熱帯農業
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51 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • (3) 水稲の重要形質に関する評価について
    金田 忠吉
    2007 年 51 巻 3 号 p. 79-83
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • Ninh Thi PHIP, 野島 博, 田代 亨
    2007 年 51 巻 3 号 p. 84-94
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ベトナムにおいてAngelica acutiloba Kitagawa‘トウキ’は土耕で栽培されている.この植物への施肥は収量に大きな影響を及ぼすが, 最適の施肥法に関する研究は不十分である.本研究では, 園試処方の均衡培養液の100% (標準) , 200%, 50%, 25%の4水準濃度で噴霧と点滴灌漑を用いて養液栽培し, 生育に及ぼす影響を比較検討した.噴霧耕栽培では根部周辺に培養液を噴霧し, 2005年3月15日から同年6月6日まで, 点滴灌漑栽培では2006年5月2日から同年7月25日までトウキを栽培した.移植後12週間目において, トウキの生育 (葉面積, 根の直径, 部位別乾物重) は噴霧耕栽培では100%>50%>200%>25%, 点滴灌漑方式では100%>200%>50%>25%の順序で高い値を示し, 両方式ともに園試処方の100%標準培養液が優れていた.植物体の生育, 特に根部は点滴灌漑栽培よりも噴霧耕栽培の方が高かった.しかし, 根と茎葉の比, 炭素と窒素の比は点滴灌漑栽培の方が明らかに高かった.また, 二次根の発達は点滴灌漑栽培の方が非常に優れていた.ベトナムにおいてトウキの二次根は生薬の原料となる.以上のことから, 総合的に考えるとベトナムにおいて有益な栽培方式として点滴灌漑方式を用いることが推奨される.
  • 笹山 大輔, 東 哲司, 南森 隆司, 安田 武司
    2007 年 51 巻 3 号 p. 95-101
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    浮稲の茎切片を深水処理あるいは空気中で培養し, それらから切除した節間の組織切片の酸溶液が誘導する成長反応 (酸成長) を調べた。有意な酸成長が認められたのは, 深水処理した節間の基部組織だけであり, その最大反応はpH5.5で得られた.節間の単離細胞壁の酸による伸展性は, 深水処理あるいは空気中で培養した茎切片のいずれにおいても節間の基部で最も高く, 基部から遠ざかるにつれて減少した.また深水処理した節間においては, 基部から広い範囲で細胞壁が酸溶液に反応して伸展した.節間組織から細胞壁タンパク質を抽出し, エクスパンシン活性を部位別に比較した結果, 処理による差は認められなかった.一方, 細胞壁のエクスパンシンに対する反応性は, 深水処理した節間の細胞伸長部位でのみ高かった.これらの結果は, 深水条件下での浮稲節間の成長促進には酸成長過程が関与しており, その伸長調節は主に細胞壁のエクスパンシンに対する反応性の変化によってなされていることを示唆する.
  • 安藤 豊, 平林 大輔, 角田 憲一, 渡辺 彰, Jong Foh SHOON, Benito Heru PURUWANT
    2007 年 51 巻 3 号 p. 102-108
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    泥炭土壌は一般的に高い地下水位, 低いpH, 貧栄養特に微量要素の供給量が少ないことによって特徴づけられ, いわゆる問題土壌である.永年生植物であり, デンプン生産をおこなうサゴヤシ (Metroxyleon sagu Rottb.) は泥炭土壌で生育が可能であるが, その生育は鉱質土壌に比較すると劣る.そこで石灰施用や微量要素施用が泥炭土壌でのサゴヤシ生育に与える影響を検討するために, インドネシア国スマトラ島リアウ州で圃場試験を実施した.試験区は実験1では各微量要素 (Cu, Fe, Mn, Zn) の無施用区 (-Cu区, -Fe区, -Mn区, -Zn区の4区) と完全区の計5区を設けた.石灰, 多量要素は全ての区に施用した.実験2ではドロマイト施用の有無と多量要素施用の有無の組み合わせの4区を設けた.実験2では全ての区に微量要素は慣行量施用した.施肥は局所施肥で行い, 施用量は試験を実施したプランテーションの慣行量とした.生育に対する影響は樹高 (樹幹長十葉長) , 葉数および葉の各要素含有率から評価した.両試験とも移植5年後で幹立ち前のサゴヤシを使用した.得られた結果は以下の通りである. 1) 両試験ともに樹高, 葉数は施肥およびドロマイト施用にかかわらず処理区で差が認められなかった. 2) 試験1で葉のCu, Fe, Mn, Zn含有率は, それぞれ1.1~5.4, 57~149, 43~104, 9~19mg kg-1で処理区に差が認められなかった. 3) 試験2では葉のK含有率に処理区で差が認められたが他の養分の含有率に差が認められなかった.4) これらのことから泥炭土壌で生育するサゴヤシに対しての養分の局所施用はサゴヤシ生育に対して影響が小さいものと考えられた.
  • 大城 篤, 田場 聡, 夏目 雅裕
    2007 年 51 巻 3 号 p. 109-115
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    3種サツマイモ病原菌 (立枯病菌: Streptomyces ipomoeae, 黒斑病菌: Ceratocystis fimbriata, 炭腐病菌: Macrophomina phaseolina) に対して拮抗作用を示し, さらにサツマイモ根面への定着が可能である拮抗菌の探索をサツマイモ貯蔵塊根の表皮を分離源として行った.分離された糸状菌500菌株のうち, 立枯病菌に対して拮抗能を示す12菌株 (Penicilliumspp.) が得られた.これらの菌株は黒斑病菌と炭腐病菌に対しても拮抗能を示した.選抜した12菌株のうち, サツマイモ苗根への定着性が高い5菌株が選抜された.さらに, サツマイモ生育初期段階におけるこれら拮抗菌の立枯病防除効果をポットレベルで検討した結果, B1-35株が選抜された.本菌株を処理した苗は対照区と比較して, 立枯病に対して高い防除効果 (防除価: 60.1) を示し, 根組織から97.5%という高い割合で再分離された.さらに, 本菌の胞子懸濁液に苗を10分間以上浸漬処理することにより, 安定して根面へ定着すると考えられたため, 本処理 (12時間浸漬) を行った苗を立枯病汚染圃場に植え付けたところ, 高い防除効果 (防除価: 67.6) が得られた.また貯蔵病害である炭腐病による腐敗抑制効果については, 対照区と比較して腐敗率を有意に低く抑えることができた.本菌株のITS-5.8SrDNA塩基配列を解析した結果, Penicillium geastrivorus (Petersonet al., unpublished species) と同定された.以上の結果から, 本菌株はサツマイモ病害の生物防除素材として有望であると考えられた.
  • 水野 宗衛, 吉田 忠晴, 清川 一真, 佐々木 正己
    2007 年 51 巻 3 号 p. 116-122
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ビニールハウスに植栽されている6年生のマンゴー‘アーウィン’樹を用い, 各ハウスの開花調査を実施するとともに, 受粉用に3種のハナバチ類 (ニホンミツバチ, セイヨウミツバチおよびクロマルハナバチ) を導入し, それらの訪花特性および受粉効果を調べるため, 花房に訪花するハチの頭数, 花房における採餌時間, 巣箱から出る各ハチの頭数および有種子果率を調査し, 訪花昆虫の有効性について検討した.
    本試験で調査した‘アーウィン’樹では, 両性花の割合は花房先端部で50%以上であり, 花房の基部では雄花が多くなった.訪花昆虫の1花房への訪花頭数は, 晴天時ではニホンミツバチがセイヨウミツバチの約2倍量であったが, 雨天時では両者間に大きな差はみられなかった.またクロマルハナバチは, 雨天時は晴天時の15%程度の訪花頭数であった.花房上における採餌行動時間はセイヨウミツバチが長く, 次いでニホンミツバチ, クロマルハナバチの順であり, ニホンミツバチは頻繁に訪花と移動を繰り返すのに対し, セイヨウミツバチは, 1花房上での1頭の採餌時間が長いことが明らかとなった.雨天時の採餌行動時間はセイヨウミツバチは短くなったが, ニホンミツバチとクロマルハナバチでは, 天候の影響は比較的少ない傾向を示した.出巣頭数は晴天時と雨天時の間で大差なく推移していた.有種子果率はいずれの区でも高い値を示した.特にニホンミツバチとセイヨウミツバチ区では, 200g以上の果実重割合が高くニホンミツバチおよびセイヨウミツバチを用いると有種子果率が向上することから, 両者は花粉媒介者として有効であると考えられた.
  • 志水 勝好, 寺田 美知子, 曹 衛東, 丸山 幸夫
    2007 年 51 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ケナフ (Hibiscus cannabinusL.) の生育と主茎収量に及ぼす栽植密度の影響を調べるため, 2003年および2004年にケナフ (品種: KB2) を条間15cm×株間15cm (44.4株m-2) , 30cm×15cm (22.2株m-2) , 30cm×30cm (11.1株m-2) の栽植密度で栽培した.種子を直播し (2003年5月28日, 2004年5月27日) , 発芽後随時間引きを行い1本とした.各区画から15個体を無作為に抽出し, 2003年は播種後44日, 2004年は播種後48日から1週間間隔で, 草高, 地際から草高の1/3部分の主茎直径, 節数および分枝数を調査した.その結果, 草高, 節数とも高密度区が高く推移したが, 栽培後期では低密度区が高くなった.草高の伸長は降霜直前の播種後168日 (2003年) と188日および191日 (2004年) のサンプリング時まで見られた.靭皮収量は低密度区の方が主茎が太いため, 一個体当りでは高かった.しかし, 太い主茎は機械刈取に障害となるだけでなく, 単位面積当たりの靭皮収量では高密度区の方が高いため, 靭皮目的ならば株間15cm×15cm (44.4株m-2) のように高密度での栽培が有効である.
  • ―ムボジ高原の事例―
    山本 佳奈, 樋口 浩和
    2007 年 51 巻 3 号 p. 129-137
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    熱帯アフリカの高原地帯には雨季に湛水する季節湿地が各地で見られる.その大部分はこれまで未利用のまま放置されるか放牧地として利用される程度であり, 農耕への利用は一部に限られてきた.タンザニアのムボジ高原の季節湿地ではその一部を利用した在来農業がおこなわれてきた.イホンベは草地焼畑によるシコクビエ畑であり, 湿害を避けるために季節湿地の周縁部で拓かれる.ビリンビカはトウモロコシや蔬菜の乾季作をおこなう菜園であり, 湧水が届く範囲のゆるやかな斜面に拓かれる.しかし近年, 二つの新しい湿地農業が始められた.ひとつは雨季のトウモロコシ栽培で, ビリンビカの造成によって培われた明渠掘削の在来技術によって排水を強化し, 従来作付けが困難であった湿地環境を克服して近年耕作を可能にした例であり, もうひとつは湛水条件を利用した水稲作で, 他の作物の耕作が不可能となる雨季の季節湿地の深い湛水部分で, その湛水条件を逆に利用して近年始められたばかりの例である.どちらの耕作も季節湿地の広い範囲で適用可能な技術であり, これらの土地利用は季節湿地の中で今まで耕地として未利用であったところに急速に耕地が広がるひとつの契機となるかもしれない.
  • 米本 仁巳, 佐藤 景子, 奥田 均, 吉倉 幸博, 末吉 浩二
    2007 年 51 巻 3 号 p. 138-141
    発行日: 2007/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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