熱帯農業
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50 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • (第一報) アジアVignaの栽培種と起源
    友岡 憲彦, 加賀 秋人, Duncan VAUGHAN
    2006 年 50 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • Edi SANTOSA, 杉山 信男, 中田 美紀, 峯 洋子, 李 温裕, Didy SOPANDIE
    2006 年 50 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    雑草によって生育が阻害されることは, これまでにも多くのイモ類で明らかにされているが, ゾウコンニャクについての研究はほとんどない。そこで, 西ジャワの10年生のユーカリのプランテーションで間作されているゾウコンニャクについて, 2003年10月から2004年7月の雨季に除草頻度が収量に及ぼす影響を調査した。処理区としては無除草区 (W0) , 植付け2ヶ月後に1回除草する区 (W1) , 植付け2ヶ月後と4ヶ月後の2回除草する区 (W2) , 毎月除草する区 (W6) の4区を設けた。その結果, 除草頻度がゾウコンニャクの成長や収量に影響を及ぼすことが明らかになった。W2, W6区では, W0, W1区に比べ, 生育期間中に展開する葉の数が多く, その寿命は長かった。球茎重は除草によって34~285%増加した。雑草乾物重はW0, W1区に比べ, W2, W6区で有意に低下した。これらの結果から, 高い収量を得るためには生育期間中2回, 植え付け後2ヶ月目と4ヶ月目に除草することが望ましいと思われた。
  • 黒澤 靖, Hai Nguyen Do, Thanh Huu NGUYEN, Le Ha Thi TRAN, 江頭 和彦
    2006 年 50 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ハノイ市中心部周縁の都市型農業地域Tam Hiep合作社において, 地表水 (用水路水, 溜池水) と地下水 (浅管および深管井戸水) のpH, ORP (酸化還元電位) , アンモニウム態および硝酸態窒素濃度を測定した.これら地表水, 地下水は, 灌漑用, 家庭用として用いられる.本地域では, 野菜だけが繰り返し栽培され, 同一農地で, 年間11回の栽培が行われる.年間の窒素施肥量は960~1, 150kg/haにのぼる.水質測定の結果, 水のpHは中性の範囲にあり, ORPは-195~275mVで, 還元的あるいは中間的状態から酸化的状態まで, 広範囲の値を示した.水中のアンモニウム態窒素濃度は1.3~15.1mg/Lと高く, 一方硝酸態窒素濃度は0.09~2.2mg/Lと低かった.地表水のアンモニウム態窒素濃度は, 本地域より窒素施肥量が少ない, 本地域近くの純農村地域よりも高かった.したがって, 地表水のアンモニウム態窒素濃度は窒素施肥量の影響を受け, 地下水のアンモニウム態窒素は, このような地表水の地下浸透によってもたらされたと推定される.硝酸態窒素濃度は, 地表水, 地下水とも, 上述の純農村地域と変わりがなく, 硝酸態窒素濃度には窒素施肥量の影響は見られなかった.用水路水は, アンモニウム態と硝酸態の合計窒素濃度が5mg/Lを超え, これを灌漑に用いるに注意を要する.地下水のアンモニウム態窒素濃度は, 浅管および深管井戸水に拘らず, 住民が健康被害を受けるレベルに達しており.この水を長期飲用することは危険である.その濃度を低下させるため, 緊急に何らかの対策を採る必要がある.
  • Mohamad CHIKH ALI, 片山 克己, 眞岡 哲夫, 夏秋 啓子
    2006 年 50 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    2002年から2004年にかけて, シリアにおけるジャガイモのウイルスについて発生調査をおこなった.ジャガイモ圃場で栽培されている, あるいは市販のジャガイモを採集した.Potato virus Y (PVY) , Potato leafroll virus (PLRV) , Potato virus S (PVS) およびPotato virus X (PVX) の検出を, RT-PCR法, ELISA法およびDTBA法で行ったところ, 様々な病徴を示すすべての採集試料からPVYのみが検出された.以上の結果から, シリアにおいてジャガイモ種いもの劣化をもたらすウイルス病の主な病原ウイルスはPVYであると考えられた.なお, 本研究によりシリア産ジャガイモのウイルス診断がRT-PCR法およびDTBA法によってはじめて行われた.
  • 野村 和成, 上杉 力, 立石 亮, 宍戸 理恵子, 米田 和夫
    2006 年 50 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    タイ北部で栽培されるサヤダイコンの一品種“パッキフッド”は低温発芽能をもっている.対照とした日本のダイコン品種“聖護院”は5℃において播種6日後の発芽率は約5%程度であったにもかかわらず, パッキフッドではほぼ100%に達した.パッキフッドの低温発芽性の要因を明らかにするため, 発芽にともなう種皮貫通抵抗性, 吸水ならびに種子タンパク質の変化について検討した.乾燥種子の種皮貫通抵抗性は聖護院に比べパッキフッドで高かった.5℃での吸水にともなう種皮貫通抵抗性の低下は, 20℃に比べやや遅れたが, 5℃, 4日後における品種問の差異は認められず, 低温発芽性の差異を説明することはできなかった.両品種とも, 適温, 低温に関わらず, 播種6時間で急速に吸水が進行し, 種皮からの吸水は温度に影響されないことが示された.20℃においては両品種とも吸水停滞期後, 水分含量が急激に上昇した.5℃において, パッキフッドでは吸水第二期の停滞後, 第三期の吸水の上昇がわずかにみられたのにともなって4日後に種子根が抽出した.これに対し, 聖護院では, 吸水停滞後の吸水はみられず6日後においても発芽は認められなかった.二次元電気泳動により, 発芽にともなう種子内のタンパク質の変化を調べた.乾燥種子のタンパク質含量はパッキフッドに比べ聖護院で高かったが, 20℃での発芽にともなうタンパク質の減少は聖護院の方が急激であったことから, 5日後のタンパク質含量は同程度となった.5℃での吸水にともなう種子タンパク質の減少は両品種間で人きな差異はなく, 種子タンパク質分解による適合溶質集積の差異によって低温発芽性の品種問差異を説明することはできなかった.タンパク質分解は温度の低下にともなって抑制されるが, 20℃ならびに5℃における分解程度の差異は聖護院の方が大きく, パッキフッドでは低温下においても発芽にともなうタンパク質の分解が速く進むものと判断された.
  • 江原 宏, 松井 もえ, 内藤 整
    2006 年 50 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    17ないし19葉期のサゴヤシに30日間の86mM NaCl処理 (0.5%NaCl相当) を行ったところ, 根および下位の葉柄 (含葉軸) にNa+を蓄積することによって, 小葉のNa+濃度を低く維持していた. K+濃度は根および全葉位の葉柄と小葉において低下することはなかった.8葉期の実生を用いた0, 86, 171, 342mM NaCl (0, 0.5, 1.0, 2.0%相当) 処理では, 根のNa+濃度は処理濃度にともなって増大し, 最大3.1倍に達した.葉柄でも高濃度処理ほどNa+濃度が高まったが, その増大は最大でも1.5倍であった.また, 小葉のNa+濃度には明確な差は認められなかったことから, サゴヤシは342mM NaCl (2.0%) までの濃度範囲では, 根と葉柄にNa+を蓄積することにより小葉のNa+を低く抑える回避機能を発揮することができるものと理解された.一方, K+の吸収と小葉への移行は根や葉柄におけるNa+の蓄積に影響されなかった.しかしながら, 342mM NaCl処理では蒸散速度が低下する傾向がみられた.これらのことから, サゴヤシは少なくとも30日間, 171mMNaCl (1.0%) までは塩水に耐えうるものと考えられた.
  • YE TINT TUN, 入江 憲治, THAN SEIN, 白田 和人, 豊原 秀和, 菊池 文雄, 藤巻 宏
    2006 年 50 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ミャンマーのイネ地方品種には, 胚乳のアミロース含量が0から40%にわたる広範な変異がある.Chin, KachinおよびShanなどの山岳部の諸州の地方品種には, アミロース含量にとくに大きな変異がみられる.これらの地域で, 極低アミロース (4%以下) の地方品種が頻繁に出現するのは, タイ, ラオスからベトナムにわたり広がるもち稲栽培圏の影響を受けているとみられる.本研究では, さまざまなアミロース含量をもつ地方品種の利用法を調査した.ミャンマーでは, 消費者や販売業者が飯米の粘性や柔軟性に基づいて米をKauk Hnyin, Kauk Sei, Kauk ChawおよびKauk Kyan.の4群に分けている.それぞれの群の名称は, もち米, 粘る米, 柔らかい米, 堅い米を意味しており, 収集標本のアミロース含量の測定の結果, もち (無) , 低, 中, 高のアミロース含量であることが判明した.今回調査したChinおよびShanの両州では, Kauk Seiが最も多く, 地域の人たちが常食にしている.また, Kauk SeiおよびKauk Hnyinの両群の米は, 伝統的な祭事の時にスナックを作る材料として習慣的に用いられている.もち米とみられるKauk Hnyinは, 全国的に分布しているが, 粘る米とされるKauk Seiは, ミャンマーの山間部で卓越している.ミャンマーにおける米の調理・加工製品は, 7つのタイプに分けられた.すなわち, 飯米, ケーキ, 生地製品, フリッター, 麺, プディングならびに飲料.それぞれのタイプには, 数種類あるいはそれ以上の異なる調理・加工製品が含まれる.調理・加工の方法は, 米の素材 (米粒あるいは米粉) , 品質・成分 (アミロース含量) , 加熱法, 添加食材の種類などにより異なる.ミャンマーのイネ地方品種のアミロース含量の変化は, さまざまな調理や加工の方法に対応して選抜されてきた結果と考えられる.
  • Mustad Malid MACHA, Abul Kashem CHOWDHURY, 村田 達郎, 米本 仁巳
    2006 年 50 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    白肉系ドラゴンフルーツ (ピタヤ) は自家結実性であるが, 赤肉系は自家不和合性で, 白肉系の花粉を授粉して結実させる.このため, 授粉に用いる白肉系の花粉の最適発芽条件を, 寒天培地に含まれるショ糖濃度および発芽温度を変えて検討した.さらに, 花粉の保存法を異なる貯蔵条件下で検討した.
    寒天培地に含まれるショ糖濃度は30%が花粉発芽および花粉管伸長に最適で, 20%以下と40%以上で発芽率が低下し, 0%と50%では発芽しなかった.花粉発芽に最適な温度は30, 35および40℃で, 45℃以上と25℃以下で低下し, 50℃と10℃では発芽しなかった.採取直後の新鮮花粉および5℃で20時間貯蔵した花粉の発芽率は30%以上であったが, シリカゲルと共に5℃で20時間おいた花粉は発芽しなかった.-20と-30℃で15日間貯蔵した花粉の発芽率は低下した.アセトンまたは酢酸エチルに貯蔵した花粉は発芽しなかった.20~60% (w/v) のショ糖液中に5℃で貯蔵すれば3日間は発芽率を維持した.しかし, 10%以下のショ糖液に貯蔵した花粉は発芽しなかった.
    これらのことから, 白肉系ドラゴンフルーツの人工培地上での花粉の発芽と花粉管伸長にはショ糖30%で30, 35または40℃が最適である.しかし, 花粉貯蔵には乾燥あるいは過湿を避ける必要がある.
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