密植区では35cmとした.株間はいずれの処理区においても30cmとした.播種後, 3週間ごとに層別刈取法によるサンプリングを行い, 乾物重, 葉面積, 群落内光合成有効放射量の測定をおこなった.また, 群落光合成速度を推定するために個葉光合成速度を測定した.LAIと光透過率の関係から求めた吸光係数は, 混作密植区では生育が進むにつれて増加するのに対し, 混作疎植区では減少した.また, 個葉の光-光合成曲線解析の結果, 単作区, 混作密植区の下層葉が陰葉化する傾向がみられた.以上の結果から, 混作疎植区では群落光合成速度は増人したことが明らかになった.これは, 生育が進むにつれてササゲがトウモロコシに巻きつき, 上層で十分な光が得られるだけでなく下層でも受光できるので, LAIの増加と効率のよい受光態勢の形成が同時に可能となり, 下層葉でも高い光合成能力を維持することが可能となったためであると考えられる.一方, 混作密植区では群落光合成速度は大きく低下した.これは, 群落上層におけるササゲの葉の相互遮蔽により受光態勢が悪化したためであると考えられる.また, 生産性の低かった混作密植区では, 混作疎植区で見られるような個体群生長速度 (CGR) , 日射利用効率 (RUE) の増大は認められなかった.このことから, 光環境が物質生産に大きく寄与していたことが明らかになった.以上の結果より, ササゲは好適な栽植密度, 即ち比較的疎植条件のもとで, トウモロコシとの混作によって群落光合成能力を高め, 生産性を改善することができると考えられた.
  • Didik Wisnu WIDJAJANTO, 本村 輝正, 宮内 信文
    2003 年 47 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ホテイアオイは熱帯アメリカ原産の帰化水生雑草で世界十大害草の一つであり, 富栄養化した湖沼等で旺盛な繁殖をする.窒素やリン, カリウム等の無機成分含有量が多く, また, 炭素率が低いことから緑肥としての有効利用が考えられる.
    著者ら (2001) は, 緑肥として施用したホテイアオイから無機化される窒素の動態をイネ栽培試験で15N法により明らかにした.そして, 熱帯・亜熱帯地域での稲栽培では, この雑草を堆肥化せずに緑肥として活用できることを提示した.
    本研究では, 稲作で認められたホテイアオイの緑肥としての効果を野菜類栽培においても明らかにしようとした.実験: にはレタス, ホウレンソウ, コマツナ, ハツカダイコン, オクラ, エダマメ, トウモロコシを用い, ホテイアオイ施用量を数段階に設定したポット試験で収穫量を比較検討した.その結果, 種類ごとに適正施用量は異なるが, 何れの野菜でもホテイアオイ施用による顕著な増収効果が得られた.このことは, ホテイアオイは収穫や運搬等の問題はあるが, 熱帯・亜熱帯地域での野菜類栽培にも活用し得る可能性を示唆するものである.しかし, 窒素吸収量の少ないレタス, ホウレンソウについては窒素収支からみて窒素投入量が過剰になるために, ホテイアオイ連用による土壌窒素の蓄積について, また, オクラ, トウモロコシ等の適正施用量についても今後検討する必要がある.
  • 諸見里 善一, 澤岻 哲也, 田場 聡, 安谷屋 信一, 本村 恵二
    2003 年 47 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    各葉齢のマンゴー葉から希釈平板法により微生物を分離し, 生育過程における葉面微生物相の変遷を調べた.また, マンゴーハウス内気中の微生物相も調査し, 葉圏と気中の微生物相の比較・検討を行った.その結果, 気中および各齢葉面の細菌相では, 色素生成細菌が多く, 特に黄色陰性球菌 (Y, N, C) と白色陰性球菌 (W, N, C) の優占が認められた.グラム陰性菌と陽性菌の割合に着目すると, 気中では両菌の割合がほぼ同じであったが, 生葉上では全体的にグラム陰性菌がまた落葉上では陽性菌が優占した.
    一方糸状菌相では, 気中から多種の糸状菌が分離され, 複雑な菌相を示したのに対し葉面では菌相が単純化した.気中と各齢葉面のすべてで認められた菌はCladospoyium属とPenicillium属の菌のみであった.
    これらの葉面から分離した細菌および糸状菌であるマンゴー炭疽病菌をPDA培地上で対峙させ拮抗性を検討した.その結果, 細菌には強い拮抗性を示すものは少なかった.それに対し, 糸状菌ではPenicillium属菌は高い拮抗性を示すものが多く, とくに, P.citrinumP.expansumの2種は最も強い拮抗性を有した.これらの菌の培養ろ液も炭疽病菌に対した高い抗菌性を有することから, 拮抗機作は抗菌物質によるものと考えられる.
  • 朴 炳宰, 遠城 道雄, 冨永 茂人, 志和地 弘信, 林 満
    2003 年 47 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    東南アジアおよびオセアニアの熱帯地域から導入されたダイジョ (D. alata) 系統を温帯の鹿児島で栽培し, それらの塊茎の休眠並びに休眠覚せいと外的要因との関係について検討した.
    供試した48系統の全ての塊茎に休眠現象が認められ, 25℃貯蔵条件下におけるそれらの休眠期間は2ヶ月弱から4ヶ月に及び, 系統間に大きな差異が認められた.
    塊茎を25℃貯蔵した場合, 塊茎の生体重は貯蔵日数の増加に伴って漸減し, 貯蔵90日間における48系統の平均減少率は20.5%であったが, 各系統間に大きな差異が認められた.一方, 休眠期間の長い系統群と短い系統群の間で生体重の減少程度を比較した場合, 両者間にはほとんど差異がなく, 生体重の減少程度は休眠にほとんど影響しないと推察された.
    塊茎の肥大生長における塊茎の含水率低下の程度に基づいて区分された早生4系統, 中生37系統および晩生7系統の収穫塊茎を25℃条件下に貯蔵した場合, 平均休眠期間はそれぞれ65日, 66日および61日であり, 肥大生長の早晩性の程度は異なっても休眠期間に大きな差異は認められなかった.しかし, 肥大成長における塊茎の成熟期を基準として早生系統と晩生系統の休眠期間を比較した場合, 早生系統の塊茎の休眠期間の方が晩生系統のそれよりも長いと推定された.
    塊茎を10℃以下の条件下に貯蔵した場合, ダイジョ塊茎は低温障害を受けるが, 15℃条件下では障害はなく, 長期にわたって全く萌芽しなかったことから, ダイジョ塊茎の貯蔵に最適な温度は15℃近辺と推定された.熱帯原産のダイジョ塊茎の休眠は低温に全く遭遇しなくても覚せいしたので, その休眠覚せい現象に低温を必要としないと推定された.
    塊茎を20, 25, 30および35℃に貯蔵した場合, 35℃貯蔵では貯蔵期間の増加に伴って障害が認められたが, 20℃から30℃の間では高温ほど休眠覚せいは促進された.塊茎の休眠覚せいは, 高温ほど促進され, 35℃, 10日間処理区で休眠打破の著しい効果が得られた.
  • 朴 炳宰, 遠城 道雄, 冨永 茂人, 志和地 弘信, 林 満
    2003 年 47 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ヤムイモ (Dioscorea spp.) は, ジベレリン (GA) によって休眠が誘導されると推定され, 一般の植物とは異なるGA反応性を持つ植物と考えられる.そこで, ダイジョ塊茎の休眠覚せい過程における内生GAの作用機作を明らかにするために, 外生GAおよびGA生合成阻害剤のウニコナゾールPの処理が塊茎休眠に及ぼす影響を調査し, 休眠覚せい程度の異なる塊茎に内生するGA様活性を生物検定によって検出した.
    塊茎の休眠期間は, 生育後期におけるGA葉面散布と収穫塊茎のGA浸漬のいずれの処理においても延長され, GA生合成阻害剤のウニコナゾールP処理では逆に短縮されたことから, ダイジョ塊茎の休眠現象に内生GAが関与している可能性が示唆された.
    休眠塊茎の抽出物のわい性イネ伸長テストにおけるヒストグラムには, Rf 0~0.3とRf 0.4~0.6の二つの分画にGA様活性が検出され, 塊茎に複数のGA様物質が内生していると推定された.
    塊茎を0, 60および120日間貯蔵処理して, 休眠程度の異なる塊茎に内生するGA様活性を比較した.二つの分画に検出されるGA様活性はいずれも休眠覚せいに伴って低下する傾向が認められた.さらに, 15および25℃で30日間処理した塊茎に内生するGA様活性の比較を行い, 2分画のGA様活性は休眠程度の深い15℃処理塊茎において強く, 休眠程度の浅い25℃処理塊茎では弱いことが明らかとなった.
    休眠覚せいに伴って内生GA様活性が低下した本実験の結果から, ダイジョ塊茎の休眠覚せい機構に内生GAが関与している可能性が示唆された.
  • 江原 宏
    2003 年 47 巻 1 号 p. 58-59
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 47 巻 1 号 p. 60
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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